表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/135

牢屋

ベビーサークル思い出す((((;゜Д゜)))

冷たい、石の床のうえで。


俺は重たい枷をはめられて。

呪文の書かれた札を体中に貼り付けられて。


時折天井から伝い落ちる、きたねえ水分を舐めながら。

何とか、今まで、生きながらえていたのだが。


「処刑の時間だ、連れて行け。」


どうやら、俺は、この地獄から解放されるらしい。

この命を終わらせる、事で。


おかしなもんだ。


俺はこの世界で。


ただ、普通に生きていきたかっただけなのに。

ただ、誰かと共にいたかっただけなのに。


この世界に来て、俺は。


並外れた力を持ち、それを使い。

並外れた力を使い、人々を救い。


救い?


ちがう。

人々を、選別したんだ。


使えるやつを残して、使えないやつを殲滅し続ける。


使えるやつらはやがて、俺を使えないやつだと考え始めた。


頭の悪い、使えない奴らだったら。

こんなことは考えなかっただろう。

――みんな仲良く暮らせればいいじゃない。

頭の悪いやつが言った言葉が、思い出される。


俺が頭の悪いやつらの頂点に立っていたら。

俺が使えると信じたやつらを殲滅していたら。


俺の力を恐れない、頭の悪いやつらを思い出す。

膨大な力に、かなうはずのない装備で乗り込んできたあいつら。

…本当に、頭が悪いと思う。


俺の力を恐れた、頭のいい奴らを思い出す。

膨大な力を、策を練って封印しやがった。

…本当に、頭がいいと思う。


俺は頭が悪かった。


牢屋の中で、俺はいろいろと考えた。

頭の悪い俺は、考えた。


ひとの恨みなんてのはさ。

こんなちんけな札なんかでどうにかなるもんじゃ、ないんだよ。


ひとの恨みなんてのはさ。

首落としたくらいじゃ消えないんだよ。


俺の恨みを思い知ればいい。

俺の力を思い知るがいい。


札のせいで外に出せなくなった膨大な力を、体内で構築することにした。

俺の体の中は、この世を滅ぼす力が溜め込まれている。


…さあ、時間だ。


「さあ、時間だ。」


ざんっ―――――――






「あなた、星を丸ごと、消滅させましたね。」


俺の目の前には、神がいる。

ああ、俺の恨みは、世界を滅亡させることができたのか。

…ざまあみろ!


「いくらなんでも、横暴です。」


がちゃん。


「この牢屋でしばらく反省しなさいね。」


俺は肉体を失ってしまったというのに。

俺は膨大な力を失ってしまったというのに。


俺は、ただのちっぽけな存在になり果てて、牢屋の隅で膝を抱えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 92/93 ・がちゃんw [気になる点] なんでしょう、この、最後のオチ、笑えました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ