33話 誰も僕を信じない
一日後…。あの戦いの後、僕はイアを抱き抱え家に戻った。イアは僕の自宅の来客用の部屋のベッドの上に寝かされていた。
「ここは?」
イアは目を覚ました。
「お姉ちゃんが目を覚ました!!」
僕の娘のアテナがイアの側にいたがイアが目を覚ましたことに気づき部屋を出てみんなに知らせた。
イアが今いる部屋に何人かが集まった。その中にはお父さんもいた。
「イア、調子はどうだ?痛い所は無いか?」
僕はイアに聞いた。
「お父さんにボコボコにされたから身体の節々が痛い」
イアはそう言った。
「「お父さん」」
僕の娘達は僕を攻めようとした。
「分かっている、父さんが悪かった」
僕は反省している素振りを見せた。
「そういえば、イアは何で蘇ったんだ」
「………」
僕は聞いたがイアは黙った。
「お父…に…たいから」
イアは小声で言った。
「えっ、何?」
僕は聞こえなかったので聞き返した。
「お父さんに会いたいから蘇ったの!!」
イアは顔を赤くしながら言った。
「おう、そうか…」
僕は何て返せばいいのか分からなかったのでそう答えた。
「もう、恥ずかしい!」
イアはみんなにその言葉を聞かれて恥ずかしさが湧き上がった。
「イア、お腹空いてるだろ。リビングに食事があるから食べるか?」
「うん、食べる」
僕がそう言うとイアは答えた。みんなイアの居る部屋から出て、リビングに行った。
イアはリビングに辿り着き座ると食事を沢山食べた。
「イア。お前、余っ程お腹が減っていたんだなあ」
僕はイアの食べっぷりを見てそう言った。
「丸一日も寝ていたんだ。腹も減るだろう」
アリアはそう言った。
「そういえば、お前トイレは大丈夫なのか?」
アリアはそうイアに聞くと、イアの動きが止まり青ざめた。
「トイレエエエエエエエエエエエエエエー」
アリアにそう言われ、自分がトイレに行きたかった事に気がついた。イアは叫んだ。イアは僕の子供達にトイレに案内してもらった。
「ふう、すっきり」
イアはトイレで全てのものを出し終え、戻ってきた。
「お姉さん、何でお父さんと戦っていたの?」
僕の娘がイアに聞いた。
「んー。お父さんに普通に会おうと思ったけど、お父さんと対面したらお父さんが私と戦いたそうにしていたから戦った」
イアはジュースを飲みながら話した。
「まあ、最近ちょっと本気で戦う相手がいなかったからな。イアが現れて丁度良かったよ」
「お父さん、最低!!」
「ははは…」
僕がそう言うと娘はそう言った。僕は冷や汗を掻き、誤魔化すような空笑いした。
「そういえばイア、お前が持っていた四大死宝、悪いけど俺が預かったからな」
「うん。元々、お父さんに会ったら返そうと思っていたから大丈夫だよ」
イアはそう答えた。
「イア。僕と戦っていた時、怒ってなかったか?殺意みたいな物を感じたが。言いたいことがあるなら聞くけど」
僕がそう言うとイアは少し不機嫌になった。
「この場で言っていいなら言うけど。お母さん、三途の川の前でお父さんの事ずっと待っているよ」
イアはそう言った。
「ずっと?死んでからか?」
「そうだよ、お父さん。お母さんは何年もずっと三途の川の前でお父さんを待っている」
「そうか…」
僕はそう答えるしかなかった。
「お母さんはお父さんが他の女の人と楽しく過ごしている事、上で見ているから知っているよ」
「お母さんはそれで毎日、泣いているから私の夫や息子、孫、私の子孫が慰めている。お母さんが嫉妬でおかしくならないように…」
「お父さん、それを聞いてどう思う?」
イアは僕に聞いてきた。
「申し訳ないと思っているよ。まさかイルが三途の川の前で待っているなんて思ってもみなかった」
僕の嫁でイアの母親のイルが三途の川の前で僕をずっと待っているなんて思わなかった。
「暗い話はここでお終い」
イアは冷め切ったこの場の空気を終わらせた。
「子供達、私から聞かせて欲しい話はある?君たちの知らない昔話、沢山知っているけど」
「どんな話があるの?」
子供達はイアに聞いた。
「暗黒竜と氷白竜の話、太陽の勇者の話、大航海の話、この世を救った英雄達の話、龍王となった男の英雄譚、古代遺跡のトレジャーハンターの話。まだいっぱい話はあるけど、まずこの中から選んでくれれば話すよ」
イアはそう言った。それを聞いた子供達は目を輝かせた。
「太陽の勇者の話がいい」
「トレジャーハンターの話がいい」
「いや、大航海の話がいいな」
子供達は自分が聞きたい話を言った。
「喧嘩になりそうだから、私のオススメの話から話すね。まずはトレジャーハンターの話を始めるね」
子供達が喧嘩になりそうだったからイアは止めた。
イアはトレジャーハンターの話を始めた。皆イアの話を聞こうと集まった。イアの話を皆、熱心に聞いていた。イアは話が上手く身振り手振りを交えながら話した。皆、イアの話に引き込まれた。
夕食を準備する時間になったのでイアは話を切りの良い所で止めた。夕食が出来たので皆でワイワイと話しながら食べた。イアは夜の二十三時に別の話をすると言うので皆ご飯の片付けや急いでお風呂に入った。
夜の二十三時になった。話の雰囲気を出すためにリビングの明かりを消し、食事をする机の上に蝋燭を何本も並べ火を付けた。
「じゃあ、暗黒竜と氷白竜の話をするね」
イアは話を始めた。
「むかーしむかし、暗黒の時代と呼ばれた時代に二頭の竜がいました。二頭の竜は暗黒竜、氷白竜と呼ばれ、暗黒竜の名はイル、氷白竜の名をネアといい、互いにそう呼び合い、その二頭の竜は互いに両親を亡くしたので二頭で寄り添って生きてきました」
「魔族が跋扈するこの時代も暗黒五強という存在のお陰で暗黒の時代も終わりに近づきました。そんな中、竜族はこの世を支配しようと人間に対して戦争を仕掛けました。竜族の中に戦争に反対する者もいたがその竜達もこの戦争に巻き込まれる事になりました。人間は竜と見るや否や攻撃してきました。竜達は人間に沢山殺され、暗黒竜と氷白竜は同胞が亡くなった事を悲しみました」
「ある日、氷白竜は食べ物を探しに人間の住む町の近くに来ました。氷白竜は木に実っている実を暗黒竜に食べさせようと持って帰ろうと採取していた時、兵達が大勢、氷白竜の前に立ちはだかりました。兵達は有無を言わせず氷白竜に矢を放ち、氷白竜は矢を刺されながらも暗黒竜の元へ逃げていきました。暗黒竜のいる巣穴に氷白竜は戻り、暗黒竜に数少ない木の実を上げました。眠っていた暗黒竜は氷白竜を見ると氷白竜の身体は沢山の矢で射貫かれ血が流れていました。暗黒竜は血を流しながら木の実を取って来た氷白竜の優しさに涙し、妹分をこんなにした人間に怒り狂いました。暗黒竜は氷白竜をこんなにした町を滅ぼしました」
「それでも暗黒竜の人間への怒りは収まらず、他の町をどんどん滅ぼしていきました。そして暗黒五強の一人、アルタイルは暗黒竜と対面しました。アルタイルは対話を試みるが暗黒竜の怒りにアルタイルにはどうすることも出来そうにありませんでした。アルタイルは暗黒竜に提案しました、人間の姿になり自分と戦えとそして僕が勝ったら僕の言うことを聞けと」
「暗黒竜は頷くと人間の姿となりアルタイルと戦いました。アルタイルは何故暗黒竜に人間の姿になって戦えと提案したのかと言うと竜が人型となって戦うなんてそうそう無いから暗黒竜が人型になった時点でアルタイルの勝ちは確定したようなものだったのです。アルタイルは暗黒竜のイルに勝ちました。そしてアルタイルは暗黒竜に怒りを静めるようにいい、自分の嫁になれと言いました」
「何でアルタイルはイルに嫁になるように言ったの?」
僕の娘はイアに聞いた。
「それはイルが可愛かったからだと思うけど。どうなの?お父さん」
イアは僕に聞いた。
「まあ、イルが僕の好みの顔をしていたからかな。俺の事はいいから、話を続けて」
「分かった」
イルはそう答え、話を続けた。
「暗黒竜のイルはアルタイルに負けたので素直にアルタイルの言う事を聞きました。アルタイルは先の戦闘で疲れ切っていたイルを抱きかかえ風魔法で氷白竜のネアの元へ飛んで行きました。風魔法でネアの元へ飛んで行く途中、イルは自分の嫁になれと言うアルタイルの言葉の真意を考えたが分かりませんでした。イルはアルタイルにお姫様抱っこされたからか顔がリンゴのように赤くなりました。イルの夢心地な気分もネアの元に辿り着くと消え失せました」
「ネアの元に辿り着くとネアは今にも死にそうな状態でした。あの時、兵達に矢で射られた傷にバイ菌が入り化膿し熱が出たのです。アルタイルは回復魔法を掛けたり回復薬を飲ませるが一向に治る気配はありませんでした。暗黒竜のイルは後悔し復讐をしている場合ではなかったと泣きました。氷白竜も暗黒竜を見て貰い泣きしました。アルタイルは『大丈夫だよ』と言い、氷白竜の身体に手を当て青い光がアルタイルの周りで光ると青い力で氷白竜の病を治したのです。氷白竜は元気を取り戻しました。暗黒竜と氷白竜は病気が治り、喜びました」
「暗黒竜と氷白竜は今まで住んでいた巣穴を捨てアルタイルと一緒に暮らしました。竜の姿だと一緒に暮らせないため人型となりました。三人は何気ない日常を過ごすがそうはいきませんでした。アルタイルと一緒に暮らす内、氷白竜のネアもアルタイルの事が好きになってしまいました。竜族は一夫一妻制と決まっているのでアルタイルの事が好きなイルとネアは互いに人型で決闘する事で勝った者がアルタイルと結婚すると決めました。イルとネアは互いに殴り合いました。今まで姉妹のように助け合って生きてきたのに何で殴り合わないといけないのか、殴り合う中でイアとネアは自然と涙が溢れました」
「酷い、酷すぎるよ」
イアの話を聞いて僕の子供達は嗚咽し涙を流した。
「お父さん!!」
僕の娘のエリカは涙を流しながら僕を呼んだ。
「まあ、僕を責めるなら続きを聞いてからにしてくれ」
僕がそう言うと、イアは話を続けた。
「アルタイルは自分の所為でイルとネアが傷つけ合っている事に耐えられなく悲しみ、決闘を止めました。アルタイルは異空間から二つの花を出し、イルに太陽の花、ネアに月の花を渡しました。アルタイルはこう言いました。イルは僕をいつも照らしてくれる太陽で僕の心を温めてくれる。ネアは夜に輝く月で僕の心を落ち着かせてくれる。僕にはどちらか欠けても困るんだ、だから戦うのはもう止めてくれ。アルタイルは涙を流し言いました。アルタイルの言葉を聞き、イルとネアは泣き、もう家族で戦うのはやめました。その後、アルタイルはイルとネアの二人と結婚し、子供も出来ました。イルの子供をイア、ネアの子供をネルと名付けました。こうして五人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ、終わり」
イアは話を終えると僕の子供が明かりを付けた。
「めっちゃ、感動した」
「良い話だったね」
「「うん、うん」」
皆、イアの話を聞いて感動していた。珍しくルナが涙を流していたので僕は少し驚いた。
「イア、お姉ちゃん。また明日もお話聞かせて」
「僕も聞きたい」
「「私も」」
「分かった、分かった」
子供達が目をキラキラさせながらイアに詰め寄りそう言うのでイアも少しばかり嬉しかった。皆でこの物語の感想を話した後、解散し寝床に就いた。
三日後の朝…。
「……ん、何だ……」
僕は自分の身体を抱きしめられ僕の胸をモゾモゾされる感触で目が覚めた。
「イア、お前か…」
イアは僕の身体を抱きしめ僕の胸に顔を押しつけ匂いを嗅いでいた。
「おはよう、お父さん」
「おはよう、イア」
イアは僕が目を覚ますと顔を僕の胸に押しつけるのを止めた。僕はイアの頭を撫でた。
「よく娘や妻に朝起きたら匂いを嗅がれるんだが何か意味があるのか?もしかして匂うのか?」
僕はイアに聞いた。
「違うよ。お父さんの胸に顔を押し当て匂いを嗅ぐと何だか落ち着くから皆やっているんだと思うよ」
「そうか…」
「お父さん。女の人に何で匂いを嗅ぐんだ?って聞いちゃだめだよ」
「何でだ?」
「女の子には色々理由があるの」
「そうか、分かったよ」
僕はそう答え、飯を食うために起き上がり部屋を出た。
「おはよう」
「「おはよう」」
僕はリビングにいた子供達に挨拶した。僕はテーブルに着くとテーブルにはご飯が人数分並べられていた。
「皆、朝起きるの早いなあ」
「お父さんが遅いの」
「そうか」
僕は何となく呟くとそう僕の娘に返答された。
数分後が経ち、みんなゾロゾロとリビングに集まり席に着いた。エリカがまだここに来ていない事に気付いたがまだ寝ているんだと僕は思ったので気には留めなかった。
「「頂きます」」
皆、手を合わせ食事を始めた。今日の朝食は食パンと目玉焼きとベーコン、こんがりと焼かれたウインナーだ。
「旨い、旨い」
僕は食パンに目玉焼きとベーコン、ウインナーを挟み醤油を掛け食べた。そして喉が渇いたので牛乳を飲んだ。
「ご馳走様でした」
僕は食べ終わった。
皆、食べ終わり食器を片づけた。
「エリカがまだ食事を取っていないから片付けは後にしてくれ」
僕の妻達が机の上に置かれていたウインナーの大皿を片付けていたのでそう言った。
「エリカって誰?貴方、寝ぼけているの?」
エリナは僕にそう言った。
「エリカだよ、エリカ!僕とエリナの娘の名前だよ」
僕は寝耳に水なエリナの言葉に目が覚めた。
「アイラの事?自分の娘なんだから間違えないでよ。エリカって言う昔の女か知らないけど、アイラの名前と間違えるなんて」
エリナはそう言った。
「自分の娘の名前を忘れるなんて最低ですね」
ルナは僕にそう言った。
「違うって。俺が言っているのはアイラの姉のエリカの事だよ!」
僕は焦りながらそう言った。
「何言っているの?エリカなんて子、家には居ないよ」
「ヨミ、もしかして熱がある?」
エリナは僕の頭に手を当てた。
「僕を驚かせようと冗談を言っているならもう止めてくれ、笑えない」
「冗談なんて言ってないけど」
エリナはそう言った。
「エリナ、エリカは俺とお前の大切な娘だろ。何、忘れているんだ」
「貴方こそ何言っているの?エリナなんて子はこの家には居ない。そうよね?みんな」
エリナが僕の他の妻達に聞くと皆頷いた。僕はそれを見て青ざめた。
「ヨミを病院に連れて行った方が良さそうだな、先から様子が可笑しいし」
カミラは無情にもそう告げた。
「ここに遠山先生を呼んだ方がいい?」
シエラはそう皆に聞いた。
「その方が良さそうですね」
ルナはそう言った。
「………」
アリアは黙って様子を見ていた。
僕は心がむしゃくしゃしたのでエリナから離れ、自分の子供達にエリカの事を聞いた。
「貴方、止めて。子供達が怖がっている」
シエラは僕の行動を見てそう言った。
(何故、そんな目で僕を見る)
僕が必死さに僕の子供達や妻達が怖がっていた。
「………」
僕は自分の子供にエリカの事を聞いたが皆エリカの事を知らなかった。僕はどうすれば良いのか分からず取り敢えずソファーに座った。僕の娘が僕を心配してか水を持って来てくれた。皆、僕の突然の行動に心配してかリビングに集まって僕の様子を見に来た。誰も僕の側に近寄らなかった。
それから一時間、僕はそのソファーに座り考え事をしていた。
「折部君、おはよ」
「お早う御座います、先生」
遠山先生がリビングに来た。僕の妻の誰かが遠山先生を呼んだのだろう。
「君の奥さんから大体の事情を聞いたよ」
「………、先生は僕を信じてくれますか?」
「勿論、君を信じてはいるよ。でも皆、エリカさんの事は誰も知らないんだ。私も含めてね。だから皆を怖がらさせてはいけないよ」
「それは分かっています」
僕は遠山先生の言葉を聞き、頷いた。
「先生はどう思います?」
「難しい質問だね。もしかしたら君の病気が再発して現実と妄想の区別がつかなくなったのかもしれないし、本当はエリカさんは存在していたけど何かが起こり皆の記憶から消えたのかもしれない」
「先生はどっちだと思います?」
「私は医者だからね、医者から見たこの状況から推察するにエリカさんは君の妄想が作り出した産物だと僕は思う」
「………、そうですか…」
僕は現実を突きつけられた。遠山先生は僕の様子が落ち着いたのを見て病院に帰ろうとした。
「でも確かにいたんだ、エリカは確かにいたんだ」
僕は遠山先生に聞こえるようにそう呟いた。遠山先生はその事に何も言わず、帰って行った。
それから僕はエリカが居たという証拠を見つけるため家族のアルバムを自分の部屋に持って来てエリカを探した。だがアルバムの中の写真にはエリカは写っていなかった。
(エリカは僕の妄想が作り出した産物なのか…)
僕は座っていた椅子にもたれ掛かり、溜め息をついた。もうお手上げの状態であった。僕は空間魔法で娘や息子が小さい頃に僕のために書いた手紙を出し、息抜きにそれを何となく見ていた。
「ふふふ、上手だな」
自分の子供達が僕の似顔絵を描いている手紙を見て僕の心は落ち着いた。僕は手紙を何枚も見ているとある一枚の手紙を見つけた。
「これは…」
その手紙には僕の似顔絵とお父さんいつもありがとうと書かれていた。そしてエリカよりと手紙には書いてあった。
「いた。エリカは確かにいたんだ」
僕は涙を流した。手紙を持っていた手は震え、涙が数滴、手紙に落ちた。
「ああ、ああ!!」
その後すぐに、エリカの手紙の絵と文字は消えた。僕は消えないでくれと強く念じたが手紙は白紙になった。そして僕は意気消沈し、身体がだらんと力が抜けていった。そして僕の記憶からエリカが消えた。
「お父さん、大丈夫?」
僕の部屋に僕の娘であるアリスとレイナが入ってきた。
「どうした?アリス、レイナ」
僕は聞いた。
「私たちはお父さんの言っている事、信じるよ」
アリスは僕にそう言った。
「何の事だ?」
僕はレイナの言うことが何の事を言っているのか分からなかった。
「お父さん、もしかして忘れちゃったの?エリカ姉さんの事だよ」
「思い出して、お父さん!!エリカさんは大切なお父さんの娘なんだよ」
レイナは僕を揺らし必死に僕の記憶を蘇らせようとした。
「そうだ。俺はエリカが存在していた証拠を見つけるためにアルバムでエリカを探していた」
「そうだよ、お父さん」
僕の記憶が少しずつ戻ってきた。
「俺は見つけたんだ…」
「何を?」
僕がそう言うとアリスは僕に聞いた。
「えっと…、何だっけ。思い出せない…」
「ゆっくりで良いから思い出して」
僕が思い出そうとすると僕の心拍が高まるような気がして呼吸も荒くなった。それをレイナは感じ取り僕の心を落ち着けさせようとした。
「もしかして手紙?」
アリスは僕の机にちらばっている手紙を見てそう僕に聞いた。
「そうだ、手紙だ!」
「僕は手紙を見て存在している証拠を見つけたんだ。えっと誰だっけ…、エ、エ、エリ…」
「エリカさん?」
「そうだ、エリカだ。エリカ」
僕は完全に思い出した。
「そうこの手紙には僕の似顔絵とエリカの名前が書かれていたんだ」
「でももうこの手紙は白紙になってしまった。もう証拠は無い、終わりだ」
僕は諦めた様子でそう告げた。
「お父さん。ちょっと待ってて人を呼んでくる」
レイナは僕にそう言い部屋を出た。
「お父さん、お待たせ」
レイナはイアを連れて来た。
アリスはイアに事情を説明した。イアは顎に指を当て何か考えているようだった。
「お父さん。その今は白紙だが何で一定時間、エリカが描いてくれた手紙として存在していたか、心当たりはある?」
イアは僕に聞いた。
「それは多分、聖剣:フィエルボワにかけられた呪いのお陰かもしれない。この剣は持ち主をあらゆる魔法から守る、守護の魔法が込められているからな。この剣をしまっている場所と手紙をしまっている場所が同じ場所だから手紙が無事だったんだと思う」
僕はそうイアに言った。
「お父さん、その聖剣と同じ場所にエリカの写真は保管してある?」
「ああ、多分あると思うが」
「そっか、それならあの手が使えるな」
「お父さん、私に考えがある。皆も協力して」
「「分かった」」
イアは何か自信ありげな表情をしていた。何か作戦を思いついたようだ。
一時間後…。僕らは王都で買い物をしていた。
「何でお前が存在してる!!俺はお前を消したはず!!」
僕とレイナとエリカの姿をした者の前に敵が現れそう叫んだ。
「広範囲結界!!」
僕はそう叫び、広範囲の結界を張り敵が逃げれないようにした。
「!」
(騙された)
敵は驚いた。エリカの姿をした者の姿が本当の姿、アリスの姿に戻った事に…。
「お前がエリカを…」
「エリカを返して貰おう」
僕は敵にそう言った。
その後…。僕は敵を倒しエリカを元に戻させた。どうやらエリカの存在を消した男は昔、僕らを襲ってきた遙か先の未来から来たソラの仲間であったそうだ。遙か先の未来ではエリカの子孫がその男の家族に恨まれる事をしたらしい。それでその男は復讐するためにソラ達と共に過去へタイムトラベルしたようだ。
「皆、可笑しいよ!!」
エリカが家族の集まるリビングでそう言い放った。
「皆、お父さんの事を信じずに病気だの何だの言って!!」
「信じないなんてそんなの家族じゃ無い!!家族じゃ無いよ」
エリカは涙を流しながら皆にそう言った。
「エリカ…」
どうやらエリカは存在を消された後、自分が透明な存在として家の中にいたらしい。だからエリカは僕を信じない家族の態度をその場で見ていたようだった。
「ごめんね、お姉ちゃん」
「ごめんなさい」
エリカの妹や弟がエリカに謝った。
「いいよ」
エリカは涙を流す妹や弟の頭を撫でて許した。
「お母さん、何でお父さんを信じてあげなかったの?」
エリカは自分の母に問い詰めようとした。
「エリカ、もう皆を責めるのは止めなさい」
僕はエリカを止めた。
「何で…。私はお父さんのために怒っているんだよ」
「分かっているよ。お前が怒ってくれたことで僕は救われた。もうそれで十分だよ」
「皆、記憶を消されたからそうなったんだ。誰も悪くないんだ。だから皆を許してあげな」
「…、分かった。お父さんがそう言うならもう私は何も言わない」
「ありがとう。エリカ」
エリカは僕の意を汲んでくれた。
「エリカも無事に戻ってきたしパーティーでもするか」
僕がそう言うと子供達は喜んだ。お通夜状態のその場の空気は一変した。僕らは各自でご飯の準備をし、パーティーを始めた。パーティーは夜まで続いた。
ここまで読んで下さりありがとうございます。「面白い」「続きが気になる」と思ったら、感想やブックマーク、広告の下にある☆☆☆☆☆を押して応援していただけると嬉しいです!読者様の声が聞きたいので感想を沢山書いてくれるととても嬉しいです。全ての感想に必ず返信いたします。皆様の評価が励みになりますので、何卒よろしくお願いいたします<(_ _)>




