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天翼の支配者【リメイク版】  作者: 火山 千
第一部

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39/40

39話 暗黒大禍

「んー。とても泣けるねえー」

 僕の後ろから声がしたので振り返った。振り返ると白い鎧を身に付けた懐かしい人物がいた。


「ハル…」

「久しぶり、父さん」

 僕の前にいたのは僕の息子だった。


「何でお前がここに…」


「そうだよなあ、父さんは俺達をここに来れなくしたんだから驚くよなあ」


「お前と母さんが人類の創造主という定められた宿命から解放される為に俺と妹は人柱にされた。俺はお前に復讐するために運命を捻じ曲げてここへ来た」

 ハルはここに来た経緯を言った。


「アンタは俺達に宿命を押しつけて解放されてどう思った?」


「どう思ったかって?やっと解放されたと思ったよ」


「俺達に申し訳無いと思わなかったのか?」


「ああ、全く思わなかったよ。だってさあ!子供っていうのは親の尻拭いをする為に生まれてくるものだろ」


「そうか。何か止むに止まれぬ事情があったのかと少しばかり思っていたけどお前が只のクソ野郎って事が分かったよ」


「何か理由があれば許してくれるのか?軽いなあ、軽すぎるよ。お前の復讐心はそんな事で消えるのか?」


「どうやら人の神経を逆撫でするのが好きらしい」


「おー、怖怖」

 ハルは顔に血管が浮き出る位、怒りに満ちていた。


「ハル、俺と戦うなら場所変えるぞ」

「戦いはもう始まっている」

 ハルがそう告げた瞬間、王都の至る場所で爆発が起きた。街の人々の悲鳴と子供が泣く声がした。街が破壊されていった。


「ハル、お前の仕業か?」

「そうだ。俺の仲間が暴れている」

「今すぐ止めろ」

「嫌だ」

 ハルは拒否した


「場所、移動するぞ。ついて来い」

 俺は風魔法で宙に浮き、空に向かって飛んで行き、王都の外に向かって行った。ハルも風魔法で僕の後ろに付いて来た。


(ここら辺で良いか…)

 バチン!!

 僕は風魔法で高速で移動し、空中で風魔法を急に解いた所為で音が鳴り地に降りた。ハルも地に降りた。


「ハル、王都で仲間を暴れさせるのを止めろ」

「……」

「仕方無いなあ」

 ハルは空間魔法で花火玉を取り出し火を付け、空高く投げた。そして花火が散った。

すると王都の街が破壊されるのが止まり、六つの黒い影がこちらへ来た。そしてハルの所に六人のハルの仲間が集まった。


「ハル様、其奴がハル様を捨てたクソ親なんですか?」

 仲間の一人の女が聞いた。


「ああ、そうだ。今から父と戦うからお前達はそれを見届けろ」

「了解」

 仲間の一人の男はそう答えた。


「ヨミといったか、奴は強いのか?」

「さあ?まあ、ハル様の父親なんだから強いでしょ」

「そうか。お手並み拝見といこうか」

 どうやら仲間達は見物するようだ。


「暗黒咆哮」

 ハルは唱えた。空気中にある無数の膨大な魔力がハルを中心に集まる。ハルの身体は少し浮かび、魔力はハルに向かって流れ包み込み、白い渦のような球体となった。そして球体は割れ地面に破片が落ちた。ハルの宙に浮いていた足は地面に着いた。ハルの姿は変わり。眼の瞳孔は黒く尖り、角膜は深い白色になり、眼の光りは失われ冷たい目となった。ハルは白い鎧を身に付けた姿となった。


 ハルの両手にはそれほど大きく無い、二つの白い盾を持っていた。盾の形は上の部分が平らで両側は下に真っ直ぐで、下の部分は尖っている形だ。盾の裏の上の部分に盾を持つ為の持ち手があり、ハルはそれを握りしめた。


 足は化け物みたいな禍々しい黒い三本鉤爪のみで足の爪の部分に二本、踵に一本の鉤爪だった。足の鉤爪が地面に突き刺さっており、鉤爪のみで身体を支えていた。鉤爪は人の頭を鷲掴みし、粉砕する事の出来るような禍々しい大きな黒い爪であった。手も禍々しい黒い鉤爪に変化した。


「暗黒咆哮」

 僕の手と足はハルと同じ姿となり無色の鎧を身につけた姿となった。


「お前、まさか。意味を分かっててその盾を使うのか?」

「意味?そんなのどうでも良いだろ」

「お前ッ!!」

 僕は強く睨む。


「お前達、自分達が何をしたか、分かっているのか?」

「「はあ?」」

 俺はハルとハルの仲間に聞いた。


「お前達が暴れた所為で家を失った人がいる。お前らは取り返しのつかない事をしたんだぞ」

「だから何だよ」

 ハルの仲間は少し笑った。


「泣いていた」

「「は?」」

「子供が泣いていた!!」

 風魔法で飛行している時、壊された家の前で泣いていた子供を見かけた。僕はその光景を忘れる事は無いだろう。僕は涙を流し男泣きした。


「このおっさん、いい歳こいて泣いてるよ」

「ウケるんですけど!!」

「「ははははは」」

 ハルの仲間は男泣きする僕を見て笑った。ハルは笑わなかった。


「ハル!来い!!」

 ハルと僕は互いに向かって行った。


 ガンッッ!!!

 ハルは右手の盾を僕に向けて突き出ながら突進した。僕はハルの盾の攻撃を拳で受けた。


「おらあああっ!!」

 ガッガッガッガ。

 ハルは身体を回転させ両手に持つ盾をぶん回した。僕は後ろに後ずさりしながらガードの姿勢を取り自分を守る。


「ぐらあああああっ!!」

 ガキンガキンガキンガキン。

 ハルは防御の姿勢を取ってる僕に両手の盾での攻撃をする。


(硬い!なら!!)

 ハルはしゃがみ僕の足に目掛けて両手の盾での攻撃を打つけようとした。


「!」

 だが僕はジャンプし盾の攻撃を避けた。


「その盾をそんな風に使うんじゃねえ!!」

 両手の手同士を握り、上から下へ重い拳をハルの背中に振り下ろした。


「がああああっっ!!」

 ハルは拳を叩きつけられ、物凄い力だったので地面が割れた。僕は後ろに移動した。


「うがあああああっ!!」

 ハルは血を流しながら僕に向けて盾の先端での攻撃を仕掛けてきた。


「隙を見せたな」

「!」

 僕はハルの盾攻撃を(かわ)した。僕が避けたことで力の行き場が無くなり、隙が生まれた。


発勁(はっけい)!!」

 そしてハルの横腹に素手での打撃を繰り出した。


「がああっっ!!」

 ハルは弾き飛ばされた。


 ズズズズズズ。

 ハルは盾を地面に打つけながら勢いを殺した。


「不動」

ハルは片方の盾を地面に突き刺し僕に手を向けた。僕はガラスのように割れた。そして僕は動けなくなった。


「神速!!」

 ハルは盾を再び握り、物凄いスピードで僕の前に来た。


双盾連打(そうじゅんれんだ)

 ハルは無防備な僕の身体に 両手の盾を何度も打つける連続攻撃を繰り出した。


「があああっ!!」

 僕はこの攻撃を無防備な状態で受けた為、大ダメージを受け血を吐いた。

 この攻撃で鎧は砕けボロボロになった。僕は最後の攻撃で吹っ飛び、地を転がった。


「決まったな」

「弱すぎ」

 ハルの元に仲間が集まった。


「ん?何だ?」

 僕は立上がった。


「ボロボロなのにまだやるのか?」

 仲間の一人が僕を見てそう言う。


「なあ、ハルよ。お前は分かってないから俺が教えてやる」

「………」

 ハルは黙って聞く。


「母さんがお前の為に剣では無く盾二つを作った理由はな、お前が剣で人を殺さず二つの盾でこの世界で暮らす人々を守る存在になって欲しかったからだ」

 僕はアリサの思いを伝えた。

 

 ハルは過去を思い出す…。地球全体が見える暗い場所で一つの光の球があり、その球体の中でアリサとハルとハルの妹のアキの三人で地球を見渡していた。


「ハル、貴方の為に装備一式作ったの。貴方がもし戦う事になったらアキや弱い立場の人達をちゃんと守ってね。約束よ」

「うん」

 ハルはその時は幼かったから深くは考えていなかったが頷いた。


「ハル。お前はそんな母さんの思いを無下にするのか」

 僕は自然と涙を流し、男泣きしていた。


「うわ、また泣いているよ」


「格好わる」


「母さんの思いとかwくだらねえww」


「「クスクス」」


「おいおい皆、余り笑ったるなよ」

 ゲラゲラゲラゲラ。

 皆、俺の言葉に笑った。僕は拳を握りしめ、その場に立っていた。


「笑うな…」

「あ?何だって?」

「俺の嫁を笑うんじゃねえ!!!」

 僕は耐えきれず叫んだ。


「あははははは。俺の嫁を笑うんじゃねえ、だって」

 ゲラゲラゲラゲラ。

 僕は笑われた。


「余り嘗めるなよ、小僧共。ぶっ殺してやる」

暗黒双爪(あんこくそうそう)

 僕は両手を地につけ獣の姿勢になり唱えた。すると僕の両手両足の指先から黒いオーラが流れ出て煙のように上に上がった。


「あーあー。演出が激しいなあー」

 一人の男がそう言い前に出る。


「ライ」

 仲間の一人が男の名前を呼ぶ。


「其奴は俺がやるからお前らは見ておけ」

 男はそう言い、身体から雷を発した。


「おっさん、死ねえええええエええええ」

 男は眼にも止まらぬ速さで僕の方へと向かって行った。そして僕に向かって鋭い突きが来る。


暗黒の衝撃(ダークネスインパクト)

 パアン!!!!

 何かが弾ける音が鳴り響いた。


「ん?あ?」

 攻撃された男は理解が追いつかなかった。男は顔面にヨミの拳が炸裂し、弾けた音が鳴ったのだ。


「あ…」

 男は後ろに倒れ絶命した。


「野郎、やりやがった」

 ハルの仲間達はざわめく。


「おい、どうするんだよ。ライはこの中でも上位に入る位、強いんだぞ」

「なあ、ハル。どうするんだよ!」

「なあ!!」

 仲間の男はハルに聞いた。


足手纏い(あしでまとい)は要らない。あと母さんを笑うな」

 ハルは深い赤色の火の刃を仲間の後ろに作り出し、後ろから貫いた。


「「がああああっ!!」」

 ハルの仲間は血を吐いたそして地に伏せた。


「裏切るの…?」

 仲間の一人の女が聞いた。


「俺には仲間なんていない」

 ハルはバッサリと仲間を切り捨てた。



「ヴアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 僕は両手の爪を立てて咆哮した。黒いオーラが全部の指先から流れ煙のように上に上がる。


「ガアアアッ!」

 僕はハルに向かって右の手を鋭く尖らせ一直線に飛び込む。


「くっ…」

 ハルは左手の盾の持ち手を逆に握り、僕の攻撃を防御した。


 ギギギギギギギギギ。

 僕の鋭い突きを繰り出した右手とハルの左手で持った盾が擦れる音が鳴り響く。


「グラアッ!!」

「ぐっ!」

 僕は右手でハルの盾の上の部分を掴み、引き寄せると同時に身体の軸を回転させ、左足での攻撃を繰り出した。だがこの攻撃もハルは右手の盾でガードした。


「………」

 僕は攻撃を止め、次の攻撃の為に姿勢を取る。

「!」

 そして僕はまたハルに向かって飛び込み攻撃を繰り出す。ハルは逆手に両方の盾を握り防御の姿勢を取る。


 ギインギインギインギインギインッ!!

 僕は爪を立てた手で攻撃を繰り出す。ハルは後ろに下がりながら攻撃をガードする。


「グラアアアアッ!!」

 僕は何度も沢山のバリエーションの攻撃を繰り出すがハルは完璧に防御した。


「拳と盾じゃ相性が悪いよ、父さん。諦めたら?」

「がああっ!!」

 僕は拳を握りしめハルの盾に拳を打つけた。


「だから意味ねえっ…」

 バリン!!

「!」

「がああああっ!!」

 ハルの盾が罅が入り砕けた。そして僕はそのままハルの胸に拳を打つけた。ハルの鎧は砕けた。


「んな…、馬鹿な…」

 ハルは驚き僕から少し距離を取る。


「驚いたよ、父さん」

 ハルは少し笑う。


「もう盾も鎧も使い物になら無いな」

 ハルは盾を地面に捨て、鎧も脱ぎ捨てた。


「暗黒咆哮」

 ハルは唱えた。空気中にある無数の膨大な魔力がハルを中心に集まる。ハルの身体は少し浮かび、魔力はハルに向かって流れ包み込み、深い黒い渦のような球体となった。そして球体は割れ地面に破片が落ちた。ハルの宙に浮いていた足は地面に着いた。ハルの姿は変わり灰色の鎧を身に纏い、眼の角膜は灰色になった。


「どうだ?父さん。この鎧を見たの、久しぶりだろ」

 ハルは興奮気味でそう言う。


「………」

 僕はハルが脱ぎ捨てた鎧に向かって歩いた。ハルは僕が何も言わず、近づいてくるから距離を取った。


「………」

 僕は指先から流れ出る黒いオーラを止めた。そして僕はハルが脱ぎ捨てた装備をそっと両手で拾い上げた。僕は空間魔法でハルの装備を仕舞った。


「………」

暗黒大禍あんこくたいか第二形態セカンドフォーム

 僕の姿は変わり、深い赤色の鎧を身に纏い、深い赤色の見たことの無い古代の文字が刻まれた首輪を身に付けた姿となった。鎧の下には黒いコンプレッションウェアを着ていて、(へそ)が見えるような鎧とインナーを身に付けていた。頂点二つが上にくる正六角形の形の胸の鎧の部分にマヤ暦占星術で使われる太陽の紋章の中の一つ『赤い月』の紋章が浮かび上がった。鎧の胸の部分の形は平べったいのでは無く、膨らんでいて前に正六角形の形が出っ張っている形であった。


 僕の両眼の角膜の色は赤に変わり、瞳孔は黒く鋭く尖った。僕の目の光りは失われ冷たい目となった。そして両眼の下に黒い刻印が浮かび上がった。その刻印は目の下一センチ空けて、眉毛と平行な直線で鼻の近くから耳の耳介付近に向かって伸びている。そして直線の真ん中から耳垂(みみたぶ)に向かってて一直線に黒い刻印が伸びている。まるで耳に向かってYの文字の上の部分が横に倒れているかのような刻印だった。


 口の中の下顎の両方の第一大臼歯(だいいちだいきゅうし)は発達し、硬い物を簡単に貫くかのような上に突き上げた黒い大顎となった。黒い大顎は僕の目の辺りに向かって突き上げた形となり大顎は角張った形をしていた。僕の足の三本鉤爪の先から黒いオーラが煙のように流れ揺らめいていた。僕はその場に佇んた。


「それが父さんの最強なんだね」

 ハルは僕の佇む姿を見て言葉を発す。


(父さんに出来て俺が出来ない訳が無い)

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 ハル自身を灰色のオーラが包み込む。


「暗黒咆哮・第二形態」

 ハルは僕と同じ姿となった。頂点二つが上にくる正六角形の形の胸の鎧の部分に神速の模様浮かび上がった。


「暗黒双拳」

 僕は拳に深く黒いオーラを纏わせた。


「冬景双拳」

ハルは拳に深い青色のオーラを纏わせた。


「ハル、俺はお前と本気で打つかり合いたいと思っていた。だから俺は本気出すからお前も全力で来い!行くぜ!!」

「ああ!!」

 互いに向かって行った。


「おらあああっ!!」

 ハルは拳を僕に連続で打つける。僕はそれをガードする。


「………」

 僕はガードの姿勢を取り続ける。


(ハルの攻撃は大振りだ、これでは直ぐに疲れてしまう)


「ガードばかりしてて良いのかよ、父さん。見せてくれよ」

 ハルは何度も拳を打つける。


(攻撃に転じようか)

 僕は防御の姿勢を取りながらハルに向かって行きハルの顔面に向けて拳を打つける。その攻撃は当然、防がれる。


「左!右!!」

「ヴッ!!」

 ハルは頭をガードしているからボディががら空きだ。先の攻撃に間髪入れずハルのボディに二発の打撃を打つける。ハルにはこの攻撃が効いたようだ。


「まだまだ行くぞ!」

 僕は拳をハルに何度も打つける。ハルは何とか僕の攻撃に耐えようと防御する。


(父さん。何で母さんを守れなかったんだよ。その強さがあれば守れた筈だろ?何で守れなかったんだよ)

 ハルは防御している間、心の中でそう思った。


「父さん!!」

 ハルは防御するのを止めノーガードで僕に向かって来た。このままでは負ける事に気づいたのだろう。


(凄い攻撃だな)

 僕はハルの何度も繰り出すパンチに感心した。


「だが防御を捨てたお前に勝ち目は無い」

「があああっ!!」

 僕がハルの大振りの攻撃を避けた所為でハルは身体のバランスを崩した。その瞬間、僕はハルの顔面に拳を打つけた。ハルは僕の力で吹っ飛んだ。


「………」

 ハルは口から流れる血を拭った。ハルは思った、父親には勝てないと…。だから父親に精神攻撃をする事にした。


「僕はずっと父さんの人生を見ていた。なあ、父さん。父さんが精神病院で入院した時、父さんに永遠の夜を味わわせた黒幕がこの僕だと言ったらどう思う?」

 ハルは僕にそう言った。


「そうか、お前の仕業だったのか…」


「俺はあの精神病院の保護室で地獄の苦しみを味わったよ。遠山先生が居なかったら俺は今もあの病院で永遠の夜を過ごしていただろう。お前は昔から家族を想える優しさがあった。でも復讐心によって自分が味わった苦痛を人にも与える事でスッキリする鬼畜野郎になった。流石、俺の子だよ。僕があの病院で受けた目を背けたくなるような苦痛を安全な外から観察してどうだった?復讐が出来てスッキリしたろ。快感を感じたろ。俺がお前達にやった事と違いはあるのか?」


「黙れ」


「違いはねーよなああああああああああああ」

 僕は笑った。


「父さん、もう一回永遠の夜味わいたいか??」

「ん?何だ??やるのか?やれる物ならやってみろよ」

 僕は喧嘩腰でそう言った。


「なあ、ハルよ」

「何だ?」


「何故、運命を捻じ曲げてまでここに来たんだ?アキと子供を作ってその子供に創造主の宿命を押しつけて解放させればここへ来るのも簡単だったのに」

「何言ってんだ…?」


「だってお前とアキは(つが)いだろ」

「違う…。俺とアキは兄妹だ…」

 ハルの言葉はたどたどしかった。


「お前、何か勘違いしているな」

「お前の母アリサはお前達を番いとして作り出したんだよ」

「違う!!俺とアキは兄妹だ!!」

 ハルは叫ぶ。


「お前心の奥底では分かっているんだろ??」

「黙れ!」

「さっさと元の場所に帰ってアキとセックスして来い」

「黙れえええええええええええ!!」

 ハルは叫び魔力で黒い大剣を作り出し僕に向かって走って近くまで来た。


「お前、父さんに向かってそんな口を利くのか?」

「うるせえええええ!!アキを侮辱した事、謝れ!!」

 ハルは黒い大剣を振り下ろすが僕は赤い剣で何度も防ぐ。


「お前とアキは番いなんだよ」

「黙れええ!!」

 僕がハルを必要以上に煽った所為でハルはキレて猛攻を繰り出し僕に隙が生まれてしまった。


「死ねええええ!!」

 ハルは僕に黒い大剣の斬撃を喰らわせた。


「!」

(ふふ。そうか、そうだったのか)

 僕はある事に気付き少し笑う。だから俺の父シスイはあの時こうしたんだね。


「俺はお前の父親だぞおおおおおおおおおお!!」

 僕は斬撃を喰らいながらそう叫んだ。僕の身体から血が噴き出した。


「………」

 僕は膝を地に落とし、回復魔法を掛けた。


「どうやらお前の斬撃が浅かったようだな。何故、殺す気で剣を振り下ろさなかった?」

 僕は聞いた。


「先の一瞬、思ってしまったんだ。俺とアキを人柱にした父さんを僕は恨んでいた。心の奥底から。でもな毒親だろうが何だろうが家族は家族なんだよ。家族だから酷い仕打ちをされても恨み何て物は薄れる物なんだよ」

 ハルは涙を流し心の内を明かした。


「ハル…」

 僕はハルの所まで歩いて行き、ハルを抱きしめてやろうとした。


「!」

 ブウウウウウウウウウン!!

「ハル!!」

 僕は他者の攻撃に気付き叫んでハルを突き飛ばし攻撃から守った。どうやらハルの仲間が生きていて力尽きる前に風魔法の攻撃を繰り出したようだった。


 ボギッ!!

 僕は風魔法の攻撃で吹き飛ばされ地面に首が当たり首の骨が折れた。僕は当たり所が悪かった。


「父さん!!」

 ハルは叫び、僕の元に駆け寄る。


「すま…な…かっ…た」

「父さん!!」

 僕は意識が朦朧としながらもハルにこの言葉を伝えたくて発した。僕の目からは涙が溢れた。ハルは僕の手を握った。


「何、笑って死んでんだよ、父さん…。なあ!!」

 父さんは死んだ。父さんの死に顔は満足そうな顔をしていた。ハルは僕を揺らすが僕が再び起きる事はなかった。薄々俺も分かっていたんだ。父さんが僕の復讐の為に悪役となり、(わざ)と僕を煽り僕の心の内を吐き出させるようにした事を…。


 僕は母さんの言葉を思い出した。「お父さんはね、よく勘違いされるんだけど本当は家族を想えるとても優しい人なんだよ」母さん…。母さんの言う通りだったよ。僕は父さんの手を握り涙を流した。

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