双子の神様(千夜と太陽の双子)
実は双子だったりしません。
とある神話に出てくる、双子の神の物語を見た。
神様にも、双子っているんだなあ。
そもそも、神様って何なんだ。
生まれてくるものなのか?
一つの魂を分け合ったとか?うーん。
双子って言っても色々あるからねえ。
実は私も、双子なんだけど、まあ似てない。
顔も似てないし、性別も違う。
魂を分け合った?うそでしょ。
完全アウトドア派の私に、絶賛引きこもり中の弟。
太陽に愛される私はばっちり晴れ女なのに、いつも雨に降られる弟。
外に出る度雨が降るので、いつしか眩しく輝く太陽が苦手になり、夜を愛するようになったという。
なぜか夜は雨が止むらしい。
「月の出る晩は、雨も俺に遠慮するのさ…。」
…どこの中二病拗らせ大人だよ!!
双子の神も、相性が合わないと嘆いていた。
まったくもってその通り、である。
「ねーちゃん!ちょっと助けろ!!」
…こいつがねーちゃん呼びすると、ろくなことがない。
夏休みの宿題パクらせろとか粘土くれとか消しゴム折ったとか…うん、私めっちゃこいつのせいで嫌な人生歩んできたわ!!
「やだよ!!勝手に野垂れ死ね!!」
ウォーキングから帰ってきた私は今からシャワーを浴びなきゃいけないんでね!!
「…実はさ、俺、神なんだよ。神の仕事が、きつくって…くッ。」
「バカじゃねーの。」
リビング横を通り抜け、バスルームに向かおうとすると。
「パルテノン宮殿と私の蜜月。」
!!!
「神々の愉快な遊びに呼び出されたのでちょっとチートぶっ放してきます。」
!!!!!!
「ドラゴン♡らばー☆」
!!!!!!!!!!!
「ちょっ…!!!」
こういうとこ!!
こういうところが双子っていやなんだよ!!
ひとの黒歴史を真正面からぶち込んでっ…うおおおお!!!
「ねーちゃん中学校の時めっちゃ小説書いてたじゃん!!あのネタくれよ!!」
「なななななな!!!」
「ゲームのシナリオ。ヤベーんだよ!!裏世界の方に力入れたら創造力尽きた!!あほみたいな明るい世界の話、くれ!!」
「はあ?!」
なんかおかしな話になってきたぞ、なんだこの流れは。
「だいじょうぶだいじょうぶ!!俺手直しするし!!書いたやつどこに残ってんの!!早く出して!!
つかマジで詰む!!時間ねえんだって!!早く!!!」
血走った眼をした弟の気迫に負け、私は机の奥底に眠る中二病まっしぐらの小汚いノートを手渡した。
ああ、中学の時、みんなで回し読み、したなあ…。
恥知らず、だったなあ…。
楽しかったなあ…。
なんでも、家にこもりっぱなしで延々パソコンのキーボードをたたいていた弟は、アプリゲームのシナリオを書いているらしい。
…全然知らんかったわ!!!
「…姉ちゃん!これマジでいいよ!!いけるわ!!…よし、ねーちゃんデビューしよう!双子の…神だ!俺ら「月と太陽」の世界の神になるんだよ!!俺らで世界作って、ユーザー虜にしようぜ!!」
物語を書く=物語の世界を生み出した神、という事らしい。
10年越しで、私の物語が世界に飛び出して行くとか。
なんだかなあ…壮大だけど、なんかもう、うーん。
ノーブレーキで突っ走ってた、中二の物語を、25歳の私が今さら…?
楽しそうに戯れてた、あの物語の双子も、こんなふうに、げっそりとかするのかねえ…。




