地球儀
でっかい地球儀そっと抱き締めると、なんだか女神になった気がするのですが私だけですかそうですか(。>д<)
くるり、くるり。
机の上の、地球儀を回す。
ずいぶん古い、地球儀。
私のお父さんが買ったものなんだって。
今とは違う国がここにはあるんだって。
地球の形は変わらないのに、国は変わるものなんだね。
お父さんが言うには、昔は島の形も違ってたんだって。
大陸は昔つながってたんだって。
昔あった大陸がなくなっちゃったこともあったんだって。
不思議だよね。
そんな昔のこと、どうしてわかるんだろう。
仕切られた国の名が変わったら表記が変わるのはわかるよ?
国の名前が変わった事実は地球儀で確認できるもの。
けれど。
仕切られた大陸の形は一切変わっていないじゃない?
大陸の形が変わった事実を確認するすべがないわ。
「わからないからこそ、人は研究を重ねるんだよ。」
研究して、事実が確認できる?
「様々な事象から、予測を立てるんだね。」
予測は正しいものなのかしら。
「知らないからこそ、創造力が豊かになるんだよ。」
そこに事実はあるというのかしら。
「事実を知りたいかい。」
事実は、果たして、意味があるのかしら。
「私たちは地球人の信じている事実を受け入れてここにいるのだよ。」
事実は、事実である必要が無いんだね。
「ここの事実が、事実でいい。」
私は地球儀を、くるくる回して。
「地球儀が存在しているくらいだからね。」
想像の賜物、かあ。
「…お父さんが帰って来たね。」
本当だ、じゃあ、またいつか。
「また、いつか。」
―――ぶいん
秒で消えた、私の仲良し。
私は回していた地球儀を止めて、玄関に向かった。
「お父さん!お土産買ってきてくれた?!」
「ふっふっふ、黄金ジェットのペンダントだあああ!!!」
ああ、魚のやつか。
「わーい!!ありがとう!!」
私は大喜びで、ペンダントを首にかけて、キイワードをそっと唱えてみたものの。
現代版のレプリカでは、なにも起こらず、ただ私の首元できらきら光っているだけだった。




