表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/135

治癒

癒してくれるのは、いつだって抱き締めてくれる、誰か。


※こちらの作品は、ノベリズムさんにて連載中の「誰かのため息は、ずいぶん蒼くて…重いらしい。」でも公開しています。

「さあて、今日はどの子をお手当てしようかな。」


ずいぶん傷だらけになったぬいぐるみを、僕は手に取った。


汚れて、縫い目がたくさんある。


当て布も、色がちぐはぐで、少し派手な感じになっている。


修復しても、あちらこちらから中綿がこぼれて、もはや初めのぬいぐるみの形を、見出せない。


ずいぶんかわいがられてきたぬいぐるみのようだけど、ここまでボロボロになってはねえ…。


「仕方がない、新しい皮をかぶせるか。」


同じ生地、同じ模様、同じ形の新しい皮をきっちりかぶせる。


新品同様のぬいぐるみになった。


ぬいぐるみは、持ち主の女の子のもとへと、元気にかけてゆく。


女の子が、そっとぬいぐるみを抱きしめると。


僕の作った、新しい皮が、ぺろり、ぺろりと剥がれていって。


また元の、みすぼらしいボロボロの物体が現れた。


女の子は、ぼろぼろの物体を愛おしそうに抱きしめると、僕の施した治療の残骸を踏んで、どこかへと、消えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 32/34 ・しゃーない。これは踏まれてしゃーない。 [一言] 古い部品を全部交換した船は元の船と言えるのか、なんて話を思い出しました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ