20話 宝の山
僕たちは息子達の帰還を家で待った。昼は過ぎ、午後の三時になった。
「ただいまー」
クロスの声がした。
みんな声に驚いてすぐに玄関に行った。
「ロキ、クロス!」
シエラはロキとクロスを抱きしめた。
「ただい…」
ルークがただいまと言おうとした時、エリナがルークを抱きしめた。
「何で!何でダンジョンなんかに行ったの!小さい頃からダンジョンはお父さんも行くのが怖いって言う程危ない所って教えたよね」
「ごめん、母さん」
ルークはエリナに抱きしめられ、謝った。
「母さん…、ただいま」
テオがカミラに言った。
「良かった、無事で…」
テオをカミラは抱きしめた。
「レイジ…」
「ごめん、母さん。嘘ついてダンジョンに行って」
「ただいま」
「ただいまじゃないよ。貴方、もしかしたら死んでいたかもしれないんだよ」
「うん」
「でも良かった」
ルナはレイジを抱きしめた。
「母さん、ただいま」
(みんな抱きしめ合っていて、何か照れくさいな。早く自分の部屋に行こ)
レオはそう思い、自分の部屋に行こうとした。
「レオ…」
アリアはレオの名前を呼ぶとレオを抱きしめた。
僕は息子達が無事に怪我無く帰ってきて良かったと思った。
「皆、集まって」
僕の家族全員とイシスの娘達、イザベラ、リリアがリビングに集まった。
「危ないから机から離れてくれ」
皆、ルークの言うとおりに机から離れた。
「行くぞ!」
ルークは机の真上に空間魔法を沢山、展開した。
ゲートから金色に輝く財宝が降ってきた。机の上は黄金の山となった。降ってくる財宝は尋常じゃなく、机の上に乗りきらず、下に落ち溢れた。
「凄い、お兄ちゃん凄い!」
弟や妹は喜んだ。
「みんな心配かけたな、この財宝はみんなで山分けだ」
「「やったあ」」
ルークはそう言うと弟や妹は大喜びした。
「わあ、王冠だ!私、王女さまに見える?」
「ああ、見えるよ」
妹は金の王冠を被り、兄たちに見せた。
「俺は勇者だ。皆で勇者ごっこしよーぜ」
弟は意気揚々に宝石で装飾された剣を持ってそう言った。
「お兄ちゃん達、いいの?私たちもお宝貰っちゃって」
「いいよ。みんなで決めたことだから」
「ありがとう。お兄ちゃん」
妹は喜んだ。
「みんな好きなお宝取っていいぞ。イザベラ、リリアも好きなお宝持って帰ってよ」
「えっ、私達もいいの?」
「イザベラとリリアも僕たちの家族みたいな存在だから、受け取ってよ」
「ありがたく受け取るわ。ありがとう」
ルークの言葉にイザベラは感極まりそうだった。
「やったあ、私もこれで大金持ちだあああああああ」
リリアは燥ぎ、机の上にある黄金を手繰り寄せ腕一杯に財宝を持った。それでは飽き足らず、首に掛けたり腕に嵌めたり、頭に被ったりして凄いことになっていた。
「リリア。いくら貰えるからって、それは貰いすぎよ」
イザベラがそう言うとリリアは少し落ち込んで財宝を机の上に乗せようとした。
「良いですよ、戻さなくて。まだ沢山財宝はありますから。好きなだけ持って帰って下さい」
ルークがそう言った。
「ルーク君、好き。私と結婚して!」
「ええっ…」
ルークはそう言われ困った。
「エリナ、いえ、お義母さん!ルーク君を私に下さい!!」
近くにいたエリナにリリアはそう言った。リリアの目はグルグル渦を巻き、財宝を見たせいで可笑しくなっているのは明らかだった。
「考えておくわ…」
エリナは当たり障りの無いように答えた。
「お宝が私を待ってる~」
リリアは陽気に机の上の財宝の山へ行った。
「お父さん…」
ルークは僕を呼んだ。
「どうした?」
僕は聞いた。
「ここにある財宝余ったらみんなの生活費の足しにしてよ」
「いいのか?」
「うん。お父さんがいくら稼いだとしてもうちは子供が多いから出て行くお金が多いでしょ。だから生活費の足しにして」
「悪いな…」
僕は自分の息子に心配されるなんて思っていなかったから何だか申し訳なかった。
「父さん。あの時、母さんを止めずに行かせてごめん」
ルークはイシスの娘達がエリナを連れて行かせてしまった事を謝った。
「僕こそ悪かった。ルーク、お前に失望したなんて酷い言葉を投げかけて…」
僕は謝った。
「いいよ。父さん」
ルークは心のモヤモヤが晴れた。
「じゃあ、仲直りのハグだ」
僕はそう言い、ルークとハグをした。
「あと父さんに渡したい物があるんだ」
「これ」
ルークは空間魔法で物を取り出して僕に渡した。
「これは…」
僕は意外な物を渡されびっくりした。
「昔、僕たちが小さい頃、寝るときに話してくれたよね。昔の父さんの息子がどこかの遺跡の最深部にお父さんの大切な黄金の首飾りを置いていったって。それで父さんは取りに行こうとしたけど遺跡が怖くて取りに行けなかった。その黄金の首飾りはお父さんの話していた首飾りで合ってる?」
「ああ、合っているよ…。この首飾りは僕の大切な人から貰った物なんだ…」
僕は黄金の首飾りを首に掛けた。
「父さん、昔その首飾りには何かの効力があるって言っていたよね。どういう効力なの?」
ルークは僕に聞いてきた。
「これはな、勝利の首飾りと言われてる物なんだ」
「勝利の首飾り?もしかしてそれを着けて敵と戦ったら必ず勝利するアイテムとか?」
「いや、そんな便利な物では無いよ」
「これは死と滅亡の運命を強化する時に使う補助アイテムだ」
「強化ってどういう事?」
「死と滅亡の運命にはもう一段階…いや、何段階も強くする事が出来るんだ。だけどその代わり僕の意識は無くなり暴走するからそれを防ぐ効果がこの勝利の首飾りにはあるんだ」
「いつかルークお前にも死と滅亡の運命を強化したものを見せる時が来るかもしれない。そうならないように生きたいものだがな」
僕はそう言った。
「父さん、僕の死と滅亡の運命・もう一つの力をもう一段階、強くすることって出来るの?」
「ああ、出来るよ」
「そっか。あんなに修行して得た力だから頂点だと思っていたが、まだ上があったんだね」
ルークは嬉しそうだった。
「父さん、僕に強化の仕方を教えてくれよ」
「教えたら出来るようなものじゃないよ、お前が敵と戦っていく内に出来るようになるから安心しな。それにルーク、お前とよく稽古するがお前には戦いのセンスがある。すぐに僕を超えるようになるさ」
「そっか」
ルークは僕に褒められ嬉しそうだった。
「母さん達…」
ルークは言った。レオ、ロキ、クロス、レイジ、テオも横に並んだ。
「どうしたの?」
エリナは聞いた。
「今から。僕達、仲間内でダンジョン攻略祝いがあるんだ。行っていい?」
「ええ。勿論、良いわよ」
エリナはそう言った。
「余り、羽目を外さないようにね」
「分かった」
シエラは釘を刺した。
レオ達は家を出て行った。
「どうせ、分かったって言いながら羽目を外すんだろうなあ」
カミラはそう言った。
「それ位は大目に見ましょう」
ルナはそう言った。
「皆、今日はうちらもパーティーするよ」
エリナはそう言った。
「やったー」
「わー」
子供達は喜んだ。イシスの娘達に留守番を頼み、僕と嫁達で寿司とピザを買いに行った。水月は僕の子供達と遊んでいるから家にいることになった。
僕たちは五の世界にゲートで行った。
「まさか僕の息子達がダンジョンを攻略するとは思わなかったよ」
僕は染み染みそう思った。
「そうですねー。みんな無傷で良かったですよ。本当に」
ルナはそう言った。
「ヨミ。貴方の話を聞いたんだけど子供達が小さい時、寝る前にしていた貴方の話を子供が真に受けたから今回の騒ぎになったんでしょ。これは貴方の責任よ。何か弁解はある?」
そうシエラに言われた。
「弁解の余地もございません。僕が悪かった」
「分かれば良いのよ」
僕はシエラにはキレられると思ったがそうはならなかった。
僕たちは買い物を終え、家に帰った。
家に戻ると机の上や地べたに沢山あった財宝は隅に置かれていた。みんな僕たちが帰ってくるからお皿やコップ、ジュースが机の上に置かれ、食べる準備がされていた。
僕たちは買ってきた物を並べ、パーティーを始めた。僕たちは夜遅くまで沢山食べ、沢山飲んだ。僕たちはこうして一日を終えた。
それから二週間が経った。その二週間の内に定例会があったのだが、何者かによる襲撃に遭った。僕とカミラとフェリクスは定例会に行かなかったので襲撃には遭わなかった。僕とカミラ、フェリクス以外の黒十字騎士のメンバーは全員と王は、何者かによる呪いの魔法で眠らされた。
起こそうとしても起きなかった。僕が見たところ全員、時間を止める魔法を使われているようだ。何故そう思うのかはもし時間を止められていなく、眠らされているのなら排泄物が勝手に外に出るはずだからだ。途中経過を見ていたが眠っている者、全員排泄しなかった。これは眠らせ時を止める魔法を掛けられたと断定できる。この魔法を解くには術者を殺して解除させるかこの魔法を解除する魔法を掛ける、その二つの方法しかない。王と黒十字騎士のメンバーは配下に任せた。
ロキは彼女がいる。今日は彼女とロキが付き合うことになった記念日だ。だからロキは花束と食事とケーキを彼女の家に持って行った。
「………」
ロキは彼女から合鍵を貰っていたので開けて入った。
(エミリーはまだ帰ってなさそうだな。帰ってきたら驚かせてやろう)
ロキは企み少し笑った。
ロキは食事とケーキと花束を一階のダイニングの机の上に置いて彼女を待とうとした。
上の階から話し声が聞こえた。もしかして彼女と彼女の親が上の階にいるのかと思い、ロキは花束を持って階段を上がった。
話し声が聞こえる部屋は扉が少し開いており彼女の声が聞こえた。
「………」
ロキは驚かせようと中を少し覗いた。
そこには驚きの光景があった。
エミリーは他の男と交わって愛し合っていた。ロキはそれをじっと傍観することしか出来なかった。
「………」
ロキは花束を地に落とした。
そっと階段を降り、家を出た。
ロキは歩く内に涙を流し、この腐った紛い物の世界を呪った。
次の日…。
ロキは自分の部屋に閉じこもっていた。妹が父さんが外の敷地で呼んでいると教えてくれた。 ロキは足取りが重いが外に出た。
「お前達、全員集まったな」
僕の目の前にはレオ、アリス、ルーク、ロキ、クロス、レイジ、テオがいた。
「そろそろ敵と戦うことになりそうだからお前達をここに呼んだ」
僕はそう言った。
「お前達、これ出せるか?」
僕の頭の上に黒い天使の輪を顕現させた。
「これでしょ」
ルークは赤い天使の輪を顕現させた。
「他に出来る奴はいないのか?」
僕は聞いたしかしみんな黙った。
「お前達は兄に遠慮して出さないようだが遠慮しなくていい。今はそれどころじゃないんだ」
僕は真面目な声でそう言う。
「僕も出来るよ。兄ちゃんが苦労して手に入れた力を僕は簡単に発現したから言いずらかったけど」
テオはそう言い、砂の天使の輪を顕現させた。
「僕も…」
クロスはそう言い、橙の天使の輪を顕現させた。
「他にもいないか?」
僕は聞いた。
「父さん、俺も使えるようになったよ」
ロキはそう言うと、ロキの頭の上には黒い天使の輪が浮かんでいた。
「ロキ、お前何かあったのか?」
僕は驚いた。黒い天使の輪は力を譲渡されて使えるようになるか強いストレスによって使えるようになるかの二つだった。
「何でも無いよ、お父さん」
「そうか」
僕はそう答えるしか無かった。
「他にはいないか?」
「「………」」
皆、黙った。
「どうやら、いないようだな…」
僕はそう言った。
「レオ、アリス、レイジ…。お前達の中で一人、僕の力を譲渡しようと思ってる。力が欲しいやつはいるか?」
僕は聞いた。
「僕はいいや。他の人に譲るよ」
レイジはそう言った。
「俺が…」
「私が貰う」
レオが小さい声で言おうとしたがアリスがそう言い、レオの声は掻き消された。
「そうか…。アリス、僕の方へ手を出しなさい」
僕がそう言うと、アリスは手を出した。僕は自分の頭の上に桃の天使の輪を出し、アリスの手を握り、力を譲渡した。
「!」
そうするとアリスの頭の上には桃の天使の輪が現れた。僕の頭の上にあった天使の輪は消えた。
「じゃあ、次にお前達に話さなければならないのは、天使の輪の色の種類とその特性についてだ」
僕はそう言い話し始めた。
「まず、僕の頭に浮かんでいる天使の輪、これを僕は運命の輪と名付けた。運命の輪を使うと攻撃力、防御力が飛躍的に上がる。そして特殊な技が使えるようになる」
「僕が今、頭の上に浮かべている黒い天使の輪は攻撃特化型だ」
「次にアリスの頭の上に浮かんでいる桃の天使の輪はバランス型だ。これは運命の輪の中でもバランスの取れた型だ。桃の他に灰色、橙、金がある」
「次に特殊型。相手が剣で斬っても斬れないときに有効だ。無体の物でもその特性を打ち消すことが出来る。特殊型は赤、緑、紫、青の四つだ」
「次は防御型。種類は氷、砂。防御型は高い防御能力を持っている。上手く使えば攻撃特化の黒い天使の輪と同じくらい強くなる」
「そして最後に運命を変える事の出来る型。これはレイス戦で最後に使った白い天使の輪で、この力のお陰でみんな生きる事が出来た。僕が生きてきた人生であの時、初めて使った謎の多い力。これで以上だ」
「お前達の運命の輪は使い方次第で自分よりも強い奴を倒すことの出来る無限の可能性を秘めているだからお前達はこの力を自由自在に使えなければいけない、分かったな」
「分かったよ、父さん」
僕は話を終え、みんなそれぞれ戻った。
レオは自分の部屋に戻った。
「くそお!くそ、くそ!!」
レオは自分の枕を拳で殴った。そして枕を掴み、何度もベッドに叩きつけた。
「大丈夫?レオ」
ハクアはレオが心配になり、部屋に入った。
「ハクア…」
レオはハクアの名を呼んだ。ハクアはレオの傍に近寄った。
「どうしたの?」
ハクアは聞いた。
「先、父さんが力を誰かに譲渡するって言ったんだ。俺はそれを聞いて一瞬迷った。だから力はアリスに譲渡された…」
「俺はルークのように修行して力を手に入れる度胸もない、弟達のような才能も無い。俺には何も無いんだ。俺だって力を使えるようになって誰かをを守りたいよ…」
レオは涙を流した。レオは弟や妹の前では泣かないと決めていた。だが誰かに心の内を明かしたかった。泣き言を言いたかった、例えそれがどんなに情け無い物でも…。
「私も貴方のように苦しんだから貴方の苦しみは分かるよ。大丈夫よ、レオ。私の力、貴方に上げるから」
「でも、いいのか。ハクアの力は父さんから貰った大切な力なんだろ」
「いいよ、私はレオに力を上げたいから上げるの。手を出して」
「ああ」
レオは手を出した。ハクアは手を握った。ハクアの頭の上に氷の天使の輪が現れ、そして消えた。レオの頭の上に氷の天使の輪が現れた。
「俺にも力が…」
レオは自分の部屋にあった鏡を見た。レオの頭の上には氷の天使の輪が浮かんでいた。
「ありがとう、ハクア。本当にありがとう」
「うん」
レオはハクアを抱きしめた。
「ハクアに何かお礼しないとな、俺に出来ることなら何でもするよ」
レオはハクアにそう言った。
「うーん。それなら私と結婚して欲しいな」
「えっ」
レオはハクアの発言に驚いた。
「冗談、冗談」
ハクアはレオの反応を見てそう言った。
「ハクア、俺もお前と結婚したい」
「えっ…」
レオはハクアの目を見つめて言った。
「私が貴方に力を上げたから、そのお礼?」
「違う。違うよ、ハクア」
レオはハクアの両肩を掴み、否定した。
「俺はハクアと初めて会った時、運命を感じたんだ。俺はこの女性と結婚するって」
「一目惚れってこと?」
「一目惚れ、いや、うん、その通りだ。俺はハクアに一目惚れしたんだ」
「そっか…」
ハクアは顔を少し赤らめた。
「そうだ。ハクアお前にプレゼントがあるんだ」
レオは机の引き出しを開け、小さなケースを持ってきた。
「もしかしたらいらないかもしれないが…」
レオは小さなケースを開けた。ケースの中には婚約指輪があった。これはダンジョンで手に入れた物だ。
「凄い。私にくれるの?」
「勿論。手を出して」
ハクアは手を出し、レオはハクアの左手の薬指に婚約指輪を嵌めた。
「大きいね」
「三カラットだから大きいよ」
ハクアが見たことが無いサイズのダイヤだった。
「ありがとう、大切にするね」
ハクアはとびきりの笑顔でそう言った。
「ハクア…」
「何?」
「俺と結婚してくれるか?」
「うん、いいよ」
「俺はハクアを一生大事にするよ」
レオはハクアを抱きしめた。
「ハクア、どうした?」
ハクアはずっと啜り泣いていたのでレオは心配した。
「お姉ちゃん達と妹達には悪いけど、お父さんと私が血が繋がってなくて良かったと思ったの。血が繋がってないからレオと結婚できるって。でもそんな事を思えるなんて私、性格悪いのかな…」
ハクアはそう言った。
「そんな事は無いよ」
レオはハクアを抱きしめ、髪を撫でた。
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