順繰り
あ、次は、あたしの番。
ずいぶん待ったんだ、やっとあたしの時代が来た!
いろいろやるんだ、やりたいことは溢れてる…って!
あたしの番じゃなかったんかい。
…じゃあ、仕方がない。
あ、今度こそ、あたしの番だね!
もう、この前のぬか喜びったらさあ!
いろいろ考えたんだ、やらなきゃいけないことがいっぱいあるの…って!
あたしの番じゃないのー?!
…じゃあ、仕方がない。
あ、いよいよ、あたしの番が来た!!
ようやくあたしが世界に飛び立てるって訳ね!!
いろいろ学んだんだ、やるからにはちゃんと責任持たなくちゃ…って!!
あたしの番、いつになったら…来るの?!
あーあ、あたしの番が、いつまでたっても回ってこない。
順番順番、みんな平等に回ってくるはずなのに。
順番順番、待ってたら必ず自分の番が来ると思ってたのに。
あの子が認められたから、次はあたしの番。
あの子が褒められたから、次はあたしの番。
あの子が成功したから、次はあたしの番。
あの子が喜んだから、次はあたしの番。
あの子が消えたから、次は、あたしの番。
あの子が逃げたから、次は、あたしの番。
あの子が卒業したから、次は、あたしの番。
あいつらがいなくなったから、次は、あたしの番。
…あたししかいなくなったから、今度こそ、あたしの、番。
みんなが私を認めるのは、間もなく。
みんなが私を求めるのは、間もなく。
みんなが私を讃えるのは、間もなく。
「あなたの番が、来ましたよ。」
準備万端で待っていた私の元に、客人が現れた。
「では行きましょうか。」
順番待ちしている間に、別の順番が回って来てしまった、みたい。
私は何もできないまま、人生を、終えた。




