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反映ーreflectionー  作者: たかさば


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79/135

雲間

空ばかりみてると、ねぇ。

あ。

あいつなにやってんだ。


梅雨真っただ中、貴重な晴天が広がる本日。

青い空には所々に積雲が浮かんでいる。


風は少々強めに吹いている。

流れる、積雲。


そうだよね、梅雨だもんね、変わりやすい天気だもんね、予測が付きにくいもんね。


雲間に見える、白い尻尾。


あれは龍だな。


昨日まで分厚い積乱雲が広がってて安心しちゃったのかね。

おそらく雲が流れる前に帰る予定だったのに、はしゃぎすぎて狂ってしまったに違いない。

…これだから若いやつは油断がならないというか、爪が甘いというかっ!


身を隠す雲がなくて少々焦っている様子。

焦るんじゃない、まずは雲を呼びたまえ。


小さすぎるわた雲は、見る見るうちにまあまあの大きさに膨らんだ。

よしよし、尻尾は隠れたから安心せい。


青空にぽっかり浮かんだ、不自然なわた雲。


周りの流れていく雲に紛れ込んで、空の端に消えた。


今頃晴れることのない分厚い雲の中で、年長者の龍にド叱られていることでしょう。


「なんで雲の出てるうちに帰ってこないんだ!!」


…空の覇者も意外とうっかりものだからなあ。


明後日からまた雨模様らしいからね。

雲の上は、さぞにぎやかしい事になる事でしょう。


梅雨を憂う人間の上空で、梅雨を楽しむ、龍がいる。


梅雨空の上は、大騒ぎ。


大丈夫、多少騒いでも豪雨と嵐がその音をかき消してくれるから。


心配なのは、お調子者のルーズなやつ。

遊び惚けて身を隠す雲がなくなっちゃって身動き取れなくなって、立ち往生。

青空にぽつりと浮かぶ雲は、そういう龍の、最後のあがき。


仲間が助けに来るまで、ぽっかり空に浮かび続ける。


たまーに、飛行機雲に紛れ込んだりも、してるけど。


なかなか空のかくれんぼうも、大変らしい。


ああ、いつのまにか、風がすべての雲を運んで行ってしまった。

もう、隠れる場所はどこにもない。


真っ青に広がる雲一つない空を見ながら、私は洗濯物を干し始めた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 79/79 ・雲に龍がいるのですか。楽しい世界。 ・飛行機ぐもナイス〜 [一言] ちょっと思い出しました。 絵本の雲といえば、モコモコしてる小太り雲さん。丸いお顔と太い両手が特徴の雲…
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