41話 暗黒厄災
「ミネルヴァ分かっているのか?この世の全ての不幸は妖精が引き起こしているんだぞ。俺の妹のさなも妖精女王の所為で…」
僕の姿は元に戻った。
「ふふふふふ」
「何が可笑しい?」
「だって、さなさんが死んだのはお父さんの所為じゃん。妖精の所為にすれば楽だもんね」
「………」
「俺の妹が妖精の所為でえええ笑笑」
「黙れ…」
「さなが生きていたらこう言うかもよ。お兄ちゃん、人の所為にするのは良くないよ。自分の過失を認めよ??」
「黙れええええええええ!!」
僕はミネルヴァの言葉を聞いて怒りを覚えたから叫んだ。
「お前は人間じゃない。もう俺の娘じゃない、ここから消えろ」
「消えないよ?私はお父さんとここで殺し合う為に来たんだもん」
「じゃあ、今すぐここで殺してお前の母さんがいる天国に送り返してやる」
「お父さんは何も分かってない。自分の事しか考えてない、ホント暢気だね」
「……、戦うぞ」
「ええ」
これから僕の娘のミネルヴァと戦う事になった。ミネルヴァは僕から距離を取った。
「ぶっ殺してやる」
「出来るならね」
風が吹き荒れ、僕とミネルヴァを風で包み込み大きな風の渦の球体となった。僕の球体は深い赤色でミネルヴァの球体は深い黄色の球体となっていた。僕とミネルヴァの二つの風の渦の球体は打つかり合い消え、中が露わになった。
「暗黒大禍」
頂点二つが上にくる正六角形の形の胸の鎧の部分にマヤ暦占星術で使われる太陽の紋章の中の一つ『赤い月』の紋章が浮かび上がった白い蜘蛛の巣が僕の鎧の中央と両肩に張り付いた。僕の両眼の角膜の色は赤に変わり、瞳孔は黒く鋭く尖った。
僕の目の光りは失われ冷たい目となった。そして両眼の下に黒い刻印が浮かび上がった。その刻印は目の下一センチ空けて、眉毛と平行な直線で鼻の近くから耳の耳介付近に向かって伸びている。そして直線の真ん中から耳垂に向かってて一直線に黒い刻印が伸びている。まるで耳に向かってYの文字の上の部分が横に倒れているかのような刻印だった。
口の中の下顎の両方の第一大臼歯は発達し、硬い物を簡単に貫くかのような上に突き上げた黒い大顎となった。黒い大顎は僕の目の辺りに向かって突き上げた形となり大顎は角張った形をしていた。
両手は真っ白な陶器のような色の天翼族の大翼となり、両足は化け物みたいな禍々しい深い黒色の三本鉤爪のみで足の爪の部分に二本、踵に一本の鉤爪となった。人の頭を鷲掴みし、粉砕する事の出来るような大きな爪であった。球体状の深い赤い風の渦が消え、中が露わになった時、僕は怒りで力が込み上げ、有り余る力を支える為に大きな両翼を自分の身体の前の地面に突き刺し、四足歩行の獣のような姿勢になった。地面に突き刺した大きな両翼は防御しているようなV字型をしており、真正面にV字の尖った先が向いていた。そして僕はその場で咆哮した。
「暗黒天災」
頂点二つが上にくる正六角形の形の胸の鎧の部分に黒色の二本の縦の平行線が浮かび上がった。ミネルヴァの両眼の角膜の色は黄色に変わり、瞳孔は黒く鋭く尖った。
ミネルヴァの目の光りは失われ冷たい目となった。そして両眼の下に黒い刻印が浮かび上がった。その刻印は目の下一センチ空けて、眉毛と平行な直線で鼻の近くから耳の耳介付近に向かって伸びている。そして直線の真ん中から耳垂に向かってて一直線に黒い刻印が伸びている。まるで耳に向かってYの文字の上の部分が横に倒れているかのような刻印だった。
口の中の下顎の両方の第一大臼歯は発達し、硬い物を簡単に貫くかのような上に突き上げた黒い大顎となった。黒い大顎は僕の目の辺りに向かって突き上げた形となり大顎は角張った形をしていた。
球体状の風の渦が消え、中が露わになった時、ミネルヴァは僕を挑発するように両翼を斜め下に軽く上げ初列風切ら辺を折り曲げこちらに向けた。
僕の周りの風を使い土を吸い上げた。
「大地の刃」
僕は土で作った刃を五発ミネルヴァに放った。
「ブレード」
ミネルヴァは真っ白な陶器のような色の大翼を刃のように硬くし、五発の土の刃を両翼で全て斬り払った。
「!」
ミネルヴァの周りに土で作った刃を展開した。
「プロテクト!!」
ミネルヴァは少し焦り、風のバリアを展開した。
ギギギギギギギギギギギギギギギギン!!!
風のバリアと土の刃が打つかり合い音が鳴り響く。
「そんなんじゃ効かないよ」
ミネルヴァは全ての土の刃を防ぎ切った。
「…………」
僕の前の横一列に無数の土の刃を作り出した。
「もう良いよ、お父さん」
「薙ぎ払い」
「!」
左に翼と共に身体を捻り、振り払う動作をし、大味の風のブレードを生み出した。僕の土の刃は僕から見て右からどんどんミネルヴァが生み出した風の刃で粉々になった。
「………」
僕は土の壁を自分の右側に作り出し攻撃を防ごうとした。
「うおおおおおおおおおっ!!」
僕は土の壁が壊されぬように魔力を注ぎ込んだ。
「………」
僕は何とか攻撃を防いだ。僕が魔力を注ぐのを止めたら土の壁は砕けた。
「死ぬところだったね」
ミネルヴァは笑った。
「なにそれw」
僕が土で長いブレードを二本作りだし一本ずつ翼で握った。そんな僕を見てミネルヴァは笑った。
「お父さん、翼で攻撃すれば良いのに。気が狂ったの?」
僕はミネルヴァに向かって行き土の刃で攻撃した。ミネルヴァは翼で攻撃を防いだ。
「無意味だよ」
ミネルヴァは呆れて動かず風のバリアを展開した。僕は何度も土の刃で攻撃するがその攻撃は無意味に等しかった。
「?」
僕は後ろにバックステップし、ミネルヴァから距離を取った。
「!」
そして僕はミネルヴァに向かって走り出し勢いをつけジャンプし両手でミネルヴァのバリアに突き刺した。ピッケルを使うかのように何度も突き刺しそして貫通した。
「ま、真逆私のバリアを貫通させるなんてね…」
ミネルヴァは冷や汗を掻いた。
「でもそんなに近くて良いの?」
「!」
ミネルヴァは内から外に風を発散させた。僕は吹き飛ばされ、土の刃は粉々になった。
「先ので決めたかったようだけど駄目だったね」
「もう諦めたら??」
ミネルヴァは僕にそう言う。
「黒い枝」
一瞬の内に僕の両翼の翼の真ん中から黒い刃がミネルヴァに向かって真っ直ぐ突き出し、枝分かれしミネルヴァの身体を貫いた。
「かはっ!!」
ミネルヴァは血を吐き出し貫かれた身体からも大量の血が流れた。ミネルヴァは先の攻撃を防ぐ事が出来なかった。速すぎる攻撃だった。
「化け物がっ!!」
ミネルヴァは僕を見てそう吐き捨てた。僕の両翼の翼の真ん中から出た黒い刃は翼を侵食し鼓動していた。
「ふんっ!!」
ミネルヴァは黄色い電撃を外に向けて放ち、自分を貫いていた僕の黒い刃を破壊した。ミネルヴァは回復魔法を自分に掛けて傷を治した。
「お父さん、私まだ戦えるよ」
ミネルヴァは自分を風魔法で包み込み飛んだ。そして僕の周りを低空飛行で飛んだ。
「死ねえええええええええ!!」
僕は自分の周りに風を纏わせ、ミネルヴァに照準を合わせる為に身体を回転した。そしてミネルヴァに向けて両翼を向け、黒い刃を走らせた。
「良いよ、お父さん。でも私に追いつけるかな?」
ミネルヴァのスピードに僕の黒い刃は追いつけなかった。
「鬱陶しいなあ」
ミネルヴァは身体を回転させ勢いを付け攻撃の威力を上げこちらに向かって飛んで来た。
「!」
僕は黒い刃を自分の元へ戻し防御の態勢を取ろうとした。だがミネルヴァの行き成りの攻撃に反応が遅れ、防御が不十分な状態だった。
バリリリリリリリリンン!!
ミネルヴァの攻撃は物凄い威力で僕の黒い刃は粉々に破壊された。そして…。
「がああああっ!!」
僕はミネルヴァの回転攻撃を受けた。僕は吹っ飛ばされた。
「クソがっ!!」
僕は地に倒れていて起き上がろうとしたが口から血を吐き出した。先の攻撃で身体の骨が何本か折れている事を自覚していた。だから回復魔法で治した。
「………」
僕は立ち上がり相手に向き合った。
「先の技、凄かったでしょ」
「ああ」
僕は答える。
「私、お父さんと斬り合いしたい」
「いいだろう」
「「 ブレード」」
二人は真っ白な陶器のような色の大翼を刃のように硬くした。
「行くぞ!」
「ああ!」
二人は互いに向かって行き、大翼を振り下ろした。
バリン!バリン!!バリンッッ!!
大翼同士を打つけ合い、打つかる音が周囲に鳴り響く。
バリンッ!バリン!バリン!バリンッ!!
(くっ…。重いッ!)
大翼同士が打つかり鬩ぎ合う。父親の翼の重みに娘は耐える。
(防御の態勢を取るか…?いや、攻める!!)
ミネルヴァは一歩も引かず攻めた。互いに鎬を削る戦いを繰り広げた。
「!」
斬り合いの中でミネルヴァに隙が生まれた。
「終わりだ」
僕は大翼で上から下へ振り下ろした。刃が当たる直前にミネルヴァの身体から黄色い電撃が迸り瞬間移動した。そうこれがミネルヴァの身に付けている鎧の力なのだ。
(終わるのはそっち)
ミネルヴァは僕の背後に瞬間移動した。そして大翼を振り下ろそうとした。
「!」
ミネルヴァが父親から遠ざかるように瞬間移動した。
「これは一体どういう…」
ミネルヴァは困惑した。そして父親の姿を見て理解した。自分の鎧が危機を察知して自動で安全な場所に移動したのだ。
「暗黒厄災」
真っ白な陶器のような色の天翼族の大翼は真っ直ぐ垂直に下ろされていて、大地に突き刺さった足の三本鉤爪の爪先まで大翼の先が届いていた。両翼の翼の真ん中に黒く染まった台形のような模様が前後に既に現われており、後ろ側にある翼の黒い模様を中心としそこに逆三角形の点を定める。逆三角形の点の位置に黒い刃が後ろに生えていた。僕を中心に大風が吹き荒れた。
「天翼の支配者…」
ミネルヴァは僕の姿を見て勝てないと悟った。
「!」
ヨミの身体はフラつき今にも倒れそうだった。その一瞬にミネルヴァは勝機を見い出し、捕縛の魔法を発動した。そして僕の身体は地面から出た鎖で身動きが取れなくなった。
「暗黒彗星」
空からとんでもない大きさの黒色のオーラを発する石の塊がゆっくりと落ちて来ようとしていた。大きな石の塊は地面に近づいていき、僕とミネルヴァを影で覆った。
「お父さん、一緒に死んで天国に行こう!!」
「………」
僕の娘のミネルヴァは涙を流していた。僕は何も言わずミネルヴァを見ていた。
「!!」
落ちようとしていた大きな石の塊とお父さんを縛っていた鎖と共に砕け破壊した。石の塊は砕け地に落ちる。僕と娘の真っ直ぐな視界を砕けた石で遮らぬように風魔法で守った。僕は圧倒的な力の差を自分の娘に見せた。
「そんな力があるのに何でお母さんを救えなかったの!!」
「私は一度死にあの世に行った。でもお母さんはどこにも居なかった。天国にも!地獄にも!!」
ミネルヴァは涙を流し僕に訴えた。僕は自分の娘の言葉にハッとし意識を取り戻した。僕はもう戦う意思は無いので元の姿に戻った。そして自分の娘に近づき抱きしめた。
「すまなかった」
僕は娘を抱きしめ謝る事しか出来なかった。
「なあ、ミネルヴァ。母さんがどこに居るか見当はついているか?」
「ある程度は…。お母さんは妖精女王によって誘拐され幽閉された。だがお母さんはそこから逃げ出した、自分の身を守るために…。逃げた後の牢屋の中には削れた跡が残ってたらしい。お母さんが入った部屋は幽閉されている者の魔法を一切使えなくさせる効果がある部屋だ。頑丈な鎖で拘束されてたんだ力を振り絞って自分の魔力を発散し、空間に穴を空けそこに吸い込まれ逃げたんだろうって牢番が言ってた」
「そうか、母さんは次元の狭間に流されたという事か…」
「多分、そうだと思う。」
「俺はてっきり天国にいる物だと思ったよ」
「何で?」
「俺は母さんと繋がりがあるからな。今も天国にいるって感じるんだ」
「それ、本当なの?」
「ああ。でも天国には居ないんだろ?天国にいるのは気のせいなのかな?古い繋がりだから正しく無いのかもな。全く分からん」
「そっか…」
ミネルヴァは落ち込んだ。
「そういえば、俺が病院に入院して保護室にいた時、母さんらしき白い翼を持った女性が僕の傍に現われたんだよなあ…」
「本当!?」
「まあでも俺あの時、可笑しくなっていたから幻覚が見えていたかもしれない」
「お母さんは何か言ってた?」
「んーと。何言ってたっけ?」
「馬鹿親父」
ミネルヴァは呆れた。
「俺は精神が可笑しくなっていたからな余り昔の事は覚えてないんだ。確か僕はその頃暴れていて手を付けられない状態だった。でも母さんの幻覚を見て落ち着いたんだ。あの時、母さんの幻覚を見なかったらもっと拘束されて大変な事になったと思う」
「大変だったね」
ミネルヴァは悲しい目で僕にそう言った。
「…あ、思い出した」
「何を?」
「母さんは俺に『これ以上暴れないで。貴方は大人しくしとけば直にここを抜け出せる、助けを呼んだから安心して』と言ってたな」
「あと、『お前は昔からそうだ、私が傍に居ないと直ぐ問題を起こす。本当に世話が焼ける』
とも言っていたなあ」
「ふふふふふ」
「ミネルヴァ?」
「それ絶対、お母さんだよ」
僕の言葉を聞いてミネルヴァは笑った。
「お前これからどうする?俺の家に来るか?」
僕とミネルヴァは立上がった。
「お父さんの家には行かない。私にはやるべき事があるから。じゃあ、私はもう行くね」
「ミネルヴァ!また会えるよな?」
「うん。数年後、また会おうお父さん!」
ミネルヴァは自分の住処へ飛んで行き帰った。
数日後…。
僕は自分の家の敷地にいた。そして中ぐらいの魔法陣を展開した。魔法陣は光を放った。そして光る魔法陣から嘗ての戦友である暗黒五強のメンバー全員を呼び出した。
「「んあ?」」
俺以外の暗黒五強のメンバー全員がビールを注いだ樽ジョッキを飲んでいた。
「よお。お楽しみ中に急に呼び出して申し訳無いね」
僕は手で挨拶した。
「な、これは」
シリウスはやばいと思い樽ジョッキを後ろに隠した。
「ほら、お前達も」
シリウスが小さな声で他のメンバー達に空気を読めと指示した。レグルスとアルゴルも後ろに樽ジョッキを隠した。
「何だ?お前達もう飲まないのか?」
ベガは皆の行動を見てそう言った。
「はああーっ」
シリウスはそう言うベガを見て深い溜め息を吐いた。
「アルタイル、久しぶり」
「ああ。皆、久しぶり」
シリウスは僕に挨拶しので返答した。
「今日は何故、呼んだ?戦いかッ??」
アルゴルは気分が高揚した。
「な訳無いでしょ」
レグルスは呆れていた。
「今日はお前達に謝りたくてここに呼んだ。解散したあの時、お前達はバラバラに散ったと思っていたが、俺抜きで楽しく酒を飲んでいたとは、トホホ…」
僕の心には悲しみが溢れていた。
「アルタイル、これはだな…」
シリウスは弁解しようとした。
「弁解しなくていい、シリウス。俺達はお前が嫌いだからお前抜きで飲んでいた」
ベガは僕に指を刺してそう言い放った。
「うぐっ…」
確かに陰で嫌われているという事は分かっていたが面と向かって言われると傷つくなあ。
「おい、ベガ。そういう言い方は良くないぞ」
「「なっ…」」
戦闘狂で短気なアルゴルが真面な事を言うので皆、吃驚した
「アルゴル。お前、大丈夫か?」
シリウスはドン引きした。
「アルゴル、お前変な物でも食べたんじゃないよな?」
ベガはアルゴルを弄った。
「アルゴル、口見せて」
「どうしてだ?レグルス」
「いいから!」
「こうか?」
レグルスはそう言うとアルゴルは地に両膝を付け口を開けて皆に見せた。
「周りが明るくて中がよく見えないなあ。ん、何かある喉の奥に!」
レグルスはそう言うと緊張が走る。
「寄生虫か?」
「まさか」
「取ってくれ!」
流石のアルゴルでも焦る。
「じゃあ、取るよ」
レグルスはアルゴルの口の中に手を突っ込んだ。
「いっせーの」
そして口の中にある怪しい物を握ってグイっと引っ張った。
「馬鹿野郎!それは俺ののどちんこだああ!!」
アルゴルは叫ぶ。
「にししししし」
レグルスは子供がイタズラして成功した時に笑うコソコソした笑いをした。
「「はははははははははははははははははは」」
皆、心の奥底から笑った。その後、僕の自宅から酒や食い物を持ってきて宴会をした。久しぶりの戦友達との宴だ、とても楽しかった。
次の日の朝。
僕は暗黒五強のメンバー皆に土下座をして謝った。自分の都合で天国で幸せだった戦友を無理矢理蘇らせたんだ殺させても文句は言えない。
「アルタイル、頭を上げろ」
ベガが僕にそう言うと皆驚いた顔をした。
「最初は自分の都合で俺達を蘇らせた事に怒りを覚えていたが、もう過去のことだ。水に流そう」
僕が顔を上げてベガを見るとベガは澄んだ顔をしていた。
「あれれ、ベガもアルゴルみたいに何か変な物食べた?口の中見せて」
「いや、嫌だよ」
レグルスの指示をベガは拒否する。
「ベガ、寄生虫だったらどうする。口を開かないとだな」
アルゴルは笑ってそう言う。
「そうだな、アルゴルの言う通りだ。口を開け」
僕は笑いながらそう言った。
「ベガ、口を開けようか」
シリウスもノリノリだ。
「嫌だ、止めろ」
「ぎゃあああああああああっ!!」
ベガの悲鳴が辺りに鳴り響いた。
その後、僕は戦友達の魂を解放し戦友達は天国へと旅立った。別れは寂しいものだがまた天国で会えるだろう。
今日は家族や友人を集めて外の庭でパーティーをする為に皆、準備をしていた。僕は今日、自分の父であるシスイをここへ呼んだ。
「やあ、父さん」
「久しぶりだな…、ヨミ」
僕の父さんは僕の母に連れられここへ来た。母は僕の意図を察したのか自宅へ入って行った。
「座って、ゆっくりで良いから」
「ありがとう」
僕とシスイは大きな石の上に座った。
「昔、父さんと戦った時、父さんが僕を挑発したのは態とだったんだね。大人になってやっと分かったよ。父さんも俺を生き延びらせる為に必死だった。だからアリサを殺すしか選択肢が無かった」
「済まなかった…。本当に済まなかった」
シスイは涙を流しながら地面に土下座して謝った。
「止めてくれよ、父さん!言い訳してくれよ…」
僕も両膝を地面に付いて父さんの土下座を止めた。
「………」
僕は父さんを抱き締めた。父さんも僕を抱き締め返した。
「何でアリサを殺したんだよ。アンタ、大人だろ。何でもっと上手くやらなかったんだよ」
「済まない。ああ、するしか方法は無かったんだ」
二人で抱き合って男泣きした。
「俺が病院に閉じ込められていたのを助けようと手引きしたのも地獄へ行く夢の途中で助けてくれたのも父さんなんだろ。俺、分かってるよ、生き地獄から救ってくれてありがとう」
「ああ、良いんだ」
僕と父さんは再び抱きしめ合った。そんな二人を皆、陰から見守っていた。
皆それぞれ準備を進めてくれたのでもう直ぐパーティーを始められそうだった。
「お父さん!」
ルークが僕を呼ぶ。ルークの傍にはリリアが居てリリアは赤ん坊を抱えていた。その赤ん坊は俺の初孫で名前はカンナだ。僕は直ぐにルークの傍へ行った。
「はーい。じいじでちゅよー」
僕は孫にそう言いあやした。
「おお、離さんぞ」
僕は孫に人差し指を出すと、孫は手で握りしめ離さなかった。
「お父さんにお願いしたい事があるんだ」
「何だ?」
「この子はまだ雪を見た事が無いから、今ここで雪を見せて上げたいんだ」
「ああ、いいぞ」
僕はルークの願いの通り天候を操り雪を降らせた。
「うわー、綺麗。雪だ」
皆、初雪を見て感動していた。
「雪だよ、カンナ」
ルークは自分の娘にそう言った。俺の孫のカンナは初めて見た雪を見てとても喜んでいた。
「良かったねえ。じいじが雪を降らせてくれたんだよ」
ルークの嫁であるリリアが俺の孫をあやしながら言った。
「………」
「お義父さん?」
リリアは僕が自然と涙を流しているのを見て戸惑った。
「俺はこの子とこれから生まれてくる孫の為に真っ当な道を歩んで行こうと思う」
僕はカンナにまた指を握られていて温もりを感じた。小さな手だがもの凄く温かい。俺はこの命を守る為に生まれたんだ。そう感じた。ルークとリリアは温かい目で僕を見た。
「皆、パーティーの準備出来たよー」
僕の子供がそう言うと皆、ブルーシートに入り乱れて座った。
「じゃあ、お父さん。乾杯の挨拶して」
「ああ」
僕はビールグラスを握り締め乾杯の挨拶を始めた。
「ええ、皆様、お忙しい中お集まり頂きありがとう御座います。今日の天気は雪でとても寒いですが偶にはこういうのも季節を感じられて悪くないと思います。寒い方は彼処で火を起こしますのでご安心下さい。それでも寒い方は家の中で暖まって下さい。食事も自宅のテーブルにありますのでどうぞ、ご自由に飲み食いして下さい。では皆、自分の飲み物を持って。皆の明るい未来と健康を祈念いたしまして乾杯!!」
「「乾杯」」
皆で乾杯し、食事を始めた。
「ハル、ほらもっと飲め」
ハルの透明なプラスチックのコップの飲み物が無くなっていたので僕は注ごうとした。
「…、何で居ないんだよ…」
「え?」
僕は聞き返した。
「父さん、何で母さんはここに居ないんだよ!」
「お兄ちゃん!!」
ハルの妹のアキは兄を窘めた。
「ハル、アキ安心しろ。俺がいつか母さんをここへ連れてくる。俺が何とかする」
「「………」」
僕の言葉を聞いて二人は涙を流した。
俺はどんな困難が降りかかっても諦めない。絶対アリサをこの世に蘇らせる。そして再会して言うんだ『一緒に暮らそう』って。




