30話 悲劇
数日後…。アリスは妹と二人と名をクロと名付けた小さな黒い竜一匹を連れ街に買い物に出かけた。アリスにあまり外に出るなと僕は言っていたがルイス君と離ればなれの生活に耐えれなくなり、しばしば僕に隠れて兄弟、姉妹と出かけているようだった。僕が注意してもお父さんは大袈裟だなあ、なんて言葉が返ってくるだけであった。
「お姉ちゃん、アイス美味しいね!」
「そうだね」
僕とアリアの娘のアテナはアリスと一緒に帰り道にアイスを食べながら家に向かっていた。
「今日の昼ご飯、何かなあー?」
「何だろうね」
「カレーかオムライスが良いな」
「じゃあ、昼食はお母さん達に頼んでアテナの好きな物にしよっか」
「本当!?やったあ!」
「アテナは本当に天真爛漫可愛いなあー」
アリスは口にアイスを咥え、アテナの頭を撫でた。
アテナは嬉しそうにしていた。
「お姉ちゃん、天真爛漫って何?」
「純粋で明るいっていう意味だよ」
「そうなんだー」
アテナはアイスを食べながら頷いた。
「!」
急にアリスとアテナの真下に魔方陣が現れた。
「アテナ!!」
アリスは咄嗟にアテナを魔方陣の外に押し出した。
「わわわ」
アテナはアリスに押され、魔方陣から出て転びそうになった。
「お姉ちゃん?」
魔方陣と共にアリスは消えた。地面には買い物袋とアリスが食べていたアイスが落ちていた。
アテナは買い物袋をそのままにして家に向かって全力で走った。
数分後…。
「お父さん!」
アテナは自宅に辿り着き扉を開け、僕を呼んだ。
「どうした?アテナ!父さん!!」
僕とエリナの子であるカイルはたまたま家のドアの近くにいたので息を切らしたアテナを見て側に駆け寄り僕を呼んだ。
「アテナ!!」
僕は呼ばれ玄関に来てアテナの徒ならぬ様子に僕は声を上げた。他の皆もここへ集まってきた。
「お姉ちゃんが!お姉ちゃんが!!」
アテナは僕達に何かを伝えようとしたが息も切れていて気も高ぶってそれどころではなかった。
僕の子供が機転を利かせコップに水を入れ持って来た。それをアテナに飲ませ、気を落ち着かせた。僕はその後、アテナの口から事の顛末を聞いた。
僕は急いで支度をし、家を出た。僕は妖刀を左手に持ち、竜人の姿となり、風魔法を使い空中を自由自在に飛びアリスを探し回った。アリスの魔力を感じ取り、そこに辿り着くが誰も居なかった。
僕は再び飛び去った。僕は風魔法を使い、アリスを探しながら敵を分析した。どうやら敵はアリスを敵が居る場所に空間転移させる時に沢山の別の場所を経由させる事でアリスの魔力の残滓を残すことで時間稼ぎをしようとしているようだ。
敵の狙いはアリスの命だ。僕の今の姿、氷白再臨は暗黒再臨よりも長時間、高速移動する事に適している。僕は氷白第四再臨までしたがアリスを見つけるには時間が無い。
「氷白最終再臨:デスグラシア・ヴァイスルドラオーバー」
高速移動中の僕の身体は白い竜の姿から白色と氷の色の混じった姿になった。白色と氷色の混じった今の姿は前の姿よりも格段にスピードが速くなる。これが今出せる最高の速さだった。
「アリス、待ってろ。今、行く!!」
僕はそう叫び、何とかアリスが殺される前に辿り着こうとしていた。
その頃、アリスは色々な所に空間移動を一気にさせられ酔い地面に両膝と両手を突いた。
「貴様、私に何の用だ?」
アリスは重い身体を上げ、立ち自分をここに飛ばした男に聞いた。
「用?僕は君を殺したい。その為に遙か遠くから来た」
男は言った。
「そうか…。」
(私は今まで正義を振りかざし敵となりそうな奴を殺してきた。どうやらその付けが回ってきたようだな…)
アリスはそう思った。
「何で僕が君を殺そうとするのか聞かないのかい?」
男は聞いてきた。
「私、余り他人の事情とか興味無いんだよね。下らないし。もしかして聞いた方が良かった?話したかったら聞くけど??」
アリスはそう男に言った。
「君が地べたに付いたのを見た時は人違いをしているのかと思ったけど、今の発言を聞いて安心したよ、罪悪感なく君を殺せる。流石、奴の曾祖母だけの事はある」
男はそう言った。
「君は僕が君を殺す理由を聞くのは興味無いからいいと言う、だがな、お前にはその理由を聞く義務があるんだよ!」
「………」
男の言葉にアリスは黙った。
「俺は遙か先の未来から来た、タイムトラベルしてな。何故、この俺がお前を殺そうとする理由はお前の一族に俺の家族を全員殺されたからだ。お前等一族は俺の家族が遠く無い未来、邪魔な存在となるからと言って普通に暮らしていた僕達家族を殺した」
「父親や母親、親戚を殺したのは理解したくは無いがまだ分かる。お前等一族はまだ幼い、八歳の弟と四歳の妹を無残な殺し方をした」
「お前等一族は鬼だよ。何を考えたらあんな酷い事が出来る?」
「俺は家族を殺された日に誓い復讐しようとした。でもあんた等一族には俺では敵わなかった。だから俺はタイムトラベルして元凶であり、一族で最弱であるアンタを殺しに来た」
「アンタの父親と母親を見たがあれは誰がどう見ても善人だったよ。善人の子供は善人かと思いきやお前と話して分かった。お前、異常だよ。人間の皮を被った化け物だよ」
「違う…」
アリスは否定した。
「この人殺し」
男はアリスにそう言った。
「違う…」
アリスは信じたくなかった。自分が人殺しの元凶だという事に…。
「お前はただの人殺しなんだよ!!」
男は涙を流しながら叫んだ。
「お前が死ねば悲劇は起きなくなる。だから死んでくれ」
「習合第一再臨:ラー・アトゥム」
男は唱えると装いが変わり、黄金の装飾品を身に纏った。
「我が最強の武器、顕現せよ。黄金の槍」
男の手に黄金の槍が現れた。
「魔力固定」
アリスは右手を横に向けた。右手の全指先から黒い魔力が黒い炎のように燃え、浸食するように手を覆った。右手に黒い大剣を出現させ黒い大剣を握った。空気中に漂う魔力を集め、自分の魔力を混ぜ合わせることで大剣を作った。
「………」
ここら一帯の地から黒い魔力が吹き出した。この世界の空気中、地中にある無数の膨大な魔力がアリスを中心に集まる。アリスの身体は少し浮かび、黒い魔力はアリスに向かって流れ込み、黒い球体となりアリスを包み込んだ。そして黒い球体は割れた。
「暗黒第四解放:死と滅亡の運命・オーバー」
アリスの頭の上には黒い天使の輪が現れていて、アリスの宙に浮いていた足は地面に着いた。
「じゃあ、始めようか」
男は不気味な笑みでそう言った。
数分後、アリスと男の戦いは決着がついた。アリスは男に負け、地べたに這いつくばっていた。
「お前、本当に奴の曾祖母なのか?弱すぎる」
男はアリスにそう言った。
「あーあ、ガッカリだよ。」
男はアリスの惨めな姿を見て溜め息を吐いた。
「お前、今何を考えている?父親が助けに来てくれると思っているのか?それとも自分がこれからする罪を後悔しているのか?」
男はアリスに聞いた。
「………」
「黙ってないで、何か言えよ」
男は黙っているアリスに蹴りを入れた。
「命乞いをしてみろよ」
「………」
男はアリスの髪を掴み、持ち上げ言った。アリサは黙っていた。
「もういい。何も言わないなら死ね」
男はアリスの髪を手から離し、黄金の槍でアリスの背中から心臓を突いた。そして黄金の槍を抜いた。血が噴き出し、地面に血溜まりが出来た。アリスの目は光を失った。
「ここは…」
アリスは周りを見渡すと辺りは一面が水で空は雲があり透き通った空模様だった。水が透き通っているから地面の形が見えた。
「私は死んだのか…」
「いや、死んで無いよ」
アリスの言葉を男が答えた。
「貴方は誰?」
アリスは聞いた。
「私の名はラグナロク。お前がクロと呼んで可愛がってくれた、小さな黒い竜だよ」
「でも姿が…」
「ああ、これは君と話しやすいように人間の姿になったんだよ」
男は答えた。
「クロ!!」
アリスはクロの元に走り、クロに抱きついた。
「私、死んじゃった。まだやりたい事、沢山あるのに」
アリスは泣いていた。
「大丈夫だよ、君は死んでいない。僕が君の刺された心臓を治したから」
「本当?私死んでない?」
「ああ、死んでいないよ」
クロはアリスの頭を撫でた。
「アリス、よく聞いて」
「君が意識を取り戻したら君は死んだフリをするんだ。でないとまた殺される。僕は君の元から離れ、ヨミの所へ行きここの場所に連れてくるから君は一人で死んだフリをするんだ」
クロはアリスにそう言った。
「一人…。怖いよ。側にいてよ」
アリスは泣いていた。
「アリス。僕が行かないと君は助からない。大丈夫だから息を殺して待つんだ。分かったね」
「分かった」
「良い子だ」
クロはアリスの頭を撫でた。
アリスの意識は戻った。自分の身体から黒い天使の輪の力が抜けていくのを感じた。
(奴の曾祖母は殺した。これで奴は生まれない)
(後はヨミがここへ来る前にずらかるか…)
男は少し歩き、アリスから離れた。
「お前、生きてるな。俺の目は誤魔化せないぞ」
男はそう言った。
「………」
アリスは動じず、静かにしていた。
「本当は死んでいるのか」
男は感が冴えており、アリスが生きていると思いハッタリを噛ましたがアリスは動かないので死んだか半信半疑だった。男はアリスの側に近づいた。そしてアリスの足に黄金の槍を刺した。
(うぐっ…)
アリスは必死に耐えた。声は出さなかった。
「これでは分からんな…。もう一回心臓を刺せばいい事だ」
男がアリスの心臓を刺そうとした時、黒い天使の力が防御した。
「お前!、生きているな!!」
男は叫んだ。
「おい、お前。俺の娘を虐めるのはその辺にしとけよ」
「お父さん…」
僕が男に向けてそう言うと、アリスは僕を見てそう口にした。
「死んだふりをしやがって、クソが!」
男はそう叫んだ。
「娘から離れろ!」
僕は左手に持っていた刀を鞘か抜き、男に斬りかかった。男は僕が振り下ろした刀を避け、後ろに移動し僕から距離を取った。
「来るとは思っていたがこんなすぐに来るとは思ってなかったよ」
男は僕にそう言った。
「ヨミ、君はここへ来るのに大分力を使ったようだね。息が上がっている」
「はあ…、はあ………」
男は僕にそう言った。
「ヨミ、君は一族の中で最強と恐れられていたから俺は戦いたく無かったがどうやら大丈夫なようだね」
男は僕を見てそう言った。
「何、安心しているんだよ。俺はお前より格上だぞ」
僕は男にそう言った。
「そうは見えないが」
男は自然に煽った。
「じゃあ、試してみろよ」
僕は男にそう言い、刀の切っ先を相手に向けた。
「古代究極魔法:冷凍斬衝」
僕はそう唱え、僕の刀は冷気を発した。
「死ね」
僕は刀を振り、白い氷の斬撃を三発飛ばした。
「そんな攻撃、俺には効かない」
男はこちらの方へ走りながら、黄金の槍で白い氷の斬撃を全て破壊した。
「くっ…」
男は僕に十分近づき槍を突いてきた。僕はそれを避ける。
「ふふふっ」
男の黄金の槍と僕の刀が何度も打つかった。男は不気味な笑いをした。
「バテバテじゃねーか」
男は息が上がっている僕にそう言った。
「仕方ない」
「妖刀:牙。能力顕…」
「そうはさせない。武器破壊っ!!」
僕は自分の今、持っている妖刀:牙の能力を使おうとした。だがしかし男は槍を僕に振り下ろし、僕は刀で防いだ。そして男は僕が唱え終わる前に僕の刀を折り、僕に斬撃を浴びせた。
「があああっ」
僕は肩から縦に切られ、痛みで叫んだ。深くは斬れていないが血が流れた。僕は後ろに移動し男から距離を取った。
「くそがっ」
僕は流れる血を押さえ、そう吐き捨てた。
「……、役立たず」
僕は自分の折れた刀を見るとそう言い、刀を捨てた。
「提案なんだが。ヨミ、お前は見逃してやるから代わりにお前の娘をこの俺に殺させてくれないか?」
男は僕にそう提案した。
「お前、僕が条件を飲んだら娘を甚振ってから殺すだろ」
「ああ、そうだ」
男は僕の質問に答えた。
「俺は娘を守る」
「そうか、残念だよ」
僕は男にそう言うと男は残念そうな顔をした。
「暗黒第四再臨」
僕がそう唱えると黒い暴風が僕の身体を包んだ。そして消え、僕の姿は変わった。氷白竜の姿から暗黒竜の姿に変わった。僕の眼の瞳孔は黒く尖り、角膜は白から赤に変わった。
「!」
僕が男に向かって高速で飛んできたので男は驚いた。氷白再臨の姿は長時間の飛行は暗黒再臨の姿より早いが、初速は暗黒再臨の姿が早い。
「ぐっっっ、があああああああああああっ!」
僕は高速で男の首を掴み、黄金の武器を持っている相手の右手の手首を掴み、動かせないようにした。そして僕は男を地面に打つけながら高速で飛んだ。
「ふふっ」
僕は痛がる男を見て少し笑い、男を解放した。
「ボロボロだな」
僕は男にそう言った。
「止めだ」
僕は地に両手を突き、獣の姿のような姿勢になり口を開けた。
(死ね)
「古竜固有魔法: 究極の死の砲撃」
僕は力を放った。黒い力が目の前の全てを破壊した。辺り一帯を吹き飛ばした。
「はあ、はあっ」
男は僕の技を受けたが何とか生き延びた。男は血だらけだった。
「ほう、まだ生きているのか。関心関心」
僕はそう言って褒めた。
「じゃあ、これはどうかな?」
「究極魔法:火龍門」
僕は手を組み唱えると僕の前に大きな鳥居が出現した。鳥居の真ん中には異空間の歪みが見られ、そこから巨大な龍の頭が突き出た。龍は咆哮とともに巨大な黒い炎のブレスを男に向けて吐いた。黒い炎が男の目の前に来る。
「習合第二…、いや最終顕現:ラー・ホルアクティ」
男は第二顕現しようとしたが死ぬと思い、最終顕現した。
「死んだか?」
巨大な黒い門と竜は消え、黒い炎は燃え盛っていた。
「はは、不死身だなお前」
黒い炎は段々と消え、男がバリアを張っていたのが見えた。
「………」
男は槍で黒い炎を払った。黒い炎は消えた。
男は黄金の槍を振った。
「!」
僕の身体に何かが打つかり血が噴き出した。
「お父さん、油断しないで!!そいつは見えない風の斬撃を飛ばしてくるわ」
アリスはボロボロな身体で僕に助言した。
「そうか…。助言ありがとう、アリス」
僕はアリスに礼を言うと、男は歯をギッと噛み締めた。
「見えない風の斬撃か…。避けようがないな」
暗黒竜眼で未来は見えるがその見える未来でも風の斬撃は見る事が出来ない。まあ、透明な斬撃だからな。
「それなら…」
「武器顕現。聖剣:フィエルボワ」
鋼鉄で出来た剣を僕は顕現させた。僕は剣を鞘から抜いた。
「その剣はあの伝説の聖剣なのか…。美しい聖剣だな」
男は僕の剣を見てそう言った。
「この剣は大切な物だから誰にも見せたくは無かったが…。この聖剣を見たからにはお前には死んでもらう」
男は僕の言葉を聞き、槍を構えた。
「能力顕現:羅刹」
僕は聖剣、フィエルボワの能力を顕現させた。赤色の大きな鮫が二匹現れ、僕の周りを泳いだ。
「何だ、その鮫は…」
男は僕が出した赤色の鮫を見てそう言った。
「来いよ。風の斬撃、飛ばしてみろよ」
僕は挑発した。
「言われなくてもそうする」
男は槍を振り回すと、見えない風の斬撃が何発も飛ばした。
「!」
風の斬撃がヨミに打つかると思いきや赤色の鮫が風の斬撃を防いだ。
「行け」
僕が男に左手を向けてそう言うと二匹の鮫は男に向かって行った。
「くっっ…、がああっ!」
男は槍を振り回し噛みついて来ようとする二匹の鮫を振り払おうとしたが一匹の鮫に噛みつかれた。鮫は僕の元へ戻った。二匹の鮫はゆらゆらとヨミの周りを泳いだ。
「もう戻って良いよ」
僕がそう言うと二匹の鮫は消えた。
「何故、その力を消した?」
男は聞いた。
「理由は見たら分かるさ。風の斬撃、飛ばしてみ」
僕は指で挑発した。
「死ねえええええ」
「!」
男は黄金の槍を振り回し、風の斬撃を飛ばしたかと思われた。だがヨミは掠り傷すら付かなかった。
「どうなってる…」
男は困惑した。
「先の鮫に噛みつかれた相手は使っていた魔法が一時的に使えなくなる。お前の見えない風魔法は使えなくなった。残念だったな」
僕は説明した。
「もう終わりにしよう」
「暗黒最終顕現」
僕がそう唱えると黒い暴風が僕の身体を包んだ。そして消え、僕の姿は灰色の竜の姿になった。
「暗黒火術:火羅万象」
僕は両手を合わせると、僕の後ろの地面の土が黒い文字で書かれた黒色の石版の破片の形となり、黒い石版の欠片が浮かび、パズルのように組み上げられ、何かの古代の文字が書かれた黒色の石版が完成した。黒い石版は禍々しい深く黒いオーラを放っていた。
「!」
男はこの黒石版を見てはいけないと思い、腕で目を隠した。
「遅い」
僕は呟いた。黒い炎が男の方に迫り来る。
「があああっ」
男は黒い炎を浴び、口から血を沢山吐いた。そして前に倒れた。
「能力強奪」
新たな敵が僕の後ろに急に現れ、唱えた。僕の中から灰色の竜の力の全てが抜けていくのを感じた。僕は力を奪われた。僕は俯せで倒れた。
「カルマ、お前か。良いタイミングで来たな」
男はもう一人のここへ来た男の名前を言った。
「おお、ソラ。お前、ボロボロじゃねーか」
カルマはソラの姿を見てそう言った。
「カルマ、そこに倒れているヨミと娘のアリスを殺してくれないか?」
ソラは頼んだ。
「ソラ、悪いな…。ヨミは殺せない。僕の奪った能力は元々の持ち主が死ぬと俺はその奪った力を使う事が出来なくなるからね」
カルマはそう言った。
「それならカルマ、その娘を殺せ」
ソラはそう言った。
「嫌だ。ソラ、君は勘違いしてる。もう君、死ぬから教えてもいいか」
男はそう言い少し笑った。
「悪いなソラ…、君の家族を殺すように仕向けたのはこの俺だ。」
カルマはソラにそう言った。
「そんな…。冗談だろ」
ソラは絶望した。
「遙か先の未来、君の亡くなった妹の子孫はアリスの子孫と手を組み、俺の脅威となる。だから俺は過去へタイムトラベルし、君の妹と家族を、アリスの子孫に殺させるように仕向けた。君の妹だけじゃなくて家族も殺したから上手く偽装出来たよ。ははは」
カルマは笑った。
「カルマアアアアアア!!」
ソラは怒鳴った。
「言ってなかったけど俺の名はカルマじゃない。俺の本当の名前はオレガノだ」
オレガノという聞き覚えのある名前に僕は驚いた。
「惨めだなああ。君は僕が君の家族を殺すように仕向けた事に気づかず、僕の操り人形となってくれた」
オレガノはソラの身体を足で踏みながらそう言った。
「君には感謝してるよ。僕はこの灰色の竜の力が欲しかった。本当にありがとう」
オレガノは笑い感謝を述べた。
「うううっ、うううあああああああああああああああっ…」
ソラは涙を流し、呻いた
「もう用は済んだ。僕はここで御暇するよ。君は君の家族を殺した僕に復讐も何も出来ずただ地面に這いつくばり項垂れている。はいはい。君の物語はここで終わり、ちゃんちゃん。あはははははは」
オレガノは手を叩き、人を馬鹿にしたような笑いをした。
「暗黒最終顕現」
オレガノは唱えると黒い暴風がオレガノの身体を包んだ。そして消え、オレガノの姿は灰色の竜の姿になった。
「じゃあね。バイバイ」
オレガノはそう言い、翼で飛んで行った。
「うううううっ…、うううっ…」
ソラは真実を知って項垂れていた。僕は立ち上がり、ソラの側に立ちソラを見下ろした。アリスも僕の側に来た。
「俺の家族が殺されたのはアンタの一族の所為だと思っていた。だが違った。アンタ達を狙って本当にすまなかった」
ソラは涙を流しながら泣いていた。
「いいよ、ソラ。お前は悪くないよ」
僕は膝を突き、ソラの手を握った。
「ヨミ、未来から来たのは俺とオレガノだけじゃ無い」
「どういう事だ?」
僕は聞いた。
「君達家族に恨みを持った人間が何人も未来からここに来ている。早く行った方が良い。次に狙われるのはお前の息子、ルークだ」
「教えてくれてありがとう、ソラ」
僕はそう言った。
「お前はもう直ぐ死ぬ。オレガノが殺したお前の家族とお前の無念、俺たちの家族が時間が掛かっても晴らしてやろう」
僕はソラにそう言った。
「ありがとう。本当にありがとう」
ソラは心から感謝し涙を流した。そしてソラの目の光は消え、ソラは死んだ。
ここまで読んで下さりありがとうございます。「面白い」「続きが気になる」と思ったら、感想やブックマーク、広告の下にある☆☆☆☆☆を押して応援していただけると嬉しいです!読者様の声が聞きたいので感想を沢山書いてくれるととても嬉しいです。全ての感想に必ず返信いたします。皆様の評価が励みになりますので、何卒よろしくお願いいたします<(_ _)>




