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反映ーreflectionー  作者: たかさば


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22/135

赤/紅

最近の赤い髪人気にあやかりまして(嘘


こちらの作品は、ノベルアップ+さんにて連載中の「恋のお話を、いくつか」にも掲載しています。

異世界転生って、聞いたことある?


実はあたし!!


日本って国にいたんだけどね!!


ある日突然さあ、こっちの世界に来ちゃったんだわ。


トラック突っ込んできたなあって思ったらここなんだもん!


トラックってね、鉄の、生きてない魔物みたいなやつなんだけど!


まあそりゃあびっくりしたわ!!!


でさ、いきなり森の中に飛ばされちゃって!!


ぎゃあぎゃあ魔物はうるさいし、ホントテンパっちゃってさあ!!!


半泣きでうろうろしてたのよ!!


そしたら薄暗ーい森の奥からさあ!!


真っ赤な何かが見えたわけよ!


何だろうって目をこらしたら、真っ赤な髪の男の人でさ!


あたしのこと、助けてくれてね!


あたしここでは背が低い方だから、ずっとその人の真っ赤な頭、見上げてたの。


あたしのいた日本ってところはね、みんな基本的に髪が黒くて。


こんなにも赤い髪の毛って、見たことなくてね。


珍しくて珍しくて!!


男の人もさ、あたしの髪の毛、相当珍しかったみたいで、ずーっと見てたの。


森を抜けるまでの間、いろいろ話して、仲良くなってね。


ちょっとだけ、おうちに住まわせてもらって。


この世界って、ボチボチ異世界人が来るらしいね!


あたし、町の偉い人のところに行くことになっちゃってさ。


行ったらさあ、なんかいきなり、俺の嫁になれとか言われちゃって!!!


在り得ないでしょ!! あたしその時まだ18だよ?!


ハゲ散らかしたおっさんがさあ! これは決定だとかいうんだよ!!!


でもあたし、なんもチートとか持ってなくってね。


ああ、チートってのは、すごい能力ってことよ。


もうどうしようもないな、あきらめるかって、思ってたんだけど。


赤い人がさ!!! 乗り込んできて、くれたのよ!!!


ものすごく、怒っててね。


赤い髪が、逆立ってて。


髪の毛の色が、怒りを纏って、紅に染まってたの!!!


赤い人、町の偉い人ぶちのめしちゃってさ!!!


…めっちゃ、カッコよかったの。


あたし、その人と一緒に、その町飛び出して。




「で、今、ここにいる…と。」


僕の目の前には、おしゃべり上手な、おばあちゃん。


「あたしの髪はね、黒かったんだよ。」

「今の姿からは想像もつかないな…。」


白い髪を長いみつあみにしたおばあちゃんは、ニコニコと笑ってる。

黒い髪の人なんて、この世界じゃほとんど見たことないんだけどな。


おばあちゃんは、この村一番のお話上手で、いつもいつも、子供たちに面白い物語を聞かせてくれるんだ。僕はもう、ずいぶん大人になってしまったけれど、時折おばあちゃんの話を聞くためだけに、この村に立ち寄るように、している。


「想像つかないっていうならあの人見なよ!!!」


おばあちゃんが指差す先には、スキンヘッドのおじいちゃん。


「ああ? なんだなんだ! 騒がしいな、おい!!!」


お茶を三つ持って、こっちのテーブルにやってくる。

おじいちゃんのお茶は本当においしくてね、僕大好きなんだよ。


「今でこそ一本も残ってないけど、この人は真っ赤な髪をしていたのさ。」

「ええー!! 僕一回も毛が生えてるの見たことないんだけど!!!」


この二人は、僕がウンと小さいころから、ずっと白髪とハゲだったはずなんだけどな…。


「今でもあたしの目には、あの日の燃えるような、赤い、紅の、髪の毛が、見えているんだよ。」

「俺だって!! カナの黒い髪の毛が今でも見えてるぞ!!!」


「はいはい、ごちそうさま。」


僕は年季の入った、ラブラブ夫婦を目の前にして。


うらやましいなあと思いながら、お茶に口を付けた。



…本当に、おなかいっぱいだよ!!!




こちらの作品は、ノベルアップ+さんにて連載中の「恋のお話を、いくつか」にも掲載しています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 22/22 ・おばあちゃん!? おじいちゃんも!! ・前半を少女の声で脳内再生してたからビックリですよ! [一言] あー。異世界で普通におばあちゃんやるって、なんかいいですね。
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