攻略対象者とヒロインの違い
ホリー・アージェントの登場です
こんにちは、易者です。歳月が立ち、息子と娘も何事もなく、すくすくと成長していきました
【息子】
「父ちゃん、国一番の占い師って本当?」
【易者】
「国一番は言い過ぎだ。誰が言ってたんだ、そんなこと。」
【息子】
「友達の父ちゃんからだよ。父ちゃんは凄い占い師だって!」
【易者】
「お世辞でも嬉しいよ。息子、私は占いは世のため人のために使っているんだ。亡き婆ちゃん、お前にとっては曾祖母ちゃんがいつも私に言ってたんだよ。」
【息子】
「じゃあ、曾祖母ちゃんも凄い人だったんだ!」
【易者】
「あぁ、曾祖母ちゃんは私よりも凄い占い師だぞ、お前も世のため人のために尽くす人間になるんだぞ。」
【息子】
「分かったよ、父ちゃん!」
何だか懐かしいな。かつての私と祖母のやり取りを思い出す。婆ちゃん、これで良かったんだよな
【娘】
「父ちゃん!」
【易者】
「おぉ娘、どうした。」
【娘】
「うん、父ちゃんに用があるって知らないお姉ちゃんがきたよ。馬車もあったよ。」
【易者】
「私に用、お客さん、馬車があるということは貴族かな?息子、娘、父ちゃんは仕事があるから、向こうで遊んでなさい。」
【息子&娘】
「はーい。」
私はお客さんを出迎えた。お客さんはオリエント学園の制服を着ており、貴族のご令嬢だった
【易者】
「お待たせして申し訳ありません。」
【ホリー・アージェント】
「いいえ、私も突然、押し掛けてしまい、申し訳ありません。」
【易者】
「いやいや、貴族のご令嬢を待たせるのは失礼に値します。」
【ホリー・アージェント】
「いいえ、私は貴族の令嬢ではありません。」
【易者】
「はい?」
話を聞くと、ホリー・アージェントさんは平民の出でオリエント学園初の平民入学者として学生生活を送っているらしい
【易者】
「話には聞いていましたが、貴方がオリエント学園初の平民入学者とは驚きました。」
【ホリー・アージェント】
「いいえ、私も未だに不慣れですが、ある御方の御助力のおかげで学園生活を送っています。」
【易者】
「そうですか。それで今日はどのようなご用事で参られたのですかな?」
【ホリー・アージェント】
「はい、実は私とその御方とのことなんです。」
話を聞くと、ホリーさんはその御方のことが大好きで、いつか告白したいとのことだが、けれど今までの関係が崩れてしまうのではないかという不安もあり、私に相談をしてきたのだ
【易者】
「なるほど、恋のお悩みですか。」
【ホリー・アージェント】
「はい、私にとって、その御方は友人以上の存在であり、もし告白に失敗して今までの関係が崩れたらと思うとどうしたらいいか、悩んでしまって。」
【易者】
「なるほど、よく分かりますよ。今まで友達だった人が時が経つにつれて、恋愛感情を抱く、よくあることです。」
【ホリー・アージェント】
「易者様、私はどうしたらよろしいでしょうか。」
【易者】
「分かりました、では占ってみます。」
私はいつも通り、略筮法で調べ、5分後・・・・
【易者】
「答えが出ました。」
【ホリー・アージェント】
「どうでしたか。」
【易者】
「答えは貴方が勇気を振り絞ることです。」
【ホリー・アージェント】
「私が勇気を振り絞る。」
【易者】
「はい、貴方は自分自身に臆病な一面を持っておられるが同時に勇気も持ち合わせておられる。貴方が一歩、前へ踏み出せば、必ずや、その御方と両思いになります。」
【ホリー・アージェント】
「本当ですか!私が勇気を出せば、その御方と両思いになれるんですね!」
【易者】
「えぇ、必ず成功します。でもホリーさん、世の中、必ずしも思い通りにいかないこともあります。時には自分の都合通りにはいかないこともあります。」
【ホリー・アージェント】
「はい!」
【易者】
「貴方には1つ忠告があります。やらない後悔よりもやる後悔した方が良いです。やる後悔はやらない後悔よりも多くのことを学ぶことができます。必ずや貴方自身の良き経験になります。」
【ホリー・アージェント】
「そうですか。分かりました!私、やってみます!」
【易者】
「その意気です!」
ホリーは意気揚々と馬車に乗り、 帰っていった!数日後に、ホリーさんから手紙が届いた。どうやら成功したらしく、その御方とラブラブな学園生活を送っているそうです!私はほっとした束の間・・・・
【女僧侶】
「貴方、王宮から使者が来ました!」
【易者】
「王宮から?」
はて、何だろうと思い、私は王宮からの使者を出迎えた
【易者】
「お待たせして申し訳ありません。」
【使者】
「いいえ。」
【易者】
「それでご用件は何でしょうか?」
【使者】
「うむ、実はさる御方の願いで来たのです。」
【易者】
「さる御方とは?」
【使者】
「お耳を拝借します。」
使者が私の耳元で、さる御方の名を名乗った
【使者】
「カルロス殿下です(小声)」
【易者】
「そうですか。それで御用とは?」
【使者】
「はい、さる御方は、平民の娘に懸想をしており、その娘と結ばれることを切に望んでいます。それで易者殿にどうすればいいか、占ってほしいのです。」
【易者】
「そうですか(いや、無理でしょ。平民の娘ってホリー・アージェントでしょ、ホリーさん自体、カルロス殿下には興味ないよ、残念ですが。)」
私は叶わぬ恋と分かりつつ、一応、占うことにした
【易者】
「占ってみましたが、残念ながら平民の娘とは結ばれませんね。」
【使者】
「いや、それは困ります!私は子供の使いではないのです!もし易者殿の占いをさる御方に報告すれば、問題が発生します!」
【易者】
「はぁ~、分かりました。では、こう報告してください。【今は神妙に振る舞えば、一縷の望みあり】と申し上げてください。」
【使者】
「分かりました。」
使者が帰った後、私はカルロス殿下の行く末を占った
【易者】
「あらま~、さる御方の運勢は大凶だわ。」
さる御方の占いを終えて、数ヶ月後にまた王宮の使者がやってきた
【使者】
「今日は国王陛下がどうしても易者殿に相談したいことがあって参りました。」
【易者】
「それで陛下は何と?」
【使者】
「陛下は殿下の不行状に心を痛めています。殿下はことあるごとに癇癪を起こし、家臣や侍女に暴行を加えることもあり、陛下と王妃様は度々、お諌めしたのですが、一向に改める様子もなくどうすればいいのか、易者殿に相談したいとのことにございます。」
やはりカルロス殿下の行く末は破滅だな
【易者】
「私は以前、陛下に殿下がお生まれの際、万が一を考え、若君を1人か2人を御産みするよう申し上げました。」
【使者】
「それは、つまり殿下を廃嫡せよと言うことでしょうか?」
【易者】
「それを決めるのは陛下ご自身です。」
【使者】
「分かりました。」
そう言い、使者は王宮へと帰った
【易者】
「終わったな、殿下は。」
王宮へ帰った使者は国王陛下に報告した
【使者】
「以上が報告の通りです。」
【国王陛下】
「そうか、易者がカルロスが産まれた際に申したのは、この事を危惧していたのか。やはり易者の腕は本物だったのだな。」
【使者】
「いかがいたしますか?」
【国王陛下】
「やむを得まい。」
【王妃陛下】
「ううう。」
【国王陛下】
「王妃よ、泣くな、これは避けられぬ運命だったのだ。」
国王はカルロス殿下の廃嫡を決定した