地縛霊
そこに、いるのは、だーれだ。
こちらの作品は、カクヨムさんにて連載中の「オカルトレベル(低)の物語をどうぞ。」にも掲載しています。
「こんにちは。」
「…。」
「あなた、ここで何してるの。」
「人を、待っている。」
「待ってても、来ないわよ。」
「待って、いる。」
「もうやめたら。」
「俺は、待つ。」
「待ってどうするの。」
「ただ、待つ。」
「あなた、邪魔なのよねえ。」
「邪魔…?」
「あのね。ここは、生きてる人の、通る道なのよね、」
「俺は。」
「あんたは自分が、生きている人ではないと、気付いているの?」
「俺は、ここで。」
「消えてくれないかな?マジで。」
「あいつを、待つと。」
「来ないんだって、だから消えなよ。」
「俺は待つ。」
「あんたがいると、私が困るのよ!!」
「俺は、ここを退く気はない。」
「…あんたの存在は、意味がないのよ。」
「なぜ。」
「あんたが、ただの、残留思念だから。」
「残留思念…?」
「そう。あんたはここで、待ち合わせをした。」
「…した。」
「そして相手が、来なかった。」
「…来なかった。」
「その時の辛い、悲しい気持ちをここに残して、本人は、前を向いて歩いて行った。」
「…。」
「あんたを生み出した人は、もう幸せに暮らしているのよ。」
「幸せに…?」
「あんたは、地縛霊ですらない。」
「そう、か。」
ぶわっと、風が吹いて、残留思念は消えた。
「あいつ邪魔だったんだよねぇ…」
私は、足元にずらりと並ぶ、花束とお菓子を見ながらつぶやいた。
「あいつがいるから、心霊スポットとか言われるようになっちゃってさあ…。」
花を手向ける人ごみの中に、待ち合わせ相手を、探したみたいだけど。
「ホント、迷惑な話だわ。」
噂のせいで、人が近づかなくなって、困ってたのよね。
「あいつがいなくなったから、やっと集中できそう。」
私は、ふわりと宙に浮いて、周りを見渡した。
「私を、ここに縛り付ける原因となった、あいつを見つけ出すまで、私は、ここを、離れることが、できないのよねぇ…。」
見つけ出したら、憑りついて。
あんなことやこんなこと。
ふふ。やりたいことは、いっぱいあるもの。
私、いつまでも、ここにいられるわ。
ずっと、ずっと、ここに、いるわ。
ずっと、ここで。
おまえを。
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