22話 ヒーロー
「親父、アーサーは思い残す事無く逝ったか?」
僕は後ろから来た男に言われ、振り返った。
「何だ、ケイか…」
僕は男を見るとそいつは僕の息子であるケイだった。ケイは円卓の騎士の一人だ。
「アーサーは何も思い残す事なく逝ったよ」
「そっか。良かった」
僕がそう言うとケイはそう答えた。
「お前、すっと僕とアーサーが戦っているのを見ていたのか?」
「ああ、見ていた」
「声かければ良かったのに」
僕はそう言った。
「アーサーが王都を襲撃する命令を出した理由は親父と二人の時間を過ごしたかったんだと思う。だからアーサーは他の奴に親父と戦わせないように釘を刺した。俺はアーサーの思いを汲んで親父とアーサーが戦うのを見守ってたんんだ」
ケイはそう言った。
「お前、優しいんだな」
「だってアーサーは俺の可愛い弟だからな」
ケイはそう言い、照れくさそうに笑った。
「お前はこの後、どうする?僕と戦うか?」
僕はケイに聞いた。
「いやいや、俺は親父と戦わないよ。他の奴と違って親父や親父の家族に対して殺意の衝動が無いから、俺は消えるまでこの世界をぶらぶら散策するよ」
「そうか」
僕は呟いた。
「戦っている僕の子供達が心配だ。悪いがお前とはここでお別れだ、ケイ」
「またあの世で会おう、息子よ。」
僕はそう言い、ケイを抱きしめた。
「恥ずかしいよ、親父」
ケイはそう言いながら僕を抱きしめた。
僕はケイと別れ、その場を立ち去り、子供達の所へ向かった。
レオとロキの前にガヴェインが立ち塞がった。
「暗黒解放:死と滅亡の運命」
ロキは剣を持った右腕を横に伸ばし、剣を斜め下に向けた。そして唱え、ロキの頭の上に黒い天使の輪が現れ、黒い大剣から黒い魔力が漏れ、体の周りからは黒い閃光が光り、そして消えた。
「暗黒解放:死と滅亡の運命・凍りつく世界」
レオは剣を持った右腕を横に伸ばし、剣を斜め下に向けた。そして唱え、レオの頭の上に氷の天使の輪が現れ、黒い大剣から氷色の魔力が漏れ、体の周りからは氷色の閃光が光り、そして消えた。
「世界の終わり」
ガヴェインは唱え、頭の上に黒い王冠が現れた。ガヴェインの周りに黒いオーラが漂った。
「くく、知ってるぜ、その力。昔、父さんが言っていたよ」
ロキはそう言った。
「何を言ったんだ?」
ガヴェインは聞いた。
「父さんはお前のその力が弱すぎるから捨てたってな」
ロキは相手を嘲笑うようにそう言った。
「クソガキがあっ、この私を舐めやがって!ぶっ殺してやる!!」
ガヴェインはロキとレオに向かって走り出した。
「氷操」
レオは手を前に出し、氷を作りだし、操った。作り出した、氷はガヴェインに向かって言った。
「避けやがった」
ガヴェインは氷を避けたので少しレオは焦った。ガヴェインはロキに向かって来た。
「死ねえええええええええ」
ガヴェインは剣を振りかざしていた。
「くっ……」
ロキは黒い大剣でガヴェインの剣を受けた。
「ちっ…」
レオはガヴェインに黒い大剣を振り下ろした。ガヴェインはそれを避けた。
「ぐっ……」
今度はレオに剣を振り下ろした。それをレオは受け止める。ロキは剣をガヴェインに向けて振った。
「くくっ…」
ガヴェインは後ろに下がり距離を取った。
「ロキ、こっちは二人だ。父さんが来るまで時間稼ぎをしよう」
「ああ」
レオがそう言い、ロキは頷いた。
「おい、お前何ぬるい事言ってんだよ」
「もしかしてお前達、敵と戦ったことあまり無いんだろ」
「「………」」
レオとロキは何も言わなかった。
「手が震えてるけど、どうした?生きるか死ぬかの戦いで今にも家に帰りたくなったのか?」
「「………」」
「確かに私はお前達のその天使の輪の力を持ってはいない、だが私はこの力で幾人も殺してきた」
「「………」」
「お前達、この私が怖いんだろ」
「「………」」
レオとロキは不気味なガヴェインの言葉に怯んだ。
「そうだよなあー、お前達はまだガキだ。敵と戦えというのも酷だよなあー」
「この私に誠意を見せたら、お前達を見逃してやらん事もない」
ガヴェインはそう言った。
「本当か?」
レオは聞いた。
「ああ、本当だよ」
ガヴェインは答えた。
「誠意を見せるって、俺たちは何をすればいい?」
レオは聞いた。
「んー、まずお前達が私の力を馬鹿にしたのを謝ったら許してやるよ」
「ガヴェインさん、貴方の力を馬鹿にしてごめんなさいってな」
ガヴェインはそう言った。
「どうする、兄貴」
ロキはレオに小さな声で聞いた。
「謝れば、俺たちは見逃してくれる。俺たちじゃあ、場数を踏んだ彼奴には勝てない」
レオはそうロキに言った。
「「ガヴェインさん、貴方の力を馬鹿にしてごめんなさい」」」
レオとロキは立ったまま、頭を下げた。
「違えだろうが!謝るっていうのはなあ、土下座して涙を浮かべながら見逃してくれと懇願する事なんだよ!」
ガヴェインは怒鳴った。
「ほらどうした?早く、私に情け無く許してと懇願しろよ」
「ああん!どうした、土下座は??」
ガヴェインは意気揚々にそう言った。
「なんで…」
ロキは何かを言おうとした。
「ああん、何だ聞こえねーよ」
ガヴェインはそう言った。
「何でテメーにそこまでしなきゃいけねんだよ!」
ロキはそう言い放った。
「兄貴、土下座する必要はない。父さんが来るのを待つ必要も無い。奴はどうせこっちが二人いるからハッタリをかましているだけだ。俺と兄貴でお前を殺す」
ロキはそう言った。
「ロキ、俺が大技で道を塞ぐから一緒に逃げるぞ」
「何でだよ」
「奴には勝てない、そんな気がするんだ」
レオはガヴェインに聞こえない小さな声でロキに言った。
「何だよ、お前達。この私が怖くないのか?」
ガヴェインは焦る。
「怖くないね」
ロキはそう言った。
「まあ、いい。お前達が後で後悔してももう遅いからな」
「クソガキィィィィィィ」
ガヴェインがロキを狙い、こっちに向かって走った。
「究極魔法:氷操白崩山」
レオは黒い大剣を上から下に振った。そうすると山のような氷が現れた。氷の山で道は塞がった。
「ロキ、逃げるぞ」
レオはそう言った。
「ははは、バーカ。油断したなお前達。死ねえええええええええええェ」
ガヴェインは氷を風魔法で砕き、ロキに向かって剣を振り下ろした。
「ぐっ…がはっ…」
レオはロキを庇い、ガヴェインの斬撃を受けた。
「兄貴!!」
ガヴェインから距離を取るようにレオは風魔法でロキと一緒に自分たちを後ろに吹き飛ばした。
「兄貴、兄貴!」
ロキはレオを揺らす。レオは剣で斬られた場所から血が噴き出した、致命傷だった。
「ロキ…、大丈夫か?」
レオは聞いた。
「俺は大丈夫だけど、兄貴が…」
ロキは回復魔法をレオに掛けた。
「俺は…、もうダメだ。お前だけでも…、逃げろ」
レオはロキにそう告げた。
「何言ってるんだよ、兄貴を置いて逃げれないよ」
ロキはそう言った。
「俺がお前とこの場所に来た理由が分かった。良かった…、お前を守れて」
「でも情け無いよな。昔から俺は大口を叩いていたのにレイス戦でお前たちのピンチに何も出来なかった」
「何言ってるんだよ、兄貴。俺たちが小さい頃、父さんが僕らみんなを殺す奴が現れるかもしれないと話したあの時、僕ら兄弟はみんな不安だった。でも兄貴が『俺がみんなを守るよ』と言ってくれた。その言葉だけで僕達の不安は消え、安心したんだ」
「兄貴は僕達のヒーローだったんだ」
ロキは泣きながらそうレオに言った。
「ロキ、ありがとう」
レオはそう言うと、目を閉じた。レオが作り出した、氷の山は消えた。
「兄貴?兄貴!、傷は治ったのに何で」
ロキはレオを揺さぶるが反応は無かった。
「死なせない!!」
ロキは思い出した。父さんが昔、話してくれた。人が死にそうなときどうすればいいのかを。
「俺の全ての力を兄貴に譲渡する。だから兄貴を助けてくれ!!」
ロキは手をレオの心臓に当てそう叫ぶと黒い閃光が飛び散った。ロキは全ての力をレオに譲渡した。
「兄貴、兄貴!」
ロキは揺さぶる。
「ロキか…、俺は生きているのか?」
「うん、生きてるよ」
「お前、自分の力を俺に譲渡したな。いいのか?もうお前は力が無いんだぞ」
「いいんだよ、兄貴。俺の力なんて兄貴の命に比べれば」
「ありがとう、ロキ」
レオとロキは抱きしめ合った。
「ロキ、お前もう立つ力も残っていないだろ。そこで見ていろ。俺が奴を倒す」
「分かったよ、兄貴」
ロキはそう答えた。
「ガヴェイン、長く待たせて悪かったな」
レオはガヴェインにそう言った。
「いいんですよ。さあ、戦いを再開しましょうか」
ガヴェインはそう言った。
「俺の新たな力を見せてやる」
「究極魔法:氷操黒崩山」
レオは黒い大剣を上から下に振った。そうすると空気中を走るように無数の黒い氷塊がガヴェインに目掛けて来た。
「くっ……」
ガヴェインは無数の黒い氷塊を避け、レオに近づこうとしたがレオはそうはさせなかった。
「何っ!?」
ガヴェインは動けなかった。
「氷操」
レオはガヴェインの足に黒い氷を作り出し、ガヴェインの動きを止めた。そしてガヴェインの後ろに大きい黒い氷を作り出した。
「死ね」
レオはもう一つの黒い氷塊を作り出した。前から来た氷の塊にガヴェインは打つかり、ガヴェインは潰れて死んだ。
「兄貴、終わったんだね」
ロキは立ち上がり、レオの傍に来た。
「ああ、終わった」
レオはほっとした。
トリスタンとカナエは戦っていた。レイジはそれを見る事しか出来なかった。
「ははは、楽しいねえ」
カナエの黒い水で作り出した手裏剣をトリスタンに放つがトリスタンは剣でそれを弾いた。
「黒い雨」
カナエは空に無数の黒い水玉を作り、それを弾けさせ地上に降り注いだ。
(何で…)
カナエは驚いた。カナエの黒い雨に身体が当たると普通、身体が穴だらけになる。だがしかしトリスタンは無傷だった。
「何で攻撃が通じていないっていう顔をしているね。これはルビウスの首飾り。自分を害する魔力の攻撃を無効化させるものだよ」
トリスタンは首飾りを指を差した。
(私の攻撃が一切通じない。それなら…)
「究極魔法:黒い渦」
「全ての力をこの一撃に!!」
カナエは手を上に向けると、上に黒い水の球体を作り出した。その黒い水の球体は渦を巻いていた。
「死ねえええええええええええええええええええ」
カナエは叫んだ。この一撃に全てを掛けた。黒い水の球体はトリスタンに向かって来た。
黒い水の球体はトリスタンに当たった。
「へえ、水を操る力でそんな大技を使えるんだあ。凄いね、キミ」
「!」
カナエは驚いた。トリスタンは先の攻撃でも身体に傷一つ付かなかった。
「もう、終わりのようだね」
トリスタンはカナエに近づいてきた。レイジはそれを止めようとトリスタンの目の前に出るが。
「邪魔」
トリスタンの風魔法でレイジは吹き飛ばされた。
「よくここまで頑張ったね。その頑張りのご褒美に私が君にキスして上げるよ」
トリスタンは全ての力を使い果たしたカナエの傍に来た。そしてカナエの身体を支えキスしようとした。
「気持ち悪い」
カナエはそうトリスタンに言った。
「何でこの私にそんな事言うかなあ。私の顔、少なくとも他の男よりも整っていると思うんだけど」
「気持ち悪い」
カナエはトリスタンの発言にそう言った。
「気持ち悪いを連呼してんじゃねーよ。この阿婆擦れがあっ!」
カナエはトリスタンに首を絞められ身体を持ち上げられた。首が絞まり、カナエは藻掻いた。
「まあ、いい。お前のボーイフレンドの前で熱いキスを見せてやる」
「いや、離して。離して。謝るから」
「もう、遅い」
カナエは涙を流しながら抵抗した。
(このままではカナエの貞操が奪われてしまう、誰か…)
レイジは地に這い蹲っていた。
「もうダメだ」
僕はいつも大切な人を守る事が出来ない。アリス姉さんがカナエの心臓を剣で突き刺した時も。レイス戦で父さんがカナエの身体をレイスごと突き刺した時も。僕は何も出来なかった。
レイジは深い闇に落ちた。そして見たことの無い場所にレイジは居た。その場所は辺りは一面は水で空は雲があり透き通った空模様だった。水が透き通っているから地面の形が見えた。水は数センチしか無く、レイジが這い蹲っても呼吸は出来た。
「俺は死んだのか」
レイジはそう思った。
「死んで無いわ」
レイジの知らない女がレイジの目の前に来てそう言った。
「僕はカナエを守れなかった、僕に力さえあれば…」
レイジは悔しかった。
「力があれば、守れるの?」
女は聞いた。
「ああ、守れるよ」
レイジは答えた。
「じゃあ、貴方に力を上げるわ、でもその力は今、戦っている相手に勝てるくらいの力。他の人には勝てないけどそれでもいい?」
「それでいい、今、奴に勝てるなら…。僕に奴を倒す力をくれ」
「分かった。貴方に最弱で最凶の力を上げる」
女は微笑んだ。
「じゃあ、キスするぞおおお」
トリスタンはカナエにキスをしようとした。しかし、レイジは黒い大剣を作り出しトリスタンの腕を切り落とそうとした。トリスタンはそれに気づき、カナエを放り投げて、攻撃を避けた。
「何だ。折角、良いところなのによお」
トリスタンはそう言った。
「暗黒解放:死と滅亡の運命・インフィニティ」
レイジはは剣を持った右腕を横に伸ばし、剣を斜め下に向けた。そして唱え、ロキの頭の上に青い天使の輪が現れ、黒い大剣から青い魔力が漏れ、体の周りからは青い閃光が光り、そして消えた。
「これじゃあ、お前を倒せないな」
レイジは自分で作り出した黒い大剣を捨てた。そして黒い大剣は魔力となり、レイジの元に戻った。
「黒加具土命」
レイジの後ろに黒い狩衣を着て黒い大剣を二本逆手に持ち、仮面を着けた髪の長い女が現れた。
「何だその使い魔は!」
トリスタンは聞いた。
「これは僕の式神だ」
レイジは答えた。
「何で剣を捨てた?」
トリスタンは聞いた。
「先、捨てた剣は僕の魔力で作り出したものだ。お前の首飾りは魔力の攻撃は無効化されるから捨てた」
「ほう、そうか。ご丁寧に説明どうも」
トリスタンは礼を言った。
「黒加具土命、剣を寄越せ」
レイジの後ろにいる仮面を着けた式神にそう言うと、式神は右手に持っていた剣をレイジに渡した。
「黒加具土命、奴を殺せ」
レイジが指示すると黒加具土命はトリスタンに向かって行き、剣を振り下ろした。
(こいつ、動きが早い)
トリスタンは黒加具土命の攻撃を何度も躱した。
「くっ……」
トリスタンは黒加具土命が振り下ろした剣を受け止めた。
「僕もいるよ」
レイジはトリスタンの腹に黒い大剣を打つけた。
「ぐっ……」
トリスタンは咄嗟に風魔法で防御した。レイジは力を込め、トリスタンは吹き飛ばされた。
「はは、中々やるな」
トリスタンは吹き飛ばされたがまた立ち上がった。
(奴らの剣は魔力で作ってないからこの首飾りをしてても攻撃が通ってしまう)
「畜生、この役立たず」
トリスタンは首飾りを強引に取り、地面に捨てた。
「いいのか?」
レイジは聞いた。
「役に立たないからな」
トリスタンはそう言った。
「黒加具土命、行け」
レイジは指示をすると黒加具土命はトリスタンに向かって行った。
「何度も来やがって」
(あれを試してみるか)
「限定破壊」
トリスタンがそう言い、黒加具土命の剣と自分の剣を打つけた。
「何っ!」
黒加具土命が持っていた黒い大剣一振りが破壊された。
「どうやら、その黒加具土命っていう式神の核はその剣二本にあるようだな」
「あと一本、お前が持っているその剣を壊せばお前の式神は終わりだ」
トリスタンはレイジに向かって来て剣を振り下ろした。レイジは剣で受け止めた。
「壊れて死ねえええええええ」
トリスタンは叫んだ
「はは。お前、感情的になると周りが見えなくなるようだな」
「何っ!」
「鬼神砕破」
黒加具土命は両手で力を集め青いオーラを凝縮した物を作り出した。その塊には強い黒い閃光が走った。そして青いオーラの塊をトリスタンに打つけた。
「があああああああああっ」
トリスタンは青いオーラの塊を打つけられ、塊ごと吹き飛ばされた。
「死んだか…」
レイジはカナエの元へ行った。
「カナエ、大丈夫か?」
レイジが聞くと、カナエはレイジに抱きついた。
「怖かった」
カナエは涙を流していた。
「もう、大丈夫。大丈夫だから」
レイジはカナエを抱きしめた。レイジの戦いは終わった。
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