Fireworks
輝く夜空と、道行く人は幸せそうで、仲良く手を繋いで、空を見上げながら。
小さな私には何もない。一人きり。
目を伏せる。にぎやかな、大勢の話し声と、夜空に打ち上がる大輪の花。その音だけ感じる。
誰も気付かないだろう?
今、ここで一人、大声で叫んでも。すべて、掻き消してくれそうだ。
腕を伸ばした。まっすぐ、前へ。
人ごみの向こうに、“あいつ”を見つけた。
――今、この不幸は、ダレノセイ?
私はすべてを失った。お前は通り過ぎる人達と同じ。幸せそうに。
神様、悪いのは誰ですか? 私ですか? そんなことはない。どうして私だけ。
――コンナ目ニ?
夜空を彩る大きな花。一度だけ。
「――今、2回音がしなかった?」
「え、そう?」
手から放たれた。光。