ベスプレーム~日常~ 2
なんでこうモールってやけに広いのかしらね。
人を探すように作られてないわ! …まぁ事実そうなのだけど。
えーと、まずはサービスカウンターね。呼び出してもらわなきゃ。
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「というわけで、ごめんねみんな。晩御飯まだできてないの。」
「おいマジかよ、よりによって今日かよ。」
そういってイシュトヴァーン兄さんがこっちをにらんでくる。
兄さんは今日部活の試合だったんだわ。忘れてた。
でも、しょうがないわよね?
「だってしょうがないじゃない。モールって危ないわよ?」
「うー、ペトラはしょうがねぇけどさ...。そこのお二人さんよ。」
兄さんはいじけてスプーンを弄している。
「何してんのよ行儀の悪い。」
「あ?てか早く謝れよ。」
まぁ、この二人に関しては弁解の余地なしね。
ちゃっちゃと事態を治めてもらわないと
「もー、ほら、二人とも謝んなさいよ。ただでさえ疲れたんだから。」
「ご、ごめん。」
「あー?聞こえませーん」
「こらっ、もう17歳なのにそんな子供っぽいことしてどうすんのよ。謝ってんだから許してやんなさいよ。」
そういってツェツィーリア姉さんがイシュトヴァーン兄さんを小突く。
もう、兄さんもちゃんと成長してほしいわ。
「ちぇっ、なんだよ鬼婆。」
「ちょっと兄さ...」
「誰が鬼婆ですって!?」
...前言撤回。また始まったわ。
ツェツィーリア姉さんもまだまだ子供なのかしら...?
「ペトラ。」
そうしてたら小声でハンス兄さんに呼ばれたわ。
やだ、ハンス兄さんに夕飯任せっきりじゃない。
「ごめん兄さん、私やるわ。」
「いいんだよ、かわいい妹を今日くらい手伝わせてよ。」
あー、だめだわハンス兄さんの笑顔。クラッときちゃう。
兄さん、ちょっとキザなとこが玉に瑕ね。
「じゃあ、やっちゃいましょうか。」
「そうしよう。二人ともあんな感じだしね。」
いま見えたらいけないルビが見えたけど、気のせいかしら...。
ハンス兄さん、ちょっと怖いわね。
ちゃちゃっとやっちゃって父さんと母さんのも作っちゃいましょ。