掌
手相はずいぶんヒドイけど気にしてないヾ(@゜▽゜@)ノ
このてのひらに、つかむもの。
この手の平に、掴みたいもの。
この掌で、攫んでやる。
栄光。
富。
名誉。
地位。
何も無い空をつかむ。
ぐっと握って、目の前で開く。
ああ、今俺は。
見えぬ栄光を手につかんだ。
見えぬ富を手につかんだ。
見えぬ名誉を手につかんだ。
見えぬ地位を手につかんだ。
…あとはこの見えぬものを、目に見えるものに変えてゆくだけで。
「なに手握ったり広げたりしてんの?」
「!!!・・・ああ…握力強化だよ。」
せっかく興に乗っていた俺の気分が台無しだ!
くっそう!!
いいところでいつも邪魔が入るんだよ!!
おかげで俺のテンションダダ下がりだよ!!!
ああー!!
俺の栄光!
俺の富!
俺の名誉!
俺の地位!
いつになったら実感できるんだ!
いつになったら味わえるんだ!
いつになったら自慢できるんだ!
いつになったら俺の人生胸を張って生きることができるんだ!!!
俺は空をつかむのをやめ、じっと掌を見つめた。
「生命線長いな…。」
俺の人生はずいぶん長そうだ。
まあ、そんなに急ぐこともあるまい。
俺は、あああとあくびをして、午前中から昼寝をすることにした。




