友人
これからの可能性に期待しております(*´ー`*)
中学生の時、転校生が来た。
田舎の学校にやってきた、都会の子。
センスが良く、おしゃれで、みんなの人気をかっさらった。
みんなが友達になりたいと願っていた。
私は、おしゃれな転校生と普通に会話を楽しんでいたつもりだった。
もちろん、おしゃれだという事に憧れはあったけれど、人としてのやさしさや、考え方のセンスが似ているなと勝手に思っていたのだった。
転校生は、人気者だった。
中学生というのは、非常に多感で、独占欲が強いものだ。
私が転校生と話をしていると、焼きもちを焼く人が、何人か出てきた。
「あなたは転校生にふさわしくない」
「あなたが転校生といるとレベルが下がってしまう。」
「あなたは転校生から離れるべき。」
だんだんエスカレートしていく物言いに、私は折れた。
転校生から、離れてみる。
すると、私は転校生から友達と思われていなかったという事実が判明してきた。
私が困っていても、助けてくれない。
私が失敗しても、フォローしてくれない。
私のことを、庇う発言がない。
私は何をしてきたんだろうか。
宿題を忘れて困っていた時見せるとか。
傘を忘れて困っている時に置き傘を渡すとか。
ペアを作りなさいと言われて真っ先にお願いに行ったりだとか。
そういえば、家に呼んでもらったことがない。
そういえば、おはようの声をかけるのはいつだって私から。
そういえば、私だけが帰る時間を待っていた。
転校生から、離れてみる。
別の友人が強気の発言をする。
「友達じゃないじゃん。」
なんだ、友達じゃなかったのか。
私から話しかけなくなったら、転校生は私と話すことがなくなった。
しばらくたつと、別の友達から声をかけられた。
「イジメしてるんだってね。最低。」
声をかけなくなった私は、いじめ首謀者に認定されていた。
「してないよ。」
していないと思っていた私はそう言ったけれど。
転校生を囲む人たちからは、総スカンを食らってしまった。
私はひどいやつなんだそうだ。
なんだかとってもめんどくさいな。
謝り倒して許してもらったら、友達にしてもらえたかもしれないけれど、そこまでしなくてもいいんじゃないの。
そんなことを思いながら、一人でいる楽さにどっぷりつかる。
一人は楽だ、本当に、楽。
友人のいない生き方にどっぷりつかっている私。
めんどくさがりにも、ほどがある?
いやいや、いやいや。
友人がいる方がめんどくさいでしょう。
今日もほら、老人会の集まりで、いざこざが発生してる。
役員の私は、老人をなだめつつ、めんどくさいなあって思ってたりして。
長年の友だからこそ言える言葉が、お前は昔からこうなんだ?
なるほどなるほど。
友人って、メンドクサイ。
本当に、メンドクサイ。




