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反映ーreflectionー  作者: たかさば


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賽銭

500円玉入れるタイプです(*´-`)

厳かな雰囲気と神聖な空気の漂う神社にやってきた。

この所、なんだか僕ははっきりしない。

何かこう、打開するものが欲しいが、具体的にどう動いたらいいのやら。

ついでに言うと、資金もない。


そんなときは、神頼みってね。


鳥居をくぐる時に軽く一礼をしてと。

手水舎で手と口を清めてと。

参道の端っこを通って社の前まで進みましてと。


さあて、参拝しますか。


お賽銭を投げ入れて、鈴を鳴らして、二礼二拍手一礼だったな…。


賽銭か。

いくら入れようか。


1円?

いやいやさすがにそれはないだろ。


5円?

よく神様とご縁がありますようにっていうよね。

でもさあ、ダジャレってどうなの…。


10円?

なんか銅貨ってこう、神様向きじゃないっていうか、安っぽくない?


50円?

なんか中途半端だよなあ。


100円?

これが妥当か…あ、ヤバイ、財布の中に一枚もないぞ。


500円?

さすがにちょっと出し過ぎだろう。


財布を片手に、うんうん考える僕の横から声が聞こえてきた。


「なんや!!神さんに願い叶えて貰おうとしとる奴がケチ臭いことしとんのう!!」

「社長!!僕がポンと一万円札入れれるぐらい給料下さいよ!!」


なんだ、景気のいい人たちだな。


「あほかい!自分で稼いだ金を神さんに差し出して更なる金を呼びこまんかい!!貰うことばっか考えて差し出そうともせんとは…そんなケチなやつにどこの神さんが金くれてやろうと思うんや!!!」


ぎく!!

そうだな、もらう事しか考えてない僕に、神様は厳しいかもしれない。


しかし今月最後の一万円札をさしだしたら、僕の命を差し出すことになりかねないんだよね…。

妥協も必要だな、よし、千円入れるか。


賽銭箱に千円札を入れようとしたら、僕の後ろから声が聞こえてきた。


「お賽銭ってね、派手な音をたてて賽銭箱に入れた方がいいんだって!神さまに今からお願いするよっていうサインになってるらしいよ!」

「え、じゃあ、硬貨入れた方がいいよね。紙のお札じゃ音しないもんねえ…。」


なに!!

僕は財布から引き抜いた千円札を引っ込めた。


「じゃああたし十円玉十枚入れよう。」


後ろの女子二人組は、派手な音をたてて賽銭箱にお金を入れている。

これは絶対に神様も気が付くに違いない。


よし、僕も小銭をたくさん入れよう。

財布の中は…小銭だらけだ。

僕支払いの時に細かいの出さないタイプだからさ、地味に小銭がたまりやすくって。

一円玉、五円玉、十円玉はわんさか入ってて、五十円玉が一枚に、百円は一枚もなくて…五百円玉が一枚。


よし、五百円玉以外、全部入れよう。


財布も重くなってたしちょうどいいや。

僕は五百円玉をポケットに移動させて、財布の中の小銭を全部手のひらの上に出した。

ワッシャーやビスなんかも入ってる、結構ゴミが入ってるな。


ま、いっか、まとめて入れちゃえ。

多少のごみなんか気づかないでしょ、神様だってそこまでチェックはしていまい。


…そもそも金額とかもさ、チェックなんかするか?


毎日何人賽銭投げ込んでるんだかわかんないくらいじゃん。

チェックなんかしないんじゃないの?

待てよ、だとしたらさ、音だけ立てればいいんじゃないの?

次からは硬貨大の金属サークルプレートとかでもいいんじゃね?


そもそも神様に賽銭ってさ、あんま意味なくね?

お金ってのはさ、人間が使うものであって、神様は使わないものじゃん。


そこまで考えて、僕は手のひらの家の小銭を財布に戻そうとして…。


ま、僕はそこまでケチじゃないからさ!!

小銭くらいは全部神様に差し上げますけどね!!

あはは、僕って豪快!裕福!!

だから僕のお願い全部叶えてー!

つか、叶えてくれよ!!

今から全力で願うからさあ!!!


じゃらじゃら、かとん、かとん!!


鈴を鳴らして、二礼二拍手。


僕に現状打破するための案をください。

僕に裕福に暮らせる資金をください。

僕に全肯定してくれるやさしい彼女をください。


一礼。


よし、これで僕のパッとしない生活もなんとかなるはず!

何とかしてくれよ!神さま!!

俺の全小銭投入したんだからさあ!!


拝礼を済ませた僕の耳に、前から声が聞こえてきた。


――あー、君ね、考えてることは全部筒抜けだからね、もうちょっと、気遣いをね。




僕の願いは叶いそうもない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 96/96 ・なんという神頼み、やっぱり大事なのは中身ですね。 [一言] 1円か5円入れるタイプです。それか入れない。 ケチる時はケチる!
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