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転生王女の外遊譚  作者: えすろく
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アリスティリア・ラム・メディシス

 私は暴漢に殺された。こんなに悲しい事はないでしょう。私はただ自分を護っただけなのに。こんな理不尽な事はないでしょう。とても残念な人生でした。


 そう、『でした。』なのです。

 神という胡散臭い存在と交渉した結果、絶世の美女である私はその類まれな絶世の『美少女』で転生できることになりました。ある意味ラッキーです。やはり世界一の美女より美少女である方が良いでしょう。大学生活なんて良いことはなかったですね。ヤリサーに勧誘されるは、大学生活中も男性が寄ってくるわでろくな事がありませんでしたね。

 死んでしまいましたが、神様のお陰で美少女に転生しました。あと、魔法も使えますし、色々なスキルも獲得できます。良いこと尽くめですね。ですが、そんなにいい話は必ず代償を支払うものです。その一つが……。


 転生先のセカイでも殿方に追われる人生。美少女である事が罪なのでしょう。暴君が大きな声を荒らげて追いかけてきます。『またですか!王女様!何度実験で屋敷を壊せば気が済むのですか!』……ほらね。


 魔法具を錬成していた際に『城の離れにある館』を、見事に破壊してしまった魔法学者がお城に迷い込んだのです。旅に出る為の『魔法のソリ(仮)』を錬成していたようです。ソリと言ってますが、トナカイで引く訳ではありません。ホウキで飛ぶことも魔法使いですので可能ではありますが、旅に出るには荷物も多いことですし、長時間の間、股に棒を挟んだり乗っかって飛ぶのは些か抵抗を感じていました。


「爺や!ごめーん!」

 そう私です。錬成し放題とはいえ、無理なレベルの錬成は失敗します。なんせキャンピングカー級の魔法のソリを錬成しましたので。馬鹿……なのでしょうか?鹿や馬でも引くわけではないのに。自身の魔法力で飛ばすのです。やはりホウキが一番良いのでしょう。


 『アリスティリア様!何度目ですか!またガラクタを錬成して吹き飛ばして!!メディシス王家は発破業に生業を変えたのですか!』そう、私は『アリスティリア・ラム・メディシス』メディシス王国の第一王女で『王位継承権第一位』の私です。王女様に転生してしまいました。異能もあり、料理スキルから錬金術まで色々なスキルも持ち合わせる私でしたが、この世界に科学はありませんでした。失敗です。


 スマホもなければ、パソコンも無い。エゴ・サーチもできないし、電気もなし。さてどうしましょうか?。まさか異世界に来て『温水洗浄便座』なんてある訳もなく、ぽっとんです。臭いし汚いですね。最悪でした。


 そう、『でした。』なのです。メディシス王国のメディシス城には『温水洗浄便座』と『浄化槽』が存在しているのです。そう、私です。やったね。


 アリスティリア・ラム・メディシスとして新たな人生を始めました。7歳からですが。0から7歳までの記憶が無いです。ですが、転生前の記憶はちゃーんとあります。お陰でトイレが出来ました。良かったです。あと、このセカイの女の子はちょっと変わってます。


 順風満帆に異世界生活をノンビリ堪能出来れば良いのですが、『王位継承』するにあたり、『セカイ一周』をする必要があるらしいのです。とても面倒くさいです。もう一度転生出来ませんか。

 転生して7年余、可能な限り『旅の準備』をしているのです。セカイ一周ですよ?馬鹿なのですか?飛行機も無ければ車もない。『魔法のホウキ』はありますが。ホウキに乗って旅とかしたら、宅配業ですか?嫌ですよ。黒い服にクロネコですか。私は犬派です。従順な奴らを希望します。あと、魔女ではありません。


 国を回るにあたって護衛の者達を連れて各国を尋ねるようですが、『丁重にお断り』しました。護衛をつけるならば王位継承権を放棄すると言ってやりました。当然です。回っている間にいい国を見つけてコッソリ失踪する予定だからです。王様になんかなりたくないので。無責任ですか?。いえいえ王様にはなりませんが、始皇帝になるかもしれませんね。セカイ統一です。

 ――冗談ですよ。


 御老体である爺いやを撒くことなど容易いことです。逃げ切った所で別棟の研究施設に行くことにしましょう。 おっと、捕まってしまいました。


 『天才的才能をお持ちなのは、重々承知しております。しかしですな……』と小言を言われ続けるのです。では、御老体の爺にレアスキルやら才能やらを山程獲得している私が捕まったかと?それは私の優しさですよ。別に爺いやが凄腕の魔法使いだからというわけではない。『アリスティリア様が如何程の才能をお持ちだとしても、空間魔法の転移魔法を使える私から逃げられるとお思いですか!』空間魔法ではセカイ随一らしいのです。それでは捕まります。


 爺やさんを連れていけば、国めぐりもそれはそれは快速に済むことでしょう。とはならず、空間移動魔法はせいぜい見える範囲が限度らしいです。とても残念。


「爺や、やっぱり旅路には快適装備は必須よ。ホウキにリュックとカバンだけでは心もとないわ」

 15歳の誕生日に出発の式典が行われる。それまでの間に十分過ぎる準備をしているのですが。どうしても荷物が多くなっていきます。魔法のカバンの容量は既に80%位でしょうか?空きがありません。カバンの中身は『テント・タープ・魔法釜・食材バスケット・衣服・帽子・シュラフ・コット・錬成素材バスケット・調理具・等など』既に一杯です。でも結構入ります。武器に関しては腰に細剣を常時装備することになりますね。

 魔法使いなのに、杖やロッド?持っていかないのか?

 そう、私は美少女の王女です。『職業:王族(魔法は使える)』です。冒険者でも剣士でもナイトでも魔法使いでも僧侶でも勇者でもありません。『王族』です。殺される側か冒険者に褒美を遣わす側です。不愉快ですね。無能な連中に差し上げる金貨はありません。このまま行けば『政略結婚END』か『暗殺END』か『ならず者〇〇妊娠END』です。王女様のエンディングは悪役令嬢と変わりません。何としても回避しましょう。

 よし、国を滅ぼしましょう。


 海外逃亡するにしても、いい土地と職が必要ですね。セカイ一周している間に『〇〇END』とは別ルートを見つけます。そう、見つけます。

 私はこう見えても転生者ですので。


 一人で外遊すると13歳に宣言してから、お父様(王様)を納得させるのに半年もかかってしまいました。それも失敗ですね。準備が遅れました。そのお話も長くなりますね。また今度です。

 お母様が早くに亡くなられてから私への依存が大きい父にはそれはそれは修業の日々が待っています。


 なので、荷物は増える一方、積載量は減る一方。ホウキでは限界です。やはり馬車に代わる乗り物を錬成しましょう。

 結果、王宮の一部が瓦礫になりました。誰ですか?破壊したのは。私ですね。


 準備を進めることにしましょう。この続きはまたの機会に。


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