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どうでもいい

わりかし仕事好きなんですよ。

なんだかとっても、どうでもいい。

いろいろ考え始めたら、どうでもよくなった。

結局面倒なことは、手放した方が楽なんだ。


どうでもよくなったらずいぶん楽になって、やりたいことを探し始めた。

私はいったい、何がしたかったんだろうか。


ぼんやり空を眺めて、やりたいことを探す。


空はとっても、青いなあ…。


雲はとっても、白いなあ…。


私は、何を考えて、生きてきたかなあ…。


なんだなんだで、一人が一番、楽だなあ…。


誰かといると、めんどくさいなあ…。


誰かといないと、つまらないんだよなあ…。


誰もいないと、独り言なんだよなあ…。


一人だけだと、結局一方通行なんだよなあ…。


二人いても、一方通行なんだよなあ…。


なんだかなあ…。


どうしようかなあ…。


どうでもいいかあ…。


どうでもいいなら、別に、いいかあ…。


よし。


まずは再就職だ。

福利厚生のしっかりした会社。

大企業じゃなくてもいい。

ホウレンソウができる会社。

私のやる気をそがない会社。


さっそくハローワークに出かける。


たまたま来ていた中小企業の社長さんと意気投合する。


「やりたいことをやらせていただけるなら、きっちりやらせていただきます!」

「よし気に入った!今すぐ入社だ!!」


あっという間に身の振り方が決まる。


毎日仕事に没頭する日々。

私仕事って大好きなんだよね。

ぼーっとしてると、本当にくさくさする。

暇な仕事って、ホントいらいらする。

無駄な時間を過ごすのが腹立たしくて仕方がない。


次から次へと舞い込む仕事が、私のやる気を最大限に引き出す。


たまにはミスもするけれど、それはまた反骨精神を呼び覚ます。

自分の信じたやり方で、自分の仕事をこなしていく。

考え方の相違で同僚とぶつかることすら、快感だ。

自分に新しい考え方を与えてくれる、新しい風が吹く。

自分一人の考えで凝り固まるなんて、もったいないじゃないか。


仕事は、本当にやりがいがあって、私には欠かせないもの!!


・・・。


そう思って早10年。

まさかの、重役になってしまった。

バリバリこなしていた仕事が、急に味気ないものに変わる。


誰かの成果をほめる日々。

誰かの愚痴を聞く日々。

誰かに仕事を差し出す日々。


ああ。


なんだかとっても、どうでもよくなってきている。


思えば10年前も、そうだった。


新しいことを覚えて、新しい自分になる日々が続いて。

やる気に満ち溢れて、輝いていた日々。


役職を持ち。


やりたいことをやり続ける時間が減り。


風がやんだ時に、どうでもよくなって。


なんだかとっても、どうでもいい。

いろいろ考え始めたら、どうでもよくなった。

結局面倒なことは、手放した方が楽なんだ。


どうでもよくなったらずいぶん楽になって、やりたいことを探し始めた。

私はいったい、何がしたかったんだろうか。


そうだ、私はただ、仕事がしたかったんだ。


私はどうも、繰り返してしまうタイプの人間のようだ。

会社の屋上で、ぼんやりと空を見つめて、そんなことを思った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 39/40 ・わかる! [気になる点] 想像力のオニすぎる [一言] ゲームをクリアして最強になったら萎える奴。結局データ消して繰り返す。
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