魔王の国(後編)
血色の悪い……具体的に言うと、ドラ何たらに出てきそうな紫色の肌の体格の良いモンスターがしゃしゃりでてきました。
『おめー!ここの魔王城は……確かに冒険者やら勇者相手に戦争してるが、いくら何でもうちの園庭で賭博はおっぱじめるわ、飲み物は売り始めるわで、いくら何でもやり過ぎだ!!』
——先にけしかけてきたのは『上級ケンタウルスさん』ではなかったでしょうか?
「またよく出来た冒険者やら勇者風の死体ですね……脅すのもフリーサービスでしょうか?」
『なめてんのかぁ!!ホンモノの骸だ!貴様も並べてやろうか!!!』
なかなか『激おこぷんぷん』してますね。面倒臭さいので最終形態からのバトルでお願いしたいものですね。あと、世界平和とか魔王討伐とかは私の担当ではありません。そういう方々に『勇者タロウよ!次の経験値まであとレベル1350だ!』……おっと、経験値とレベルを逆さに言ってしまいましたね。実際は、経験値が一定量貯まってレベルアップで強化?ってのも不自然ですよね?そこは異世界もので突っ込んではいけないことなのでしょう。
——アリスティリアは神官に『悟りの書』をみせた!
しかし、賢者に転職できなかった……!
職業:王女ですので。
「なら、悪態つく私をさっさと蹂躙して貴方の慰め者にでもすればよいのでは?」
警告せず、さっさとご立派様を披露して私をひーひー言わせてみせみなさいな。でも、それをしないと言うことは……訳ありでしょうか?あらあら大変ですね!金貨の匂いが『ぷんぷん丸』ですよ!
『……まあ、なんだ……。』
やはり事情があるようです。私が女王となった際に優位に働くようツバを付けおくのも良いことでしょう。話くらいは聞いてやります。
『勇者パーティーが強くてこのままでは我々は滅びる道しかないのだよ』
語りだすと紫の筋肉ボディーがみるみる人肌に変わり『オッサン』から『雪のような白く絹のような肌の美少女』に豹変しました!
「お嬢さん、どうしたん?話聞こうか?」
手足頭まで全身エリンギキノコ『アリスティリア・ラム・メディシス』が現れた!ひとはいう、『お・・ぽ騎士団』と!
『お、おまえ!さっきまで、私の軍勢を手玉に取るようにおちょくり倒しておいてなんだその手のひら返しは!!』
「で?なんで貴方のような美少女が魔王なんてやってるの?どっちかと言えば……」
『勇者側だな……というより、元勇者だ!先代の魔王を討伐したあと、この城で魔王をやっている』
なんだその訳わからない展開は?と、ツッコミを入れてしまいそうですが、なかなか面白い展開ですね?全力で乗っかって行きましょう。
魔王曰く『この城は主が不在になると動き出しセカイの生きとし生けるものを殲滅する』とのこと。魔王より魔王城の方が手に負えないらしい。元勇者は魔王討伐をしてしまったが故に、代わりに城主となり、城守をやっている。
あらあら……それは大変ですね。恩を売って同盟でも結んでいただければ安泰ですね。私が女王になった暁にはどんどん勇者パーティーを送り込む人材斡旋業を始めましょう!
――勇者よ、混沌と闇を振り払うべく『魔王』を討伐に行くのだ!
――「あーもしもし!魔王さん。1パーチー派遣したら〜討伐してねー」
これで世界の安定は守られたのであった……!
よし、これで行きましょう。世界情勢の安定が確定しました。
「魔王さん、魔王さん。貴方が存在してくれているお陰で、人間族は共通の敵が存在することで国同士仲良く出来ますので、がんばって!」
「ではサヨウナラ……」
私は、魔王城を後にしました。
『ちょいちょい!ちょい待て!その前に、我らの魔王軍から巻き上げた金貨を置いて行け!』
……がめつい魔王ですね……もうちょっと話を聞いてみることにしますか?