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転生王女の外遊譚  作者: えすろく
8/13

コーラを愛する美少女と最強魔法の種

 旅に飲み物は必須です。水です。お茶です。脱水症状一直線DEATH。

 どんなに美少女であったとしても、水分補給と栄養補給を怠ればDEATH。

「雨降りすぎですよ……」

 次の国への道中、連日・雨・雨・雨・雪・雨・嵐ですか。そろそろ晴れても良い頃合いです。体も冷える一方です。脂肪が少ないスリムな体ですので。胸元は元々スリムです。寒いです。1週間、ずっと雨。途中雪が降ったときは空に向けて爆炎魔法を撃ってしまいました。

 ――冗談です。


 次の国は鷹の目さんを飛ばして確認できる距離にもあるにもかかわらずですよ?テントで1週間過ごしています。それは何故でしょう。


『あんりまー。こりゃまたえらい増水しちまって。橋が渡れんがな!』

 ちょっと小汚い老人も雨合羽を羽織り愚痴っています。


「老子、貴方様もあの国へ訪問ですか?」

 柔道着らしき衣が雨合羽よりチラチラと見えています。まあ、汗臭そうです。


 修行僧かモンクさんでしょうか?そこそこ年齢も重ねていらしている風格のあるお方です。小汚い臭そうな老人ではなく、加齢臭でした。フレーバーです。大変です。湿気と相まって殺人拳法です。


 フレーバーで思い出しました。このセカイには、コーラが無い。死活問題です。黒い悪魔です。死んじゃいますよ?


 加齢臭と汗の臭いとカビ臭さが混じり合うそして、華やかな香りを出しているご老体。ヤバいです。私の嗅覚がです。凄く懐かしい香りがする。コーラが飲みたいと思ったせいでしょう。コーラの匂いなんてしてなかったはずなのに、コーラの匂いに勘違いするほど華やかな香りが漂っています。雨の中魔法の傘を差している位雨が降る中でも良い香りがします。


 飲んでみたいですね。老人の汗です。連日の雨で私は狂ってしまったのでしょう。


「老子からとてもとてもフローラルな香りがするのですが?何かお持ちなのしょうか?」

 老子はポンと手を叩き、背負っていたザックから一つの小袋を出して見せてくれました。『これはあの国の特産品でしてなぁ……炭酸水に一晩漬けて飲む為の種だ。そして、このまま食べても一応は問題ない。非常食としての役割もある。ただ、炭酸水で漬けて飲まないで、直接かじったら……まあ一つ食べてみた方が話は早いだろう』

 老子から『謎の実』を一粒頂きました。

 ――アリスティリアにサンダーが走る!!


「あ、あ、あーーーーんまーーーーいい!!!」

 ――アリスティリアの脳を溶かす!

 ほぼ劇薬レベルです。一粒で致死量です!

 これは、あの薬品の味がするフレーバーの種です。まさにドクターを呼ぶ悪魔の種です。


「ろ、老子。この種は、あの国に売っているのですよね?」

 そう訪ねると、小汚い老人は『売ってはいるが、一粒銀貨3枚とちと高いのがネックだ』とも仰ります。銀貨3枚もあれば、中級者の宿に2泊は出来よう。

 よし、採集しよう!

『採集ね……あまり勧めないわな。商人から買った方がいいぞ』

 一粒銀貨3枚ですよ!まさに安い幻術妙薬より高い実ですよ!ぼったくりでしょ。よし商人の店に強盗事件です。や、やめろ!

 コーラは難しいけど、中二病の志向の魔剤に親しいドクペに似て非なる飲み物を錬成できそうです。炭酸水に関しては、実はあてがありまして。



 転生して間もない7歳の時の事です。

 私の魔法は最強ではありませんでした。

 そう、『でした』なのです。


 例えば、超強力な極大爆裂魔法を唱えられる最強魔道士が居るとしましょう。私のことではありませんよ?当然、火属性でした。

 そう、『でした』なのです。

 私は、神に嘆願した『最強ではなくてもいいから色々出来る』と。

 異世界ものの魔法といえば、自然学と一見すれば仲良し展開ですが、本質は違います。

 神や精霊様のお力添えで大爆発が起きているキテレツ現象です。触媒は魔法でしょうか?そのような不確定エネルギーでも極大爆裂を放つことが出来るセカイ。


 こんなセカイにちょっとスパイスを加えてやればあら不思議。

 ――パチン!

 フィンガースナップを鳴らし……ただの格好つけです。

 水の魔法を軽く発動して、雷の魔法をぶつけて……ちょちょっとな。

 

 水は電気分解し、水素と酸素ガスで充満する……!

 クルッと体を一回転させ

 ――パチン!

 私は指先から雷の魔法を放ちました。

「イオンなんたらズン!」

 ――カキーン!!ドカァァァァン!!!

 半径1kmを超える極大爆裂魔法を発動できてしまいました。


『ティ!、ティリア様!』

 あらま、爆風で侍従長のマクルが吹っ飛びましたわね。合掌。

 

「フッ……最大効率で王国を吹き飛ばせますね」

 魔法が大活躍の異世界でも化学反応はきちんと起きるようで安心しました。魔法の発展しているセカイのお陰か足かせか、産業革命すら起きていないセカイなのです。


「マルク!材木を大量に集めなさい!!とにかく硬くてしなやかな材木を!」

 まずは風車でしょうか?水車でしょうか?……いえいえ、やっぱり最強の炭素繊維を作りましょう。何故最強の繊維を作ったか?それはそれは旅路の支度の時にでも。



 と、まあ、若い頃の副産物で、炭酸水を練成出来るようになったのです。

 無料の天然水が、炭酸水へと。そして、小汚い老人の持っていた種で『ドクターな至高の飲み物』が仕上がりました。


『お嬢さん、貴重な炭酸水を持ち歩いてるとかどーやってとるんや!』

 まさか、飲みたいときに錬金術で練成しているとは、お答え出来ませんね。国家機密ですよ奥さん、私、王女だけに。このセカイにパッキンというのが無かった為に、炭酸水を輸送できなかっただけなんですけどね。聖水の瓶に蓋をするだけでは気体は抜けちゃいますから。あと、錬金術で炭酸水は簡単にできちゃうんですよ。このセカイ。作る事は意外と簡単、だけど科学が発展してないので、輸送が出来ないって事例が結構多いのです。お魚とかお魚とかお魚とか!


 雨止まないでしょうか?炭酸水があっても、目の前の国にある『フレーバーの種』が確保できなければ、『ドクターな至高の飲み物』を旅路で味わえないでしょう。


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