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8話 暗黒解放:死と滅亡の運命

 あれから四ヶ月の時が経った。最近は何事も無く平和に暮らしていた。フェンリル女学院高等学校で教鞭を執る事になったので剣術の授業を生徒に教えていた。僕も学校で泊まることができるのでアリア達と同じ時間を過ごすことが出来たので教師になったのも悪くは無かった。


「どうなっているんだ。これは」

 僕は王都の危機を察して外で行われていた剣術の授業を切り上げた。学校の外には魔族がいた。魔王軍の魔族が王都に攻めてきた。


「アリア、皆を外に出すなよ」

 僕はそう言い、学校に広範囲の結界を張った。これで魔族は入ってこない。


「くそっ」

 僕は王都で暴れる魔族を見てそう言った。


「ヨミ!!」

 僕は名前を呼ばれたので振り返った。


「ここは俺が引き受ける。お前は魔王を殺せ」

 ガブリエルは僕にそう言った。


「分かった」

 僕は足早にこの場を去り、魔王城へ向かった。

 これは僕の失態だ。僕が魔王を危険分子と見なさず、放置してしまった僕の責任だ。



「辿り着いたか…」

 僕は魔王城に辿り着いた。僕は扉を開け中に入った。


(どういうつもりだ?)

 僕が城の中に入ると魔王の部下達が並んで道を空けていた。僕はその道に沿って歩いた。魔族は一向に僕に攻撃してこなかった。奥にある階段を上がり、広間のある扉の前に立った。


(開けるぞ)

 僕は扉を開けて中に入った。

 広間の奥に玉座があり、そこに仮面をつけた魔導服を着た黒い髪の毛で長髪の女がいた。


「………」

 仮面の女は玉座から立ち上がり、僕の方へと歩いてきた。


「………」

 僕も仮面の女に向かって歩いた。


「魔王はどうした?」

 僕は彼女に問いかけると彼女は足を止めた。


「前魔王は死んだ。現魔王はこの私だ」

 仮面の女はそう答えた。


「今すぐ王都に攻めている兵を引いてはくれないか?」


「悪いようにはしない」

 僕は魔王にそう言った。


「兵を引く?笑わせないで」


「私は王都を陥落し、それを足掛かりに世界を滅亡させるわ」

 魔王は平然とそう言った。


「ならお前には死んで貰う」


「魔力固定」

 僕は右手を横に向けた。右手の全指先から黒い魔力が黒い炎のように燃え、浸食するように手を覆った。右手に黒い大剣を出現させ黒い大剣を握った。空気中に漂う魔力を集め、自分の魔力を混ぜ合わせることで大剣を作った。


(結界を作り出したせいで僕の魔力が減りつつある。大技は出すことが出来ない)


「うおおおおおおおおおおおおおおお」

 僕は魔王に向かって行った。


「魔力固定」

 魔王の右手の全指先から黒い魔力が黒い炎のように燃え、浸食するように手を覆った。右手に黒い大剣を出現させ黒い大剣を握った。空気中に漂う魔力を集め、自分の魔力を混ぜ合わせることで大剣を作った。


「そんな馬鹿な…」

 僕は剣を振りかざし、それを受け止められた。僕と同じ黒い大剣で。


(僕と同じ力を使えるのか…)

 僕は後ろに移動した。


「………っ」

 僕は前に出て剣を振り下ろす。


「………」

 魔王は僕の剣を受け流すと、僕に向けて剣を振るった。僕はそれを受け流した。


 お互いに剣を交えた。

 相手は仮面を付けているから視界が悪いはずなのに僕と対等に戦っている。


「死ね」

 僕は剣を振り下ろした。


「………」

 僕の剣を受け止めた。


「ハードバースト」

 僕の魔力を黒い大剣に流すことで黒い大剣の斬撃の威力を上げた。黒い大剣からは黒い魔力が漏れ、剣から黒い魔力が漂った。


「くっ…」

 僕が黒い大剣が魔王の剣を破壊した。魔王は自分を守るバリアを作った。


「んな、馬鹿な…」

 僕は魔王が作るバリアも斬ろうとしたが、僕よりも力が強く、僕の剣は弾き飛ばされた。


「………」

 僕は後ろに後退した。


「素顔を見せろ」

 僕の技を使える奴を見て身震いしたのか僕は風魔法を使い魔王の顔に向けて放った。


「………」

 魔王は僕の風魔法を防がなかった。仮面は砕け、地に落ちた。

 

 魔王の顔は美しい顔をしており、その顔を見てどこか懐かしい気がした。


「久しぶり…、ヨミくん」

 懐かしい声で僕の名前を呼ばれた。


「アリサなのか…」

 僕は信じられない光景を見て、言葉を発した。


「アリサ!!」

 僕は走り出してアリサを抱きしめた。


「なんで生きてるって教えてくれなかったんだよ」

 僕はアリサを抱きしめて、アリサの顔を見て泣いた。


「ごめんね。生き返ったの昨日なの」

 アリサは困った顔をしてそう言った。


「会いたかった。ずっと君を想っていた」


「私もヨミくんのこと想っていたよ」

 僕とアリサは額をつけそう言った。


「アリサ、(うち)に帰ろ。僕の家、何人かで住んでるけどアリサも馴染めるから」


「だめだよ」

 アリサの返答に驚いた。


「なんで?」


「私はこの世界を破滅させるために蘇らせられたの」

 アリサは答えた。


「この世界を破滅させる事が出来なければどうなるんだ?」


「私は消えて無くなるわ」


「………」

 衝撃的な事実に僕は何も言えなくなった。


「分かった。この世界を滅ぼそう」

 僕はそう言った。


「貴方は王都を守るためにここに来たんでしょ」

 アリサは僕を諭した。


「じゃあ、どうすればいいんだよ」

 僕は困惑した。


「簡単な事だよ。私が居なくなれば良いんだよ」


「私はヨミくんに一目会えただけで幸せだよ。蘇って良かった」

 アリサの精一杯の強がりに僕は泣いた。


「ああっ」

 アリサは前に倒れたので僕は透かさず抱きしめた。アリサは足に力が入らなかったので僕はアリサを抱きしめ地面に座った。


「私に構ってないでお嫁さんのところに行きなさい」

 アリサはどんどん衰弱しているのか声がだんだん弱っていた。


「何でそういう事、言うんだよ!」

 僕は自分の事よりも人の事を心配するアリサにそう言った。


「ヨミくんが幸せで良かった」

 アリサは心の底から出た言葉だった。


「僕、幸せじゃないよ。アリサが死んでからずっと引きずってたよ。寝ている時、何回も夢で見るんだ。あの時、僕がアリサを助けることができたらって」


「アリサ。僕、もうダメだよ。アリサが居なきゃ」

 僕はアリサを抱え涙を(こぼ)した。


「そっか。私は幸せ者だね。嬉しい」

 アリサはそう微笑んだ。


「アリサ、この世を滅ぼしたいと強く願うんだ」

 僕はアリサを生き延びさせようとした。


「駄目だよ」

 アリサはそう僕に告げた。


「駄目なんかじゃない!!」

 僕はアリサの言葉を否定した。


「僕とアリサは前世から結ばれてて幸せに暮らすって決まっているんだ」

 僕は深淵の書を見てからあのとき見た物を理解した。


「知っちゃったんだ…」

 僕の言葉にアリサはそう答えた。


「僕とアリサはこの世界の創造主で、この世界に受肉したんだ。だから僕とアリサは結ばれなきゃいけないんだ」

 僕はそう叫んだ。


「ねえ、ヨミくん」


「………」

 アリサは起き上がり僕と唇を重ね、キスした。


「私、キスよりも(おでこ)をくっ付ける方が好きかも」

 アリサはそう言い、僕の(ひたい)に自分の額をくっつけた。


「落ち着いた?」

 僕の心臓の鼓動が聞こえるぐらい落ち着きが無かったが、アリサにして貰ったことで落ち着いた。


 再びアリサは地に倒れそうになり僕が抱えた。


「ヨミくん。私が死んでも生き返らそうとしちゃダメだからね」


「何でだよ」

 僕はアリサの言葉に揺さぶられた。


「ヨミくんが生まれたとき体が弱かったのは、私が生まれた世界に来させる為だったんだよ」


「だから私が死んだのもそうなる運命だったの。ヨミくんと一緒だったのは短い期間だったけど私、幸せだった」


「………」


「本当はヨミくんと一緒に大人になって結婚したかった」

 アリサは本音を明かした。アリサは涙を流した。


「もう、だめそうね」

 アリサの体から光の玉が出てきた。


「そんな、アリサ行かないでくれ」

 僕は必死にアリサを繋ぎ止めようとした。


「これ、上げる」

 アリサは身に付けていた指輪を渡してきた。僕はそれを受け取った。


「僕もこれ上げる」

 僕は自分の左手の薬指につけていた結婚指輪をアリサに上げた。


「ありがとう。結婚指輪ずっと欲しかったんだ…」

 アリサの左手の薬指に僕の結婚指輪を付けた。アリサは嬉しそうに微笑んだ。


「そろそろ行くね」

 アリサは自分の最後を悟ったのかそう言った。


「行かないでくれ」

 僕はアリサにそう言うが、アリサの体から光が出て消えそうになった。


「俺が何とかするから、アリサを蘇らせるから」

 僕がそう言った。


「この世に人を蘇らせる方法は無いの。今回、私は偶然蘇っただけ」


「私に囚われて生きてて欲しくない。約束して、ヨミくんは自分の人生を生きて」


「お願い」


「………。分かった」

 アリサは僕に必死にそう言うのでそう答えるしかなかった。


「最後に一つだけ」


「私、天国でヨミくんをずっと待ってるから。私を探して」

 アリサは僕にそう言った。


「分かった。絶対に見つけるから待っててくれ」

 僕は必死にアリサを抱きそう伝えた。


「大好きだよヨミくん」


「僕も愛してるよ。だから行かないでくれ」


「ありがとう」

 アリサは微笑み、アリサの体から光の玉となって宙に浮き消えていった。


「行かないでくれ。僕は君を愛してるんだ。本当だよ。だから行かないでくれ。君は僕の全てなんだ!!」


「アリサああああああああああああああ」

 僕は光の玉となって消えていったアリサの名前を呼んだ。アリサが僕の声を聞いて微笑んだようなそんな気がした。


「あっ…あっ…あああああああああ」

 何も無い空間で僕は消えていった光の方を見ていた。声にならない声で泣き叫んだ。



 僕は城を後にしてアリア達を連れ自宅に戻った。王都に攻めていた魔族は僕が帰ってきた後には居なくなっていた。魔王軍が攻めてきたのは僕を魔王城に来させるためだったと気がついた。


「………」

 僕は自分の部屋にいて本棚を見ていた。


「役に立たないじゃないか。魔法なんて魔法なんて」

 僕は本棚から本を取り出し地面に投げ捨てた。


「どうしたの?ヨミ」

 エリナが僕の様子を見に部屋に入ってきた。


「糞がああああ。何の為にこの世に魔法があるんだあああああ」

 僕は全部の本を地面に投げ捨てた。


「ヨミ、ヨミ」

 僕が暴れているのをエリナは必死に止めた。


巫山戯(ふざけ)るなあああああ、糞があああああああ」

 僕は必死に本に怒鳴りつけ、本のページをびりびりに破いた。


「離してくれエリナ」

 僕を抱きしめていたエリナにそう言った。

 エリナは僕の体から手を離した。


「ヨミ!!」

 僕は走って部屋の外に出て、自宅から出て行った。僕は暗い夜の外を走った。息が切れるがそれでも走った。僕はこの現実から逃げたかった。


 その後、僕は精神病院へ入院することとなった。入院中、色々な事があったけど無事に退院した。その話はまたの機会があれば話そうと思う。



 王都は地面や空気中から魔力が吸い上げられ、地面が割れ目に見えるほどの膨大な魔力がある場所に集まっていた。王都の建物が壊れ地面から黒い魔力が吹き出した。


「ここか。王都の…いや世界の地から吹き出した魔力が吹き出したのが集まっているのは」

 黒十字騎士全員がゲートを通り出てきた。そのの内の一人、テオドールはそう言った。

 

 この場所は円形闘技場のようで石製の地面で観客席は無く吹き抜けていた。地面は宙に浮いており、空には世界中から集まった魔力は丸い魔力の集合体に集まっていた。黒い魔力の集合体と円形の石畳と青い空しかそこにはなかった。


「なあ。一体何をしようとしているんだ、ヨミ…」

 テオドールは僕にそう言った。

 僕は二つの黒い大剣を持ち、円の中心で佇んでいた。頭には黒い天使の輪が浮かんでいた。


「本当にあいつが世界を混乱に陥れているのか?」

 ガブリエルは言った。


「どう見てもそうでしょ」

 ソフィアは答えた。


真逆まさか、ヨミと戦う事になるなんて」

 シャーロットは言った。


「戦う?そんな甘っちょろくないんだよ。ヨミを殺すんだよ。首を()ねるんだよ」

ヴィクトリアは意気揚々にそう言った。


「しかし殺せるのか?ヨミは強いぞ。ラストと双璧をなすほど強いからな」


「付けが回ったわね。私達は強い敵が出るとヨミとフェリクスに任せていたから」

 ドレイクはそう言い、その後、エレノアはそう答えた。


「やらなきゃ、世界は滅ぶ。仮令(たとえ)勝てなくても手傷を負わせれば何か変わるかもしれない」


「確かにそうだな」

 アリステアがそう言うと、ドレイクは納得した。


「おーい。ヨミ、聞こえてるかあー」

 カミラは僕に聞こえるように大きな声で言った。


「………」

 僕は何も答えなかった。


「意識が無いようだな」

 カミラはそう言った。


「話している場合じゃないな…。魔法で一斉攻撃をして仕留めるぞ」

 テオドールは空に浮かぶ今もなお集められている黒い魔力の球体を見てそう言った。


「合図するから合わせろ」

 テオドールの合図で魔法をヨミに打つけるようだ。


「せーの」

 テオドールは合図した。


「ダーク・メテオ」

「ヘル・ブースト」

「グローム・アルペレータ」

「ワグニル」

「ライカ」

「インフェルノ」

「スーパー・ソニック」

「ジェット・トルネード」

「ウルトラ・ノヴァ」

 みんな手を前に突き出し、魔法を呼び出す技名を言った。


「どういうことだ…」

 ドレイクはみんなの魔法が出ないことに驚きを隠せなかった。


「どうやらこの空間では空間魔法以外は使えないようね」

 ソフィアは言った。


「魔法が出ないとただの中二病みたいだな」

 アリステアはそう言った。


「確かに…」

 テオドールは冷や汗をかいた。


「ガブリエルは何を言ったのかな?ダーク・メテオ(笑)」


「恥ずかしいから、言うな」

 ヴィクトリアはガブリエルを揶揄(からか)った。


「お前ら準備は良いか」


「ああ」

 ガブリエルはそう言い、みんなは空間魔法を使い自分の武器を出した。


「行くぞ…」

 ガブリエルがそう言うとみんな武器を構えた。


「首を切り落としてやる」

 ヴィクトリアがまず最初に切り込んだ。僕は左手に持った剣で防いだ。


(ヨミはこっちを見ていない)

 透かさずカミラが剣を 振るったが、僕は右手の剣を逆さに持ち、剣を防ぐ。


「………」

 ヨミは左手の剣に力を入れ、ヴィクトリアを振りはらった。そして左手に持った黒い大剣を カミラに斜め下に振り下ろそうとする。


「ギィッ」

 カミラに向けて振り下ろした剣はガブリエルが防いだ。


(今だ)

 ヨミは二人の剣で塞がっている。


「おらあっ」

 ドレイクは自慢の右手のパンチをヨミの顔面に繰り出した。


「………」

 僕は(しゃが)み込み、それを避けた。僕は逆さに持っていた大剣を元に持ち直し、右回転し、黒い二本の大剣をぶん回した。


「「があああっ!!」」

 ドレイクとガブリエルとカミラは黒い大剣に当たり弾き飛ばされた。


「これが無かったら危なかった」

 ドレイクはそう言った物とはルビウスの首飾り。自分を害する魔力はすべて無効化する物だ。

 ここにいる黒十字騎士のメンバーはヨミ対策に身につけていた。だが黒十字騎士に配られたルビウスの首飾りは複製品だ。本物とは違うのでヨミの黒い大剣はじりじり二ならなかった。


(ヨミの注意が逸れてる今なら)

 僕の後ろに回り込んでいたソフィアは僕の首を刈り取ろうとしていた。


(こいつ、後ろに目があるのか?)

 しかし僕はソフィアの剣を左手に持っている剣で後ろ見なずにガードした。


「がああっ」

 次の瞬間、僕は右手に持っていた黒い大剣を右回転し横に振り回した。ソフィアは黒い大 剣に当たり、弾き飛ばされた。ソフィアは黒い大剣の打撃で口から血を出した。


「ソフィアあああっ」

 テオドールは叫び、僕に剣を振るった。僕はそれを全て避け、テオドールを剣の勢いで吹き飛ばした。


「攻撃をやめるな」

 シャーロットとアリステア、エレノアは僕に剣を振ってきた。僕はそれを受け止め、弾いた。


「邪魔だ、退け」

 紫のオーラを纏ったヴィクトリアは剣を振り下ろした。身体からも紫の雷が流れ、剣にも流れた。


「………」

 ユウイチは激しく振るわれる剣撃を黒い大剣で受け流した。


「今よ」

 アリステアとエレノアはヨミの両腕にしがみ付き動きを止めた。


「よくやった」

「ハードバースト」

 ヴィクトリアの魔力を剣に流すことで剣の斬撃の威力を上げた。剣からは紫のオーラが流れた。ユウイチに斬撃を浴びせようと剣を振り下ろした。


「………」

 ヨミは自分を中心に円形の防御バリアを作り出し、ヴィクトリアの攻撃を防いだ。


「はああああああああっっ」

 ヴィクトリアは剣をバリアで防がれるが、諦めてはいなかった。ヴィクトリアは叫び、バリアを斬ろうとした。


「オーバー!!」

 ヴィクトリア叫んだ。ヴィクトリアの剣から流れ出るオーラは紫から緑に変化した。ヴィクトリア自身、ここで自分の力の強さが上がるとは思ってもみなかった。


 剣と身体に纏わせる事の出来るオーラの強さは順番が決まっている。オーラの強さは次の順番で強くなる。まず初めは青色、その次に強いのは紫色、それより強いのは赤色か緑色になる。赤色か緑色かは分岐するのでどちらになるのかは分からない。最後は白色、まだ誰もその到達点には達したことが無い。これらのオーラは修行すると身につく。


「………グッ」

ヨミのバリアはヴィクトリアに破壊され左腕は切り落とされた。エレノアはヨミの腕が切られる瞬間回避した。ヨミの左腕と黒い大剣は地面に落ちた。


「みんなやったぞ」

 テオドールは喜んだ。為す術がなく世界が滅亡するだろうとみんな思っていたが、勝機が見えてきた。


「大丈夫か、ソフィア」


「大丈夫よ」

 アリステアは心配した。


「今度は、全員で攻撃だ。全員で一斉に攻撃すれば奴も一溜まりもないだろう」

 ガブリエルはそう言った。


 だがしかし黒十字騎士全員は目にすることになる希望から絶望にたたき落とされるその瞬間を。


「暗黒解放:死と滅亡の運命(ラグナロク)・オーバー」

 僕は唱えた。空に浮かぶ大量の魔力の球体から魔力がヨミに向かって注ぎ込み、切り落とされた僕の腕はくっ付き治した。僕は足はつま先立ちをし、身体は浮いていた。僕を中心に黒い魔力は流れ込み、球体となり僕を包み込んだ。


「………」

 黒い球体は壊れた。宙に浮いていた足は地に着いた。黒い二本の大剣からは黒い魔力が漏れ漂った。


「何だよ、あれ…。やばくねえか」

 テオドールは言葉を紡いだ。


「もう終わりね、私達」

 エレノアがそう言うとみんな戦う気が薄れていくような気がした


「まだ、諦めるな」


「私達はこの世界を守るためにここに来たんだろ」

 カミラがそう言うと、みんな何だか力が()いてくるようだった。


「そうだ。俺たちは最強の黒十字騎士だぞ」

 ドレイクは自分を鼓舞するように言った。


「奴を殺すにはみんなで一斉に攻撃するしかない」

「行くぞ」

 ガブリエルがそう言うと、黒十字騎士、全員がヨミを囲うように位置に着いた。


「死ねえェェェェェェ」

 ヴィクトリアは真正面から剣を振り下ろしてきた。ヨミはそれをいなし、剣で斬撃を受け止めた。ヴィクトリアの攻撃は止まることを知らない。ヴィクトリアに纏う緑のオーラが輝きを放っていた。


「……くっ、…っ、……っ」

 僕はヴィクトリアの剣撃を受けていたが、反撃に出た。僕の二刀流の連続の剣撃にヴクトリアは押されていた。僕は舞うかの如く、連撃を繰り出した。ヴィクトリアは押されていた。周りも共に戦いたいが戦いに入る隙が無かった。


「どはあっ…」

 僕は左手に持った剣を振り上げ、ヴィクトリアの剣を弾き飛ばした。そして右手の黒い大剣でヴィクトリアの腹に剣を()つけた。ヴィクトリアの首に掛けていたルビウスの首飾りの複製品は粉々に砕け散り、ヴィクトリアは遠くに弾き飛ばされた。ヴィクトリアは意識を失った。


「一人で先走るからだ」

 ガブリエルはそう言い、黒十字騎士の面々は協力してヨミを倒すために剣を振り下ろした。だがいくら数が集まろうと意味は無かった。


「………」

 次々から来る剣撃を黒い大剣で受け、一人、また一人、黒い大剣で相手を()ぎ倒した。

 僕は黒十字騎士、全員倒した。


「みんな、生きているか?」

 今にも息絶えそうなか細い声でテオドールはみんなに言った。


「ああ、生きてるよ。肋骨ろっこつがズタズタだけどな…」

 ガブリエルはそう言った。


「お前、それやばいじゃん」

 テオドールは言った。


「このまま伏せてようぜ。誰かがこっちに向かっている」

 テオドールはそう言い、「ああ」とだけガブリエルは答えた。



「やっと辿りつけましたね」

 黒い魔導服を着た女、ルナはそう言った。ルナは大人の姿でいた。


「ヨミ、来たよ」

 悲しそうな顔をしたエリナはそう言った。エリナは黒いドレスを着ていた。

 アリアとシエラも武装していた。


「行くぞ」

 アリア達は武器を構え、ヨミに向かって走り、剣を振り下ろした。


「…………」

 僕はアリア達と剣を交えた。


「……っ、……っ。があっ」

 ルナに狙いを定め、剣を振った。ルナは剣を普段振ることが無いので押されていた。ヨミは容赦なく、ルナに腹蹴りし、ルナは吹っ飛んだ。


「ヨミ!」

 シエラはルナがやられたことに激昂した。シエラから振り下ろされた剣を左手に持った黒い大剣で受け止め、右手に持っている黒い大剣で振り払い、シエラも吹き飛ばされた。


「………」

 アリアとエリナは連携し、僕を倒そうとした。


「………、人道羅刹(じんどうらせつ)

「グッ…」

 アリアは鋭い斬撃を繰り出してくるが、しかしヨミ相手にアリアは本気になれなかった。だから隙が出来た。ヨミがアリアの剣を力で弾くとアリアはバランスを崩した。ヨミは二本の黒い大剣を捨てると、アリアの腹に拳を打つけた。アリアは吹っ飛ばされた。


引き寄せる(アトラクト)

 僕の手に黒い磁力が流れ、二本の黒い大剣が反応しこちらに引き寄せられた。

 僕は黒い大剣を手に取った。


「………」

 僕とエリナは剣を交えた。僕は力でエリナの剣を弾き飛ばした。


「ううっっ」

 エリナは剣を弾かれ、ヨミの黒い大剣が振り下ろされエリナを真っ二つにしそうになる。


(お父さん、駄目えええええええ)

 僕はどこからか分からないが声が聞こえた。僕の動きがピタリと止まった。エリナはもうダメかと目を瞑っていた。エリナは何も起こらなかったので恐る恐る目を開けた。


「………」

 僕は涙を流していた。


「もう、疲れた」

 僕はぽつりとそう言った。


「そうだね。疲れたよね」

 エリナは涙を流しながら僕の顔を触った。


「帰りたい」

 虚ろな目は変わり、いつもの僕の目に戻った。


「うん。帰ろ」

 エリナの優しい言葉で僕の涙は止まらなかった。僕達は戦ったこの場所から自分の家に戻った。


 この戦いで誰も死ななかったのが救いだった。僕は迷惑を掛けたので黒十字騎士の皆に謝り、僕は黒十字騎士を辞めようとしたが辞める事にはならなかった。僕は意識が無かったとはいえ、酷い事をしてしまったので家族の皆に謝った。

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