表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

易者の過去

乙女ゲーム「白百合のソナタ」が始まる前の易者のお話、残酷描写あり

私の職業は易者をしております。私は生まれつき、強力な霊能力を持ち、易者をやっていた祖母の下で修行をしていました


【祖母】

「いいかい、お前の霊能力は世のため、人のために使うんだよ。霊能力を悪用し、私利私欲を貪り、身を滅ぼした者たちを沢山見てきた。お前はその者たちのようになっちゃ駄目よ。」


【易者】

「分かったよ、婆ちゃん!」


私は世のため人のために尽くし人々から愛される祖母を尊敬しており、祖母同様、易者の道を歩んだ。その後、勇者に誘われ、勇者パーティーを結成し、数々の冒険をしてきましたが、とある諍いがきっかけで勇者パーティーを追放されました


【勇者】

「易者、お前をパーティーから追放する!」


【易者】

「なぜですか、勇者!」


【勇者】

「俺は前々から、お前の占いはインチキなんじゃないかと思っている。これまで無事にやってこれたのは俺たちの力であってお前の占いではない!」


【易者】

「何を言うのですか!私は天がお決めになられたことを予め予知し、最善の方法で回避するのが私の役目!これまで私の占いで皆がこうして誰一人欠けることなくやっていけたのではありませんか!」


【戦士】

「それは偶然だろ!俺たちは危険な目に遭うことなく、今までやっていけたのは俺たちの実力だ!お前の胡散臭い占いではない!」


【易者】

「ですが!」


【女剣士】

「あんたは安全な場所にいて、占いをしていたからそう言えるのよ!あんたみたいな穀潰しはいらないのよ!」


【女僧侶】

「まぁまぁ、皆さん、易者さんは一生懸命に頑張っているのです!易者さんの占いのおかげで誰一人欠けることなくやっていけたじゃないですか!何もそこまで言わなくても!」


【女剣士】

「女僧侶、あんたは人が良いから、そんなことが言えるのよ!こんな詐欺師を庇ってもいいことなんかないわよ!」


【女僧侶】

「でも・・・」


【易者】

「女僧侶さん、もういいです。分かりました。パーティーを抜けます!」


【女僧侶】

「易者さん!」


【勇者】

「分かればいいんだ!女僧侶、行くぞ!」


【女僧侶】

「勇者様、仲間に対して感謝の言葉すらないのですか!」


【勇者】

「穀潰しを仲間と思ったことは一度もない!」


【女僧侶】

「勇者様!」


【勇者】

「女僧侶、そんなに易者を庇うならお前もクビだ!」


【易者】

「待ってください!女僧侶さんは関係ないではありませんか!」


【勇者】

「俺のやり方についていけない奴と役立たずはクビだ!易者、女僧侶、とっとと消え去れ!」


【女僧侶】

「そうですか。勝手になさってください!易者さん、行きましょう!」


【易者】

「女僧侶さん、よろしいんですか!」


【女僧侶】

「仲間を平気で切り捨てる御方についていくつもりはありません!」


【勇者】

「こっちも穀潰しが二人いなくなって、助かったわ!精々、無様に生きることだな!」


勇者たちは易者と女僧侶をゴミを見るような目で見た後、その場を去ろうとした


【易者】

「勇者、今夜は嵐になります!だから船には乗らないようにしてください!」


勇者たちは易者の忠告を無視し、姿を消した


【女僧侶】

「易者さん、なぜ忠告をしたのですか。勇者たちは貴方の占いなんか信じていませんよ。」


【易者】

「分かってます。最後に言ったのは置き土産です。」


易者と女僧侶はこれから、どうするか考えていた


【易者】

「さて、これからどうするか。」


【女僧侶】

「易者さん、私の故郷に一緒に行きませんか?」


【易者】

「よろしいんですか?」


【女僧侶】

「えぇ、私も1人旅で寂しいですから、易者がご迷惑でなければ良いのですが?」


【易者】

「いいえ、お言葉に甘えさせていただきます。」


【女僧侶】

「ありがとうございます。1人では心細かったので助かります。それに私は易者さんを信じてます。あの三人が貴方の占いをインチキと言いますが、私は信じます!だから自信を持ってください!」


【易者】

「ありがとうございます、女僧侶さん。」


易者は女僧侶の故郷へと一緒に旅立っていった。その頃、勇者たちは易者の忠告を無視し、船に乗っていた


【勇者】

「ふん、何が今夜は嵐になるだ。この通り、雲1つもない快晴じゃねえか!」


【戦士】

「易者の最後の悪あがきだったんだろうな。それにしても女僧侶もバカだぜ。あんな詐欺師と一緒になって抜けるなんて!」


【女剣士】

「あの娘は人が良いから、どうせ野垂れ死ぬでしょうけど、自業自得よ。」


勇者たちは船の中でかつての仲間の悪口を言い合って盛り上がっていたが、船が進むにつれ、雲行きが怪しくなってきた


【戦士】

「おい、勇者、何かヤバくないか?」


【勇者】

「ぐ、偶然だろ。俺は易者の占いなんか信じてないからな。」


【女剣士】

「そ、そうよ、ぐ、偶然よ。」


三人は不安をかき消そうと、強気に振る舞ったが、天候が悪化し今夜になって嵐になった。嵐は船を揺らし、船の中の阿鼻叫喚だらけだった


【戦士】

「本当に嵐になりやがった。易者の言ったことは本当だったんだ!」


【女剣士】

「このままじゃ、船はいつ沈没してもおかしくないわ!勇者、どうするのよ!」


【勇者】

「どうするって何が?」


【女剣士】

「この状況をどう打開するかよ!」


【勇者】

「俺に聞くな!易者にでも聞けよ!」


【女剣士】

「易者はいないわよ!あんたがいらないって、パーティーから追放したじゃない!」


【勇者】

「俺が追放した!お前らだって後押ししたじゃねえか!お前らも同罪だ!」


【女剣士】

「何よ!今になって開き直る気!何とかしなさいよ!」


【勇者】

「うるせぇ!お前らが何とかしろよ!この役立たずが!」


【戦士】

「何だと!仲間に向かって役立たずとは何だ!」


【勇者】

「はぁ、よく言うよ!戦士と女剣士、お前ら俺たちに内緒で付き合っているじゃねえか!俺は女僧侶に振り向いてもらえるよう、頑張ったのに易者ばかり構いやがって!」


【戦士】

「そんなことはどうでもいいだろ!」


【勇者】

「良くない!俺はモテたくて勇者になったのに、ずっと独り身、世の中なんて不公平なんだ!」


【女剣士】

「勇者、ここで愚痴を言ってる場合じゃ・・・」


女剣士が言いかけた途端、大波が船の中に入ってきた!


【女剣士】

「きゃあああああ!」


【戦士】

「女剣士、大丈夫だ、今、助ける!」


【女剣士】

「戦士、助けて!まだ死にたくない!」


【戦士】

「おい、勇者、手を貸せ!」


戦士は勇者に助けを求めたが・・・・


【勇者】

「ふん、二人仲良く、溺れ死ねばいい!」


【戦士】

「勇者、貴様!」


勇者は戦士と女剣士を攻撃し、二人は波に拐われた


【勇者】

「ふはははははははは!リア充はこの世からいなくなればいいんだ!ハハハハハハハ!」


勇者は高笑いをした後に、波に拐われた。そして船は沈没した


【勇者】

「くっ、こんなところで死んでたまるか!」


勇者は板にしがみつき、溺れないように気を付けたが・・・・


【戦士&女剣士】

「ギャアアアアア!」


戦士と女剣士の悲鳴が聞こえ、振り向くと二人は人食い鮫に襲われ、生きたまま食われた


【勇者】

「ひぃぃぃぃぃぃ!」


勇者は板から手を離し、泳いで逃げたが、二人を食べた人食い鮫が近づいてきた


【勇者】

「こんなところで死んでたまるか!俺は生きてモテモテの人生を送る・・・・」


勇者の真下から人食い鮫が襲い、追いかけてきた人食い鮫に上半身と下半身を引きちぎられ、そのまま食べられた。勇者パーティーは嵐の夜に巻き込まれ、最後は人食い鮫に襲われ、全滅した

女僧侶の故郷へ向かう途中の町で休んでいた易者と女僧侶は風の噂で船の沈没を知った


【易者】

「やはり沈んだか。」


【女僧侶】

「あの、勇者たちは大丈夫でしょうか?」


【易者】

「おそらく助からないな。勇者は私の占いを信じていなかったからな。今頃、海の藻屑だろうな。」


【女僧侶】

「そうですか。」


易者と女僧侶は、かつての仲間たちの冥福を祈り、女僧侶の故郷へと向かった





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ