プロローグ~心が殺される瞬間~
それは空が真っ黒に染まった嵐の夜に起こった。
ある田舎の村に突然盗賊が押し寄せた、村人は次々と殺されていく雷が鳴り響く音と人の悲鳴が重なり恐怖の空間を作り上げていく。
そんな世界に1人の少年が居た。
少年は普段の生活を終え、床に着こうとした矢先、突然現れた盗賊に目の前で両親を殺された。幸い少年の両親が命がけで少年を隠し少年は殺されなかった。外では炎で赤く染められ、近所の知り合いが殺される悲鳴、友達が殺される叫び声、そんな所でも少年は殺されなかった。だがその時、その瞬間、確実に少年の心は・・・殺された。
殺すだけ殺し、奪うだけ奪った盗賊達は村を後にした。その村に国から兵士が送り込まれたのはそれから2日後。村に来た兵士はその惨状を見て絶句した。
彼らの調査では生存者0名死者約134名行方不明者約1名。
その後調査を続けた国はとうとう盗賊の居場所を突き止めた、その歳月は3年。
だが国より兵士が来た頃には盗賊達は白骨化していた、体に羽織られている布には剣で斬られた跡が無数にあり、床は血の跡なのか赤くなっている所がある、だがすでに乾ききっていてそれどころか黒い染みになっている。その時の調査結果は死後2年だった。
国はそれをやった人物を探し出そうとした。だが、すでに2年が経過しているそんな人物が見つかるはずがない。国はそれを諦め、行方不明者の捜索に乗り出た。当時の状況を知るためだ国の調査では盗賊が襲って来て村人が大量に殺されたというとこまでしかわからなかった。様々な手段を使ってなんとか行方不明者の情報を手に入れた国は行方不明者は10歳の少年という事がわかった。盗賊に連れ去られたと思っていたが、盗賊達の場所のそれらしき跡はなかった。
盗賊によって売られたのだろうと、奴隷売り場を調べたがそんな情報はなかった。
結局、少年は見つからなかった。
それから3年、盗賊により起こった事件は忘れ去られ、村は枯れ地と化した。
そんな地に1人の青年が現れた。天気は嵐、雷は鳴り響く。6年前の惨劇と同じ世界、ただ1つちがうのは悲鳴が叫び声がないことだった。
その地に来た青年は体を黒いマントで覆い、腰には剣を差している。青年はある1つの焼け焦げた木の家の跡地の前で止まり、膝を着き、手を合わせて数十秒そのままでいた。そして立ち上がり、その地を後にした。