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ときめき

暴走しがちなのは昔からだった模様です。

押入れの奥深くから、宝物箱が、出てきた。

子供のころの、思い出のつまっている箱。


ええと、いつだったっけな、最後に確認したのは。


ヤバイ、全然覚えていない。

どうしよう、蟷螂の卵とか入ってたら。

…虫好きがやりがちな失敗ナンバーワンだ。


初めての引越しのときに、学習机ごと持ってって、引き出しの際奥にあったのを、そのまま押入れに突っ込んで…。


おそらく高校あたりまでの黒歴史がみっちりつまっているに違いない。


意を決して、開ける、開けるぞ…。


ごくり。


中には…ああ、宝石すくいで取ったアクリル宝石が三つと、手作りのフェルトマスコット…。

新聞に投稿が載ったときの記事と、大学の合格者一覧、学年三位の成績の通知表!!

牛乳のふたに、消しゴム人形…お弁当フィギュアも入ってるな。

おや、なんか封筒が入ってるぞ…。


んー?写真?中学校の校庭の端のほうに、小さく写ってる、男子が一人。

誰だこの子。

何で自分じゃない写真が?


自分の知らない、男子が写ってる写真。

…知らない?


ちょっと待て。


なんか知ってる、気がする…。


この子は…。


思い出した!!!


神の声を持つ、小池君だ!!!


中学校の同級生で、めっちゃ可愛いといわれてた男子。

声変わりが遅くて、みんなに神扱いされててー!!!


女子っぽいのが人気で、でも小さいからモテなくて!!

私はそんな彼の大ファンで、こっそり写真を撮ってもらってって!!!


中学生時代の恐ろしいまでのフィルター補正に恐れ戦くわっ!!!


あれほど米粒大の小池君の写真にときめいていた自分が信じられない。

写真の裏側には、キラッキラした小池君のキャラ絵が――――!!!


クソ田舎のマンモス校で唯一可愛かった少年にときめきまくっていた私の闇をまざまざと!!

そういえば私、よくわかんないファンクラブ会誌と称して漫画とか書いてた気がする!!


あかん!!

これあかんやつや!!!


黒歴史?!そんな生ぬるいもんじゃないぞこれは!!!

漫画が残ってないのが幸いだよ!!

…どっかから出てきやしないだろうね?!


宝物箱の中をがっさがっさとあさって確認…よし、大丈夫!!!


うん、小物はこのまま押入れにしまっておくことにしてと。

写真は処分処分!!


破ったりしたら気の毒なので、廃品回収用の雑誌の中に挟んでおいた。

アイドル雑誌に挟まれて処分されるなんて、なんか素敵じゃない?


いやあ…恐ろしい時間だった、ほんとに。


今となっては、当時のときめきが信じられないわけなんですけれども。


小池君は高校入学してからめきめきおっさん化したんだよね。

声も低くなったし、大きくなったし、全身ワイルドさを増して熊っぽくなっちゃって。

あまりの変わり様に、神時代がフルパワーで美化されたにちがいない。


写真に写ってる小池君は、そこら辺にいそうな、ただの小さい男の子だった。

恋に憧れる、恋を知らぬ女子のフィルター、恐るべし…。


妄想を膨らませておかしな話を書きがちな、私のルーツのようなものを感じた。


現実を見ないで妄想に浸る癖は、子供時代から発揮されていたということですね。



…ならば今後も発揮し続けようではありませんか!!!



私はますます張り切って、おかしな物語を書く意欲がわきました、というお話。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 94/94 ・声変わりが遅かった奴です。中学生まで可愛い言われてました。 [気になる点] こわいですねー。自分の黒歴史は全部処分したはず。はず… [一言] これからもよろしくお願いします…
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