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反映ーreflectionー  作者: たかさば


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59/135

場所

夢の中の自分はたいてい若いのですけれどもヘ(≧▽≦ヘ)♪


※こちらの作品は、ノベリズムさんにて連載中の「誰かのため息は、ずいぶん蒼くて…重いらしい。」でも公開しています。

ああ、この場所は。


時折、夢の中で、立ち寄る場所がある。


夢だとわかっている夢の中で、私は一人、佇む。


野点の席。


お茶を待ちつつ、練り切りを一口、二口。


赤い傘の下で、柔らかな日差しをぬくぬくと浴び。


赤い布張りの台座に腰を下ろし。


誰が点てたのかわからない抹茶を頂く。


美味しい?馨しい?


味覚がないのに、確かに私はお茶を楽しむ。


嗅覚がないのに、確かに私はお茶を楽しむ。


遠くに、山が見える。


あの山は、昔から変わらない。


近くに、池が見える。


この池も、昔から変わらない。


私も、変わらない。


この夢を見るようになってから、変わらない私がここにいる。


思えば、私がわたしであることを決めた時。


あの時から、私はわたしになったのだ。


確乎たる自分を持ったあの日から。


私はわたしであることを忘れぬようにと。


この場所は、それを確認するための場所。


変わらぬ私の姿は、変わらぬ私の信念の表れ。


老いてなお、持ち続けるのは、己の信念。


この場所に来ることができるうちは。


私はわたしでいることができる。


まだ、私はわたしでいることができている。


私がこの場所に来なくなった時。


それは。


私がわたしであることを忘れてしまう時。



あと、何度私はこの場所を訪れるのか。


最後の訪れだという事に、気付かず。


この場所への道は閉ざされるのだろう。



私はお茶を飲み干して、立ち上がると。


目を、覚ました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 59/59 ・これがジャパニーズわびさび。 ・いつもと違った雰囲気。楽しみました [気になる点] 漢字がおしゃれ。 [一言] あー、自分も老いていくのか。
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