緑
生粋のメガネっ子です(´▽`;)ゞ
緑色が目にいいとか、誰が言い始めたんだ。
昔から目の悪かった私は、事あるごとに、緑色を見つめてきた。
緑を見なさい。
緑は目にいいから。
緑、緑。
はあ、そうなんですねと、せっせと近所の公園に行っては木々を見つめる。
はあ、そうなんですねと、せっせと緑色の服を選ぶ。
はあ、そうなんですねと、せっせと毎日緑茶を飲む。
どんどん悪くなるこの目。
見つめているというのに、歯止めの利かない、視力低下。
眼鏡がどんどん分厚くなる。
いよいよコンタクトレンズに手を出す。
ようやく視力低下が落ち着いたと思ったら、老眼アタックやってキタ――(゜∀゜)――!!
勘弁してください。
ほんと勘弁してください。
遠くも見えず、近くも見えず。
私の視界は、いつでもぼんやり。
新しい、眼鏡を買うことになった。
「すみません、眼鏡をお願いしていたんですけど。」
「少々お待ちください。」
イケメンお兄さんが、私に声をかけてきたので、ちょっとドキドキしながら対応を、待つ。
今日は眼鏡を受け取る日。
見え具合チェックのためコンタクトを付けずに眼鏡屋さんにやってきた。古いメガネを装着してるんだけど、コンタクトじゃないと、0.2くらいしか見えないんだよねえ…。
初めての遠近両用メガネ。
29800円、高い!!
値段の高さにげんなりしつつ、受付してくれたイケメンお兄さんを、待つ。
…あ、戻ってきた。
「装着具合チェックしますね…失礼します。」
うはあ!!イケメンのお兄さんが!!耳っ!!耳をおおおおお!!!
なぜこのイケメン店員さんは、こんなにも年季の入った女子を翻弄するのでしょうか…。
あ。
鼻毛が一本出てる。
髭の剃り残しが三本。
前歯が半分くらいかけてる。
意外と、肌に張りがない。
最新メガネの矯正力は、イケメンに見える普通のおっさんの事実を、私の目に映し出した。
「近くの見え具合はどうですか?」
最新メガネの矯正力は、目の前にぶら下がる緑色のネクタイのドット柄を、私の目に映し出した。
「大丈夫みたいです。」
「じゃあ、あちらにある、無料の眼鏡ケース、お一つ持ってってください。ありがとうございました。」
私は緑色の眼鏡ケースを一つ貰って、最新メガネをかけたまま、眼鏡屋を出た。
「うーん、よく、見える!!!」
私は、眼鏡屋入口の生け垣が、緑色のもこもこしたものではなく、葉っぱの集まりだと、あらためて、気が付いた。
 




