二極化の選択
もー、極端なんだから~ヘ(≧▽≦ヘ)♪
さて、どうしようかな。
切るべきか、切らざるべきか。
ただいま絶賛中途半端な髪の長さを持て余している私は、切るのか切らないのか、迷っている。
切るなら、目に入らない長さの前髪に、大匙いっぱいのシャンプー量で済むだけのベリーショート。
切らないならば、髪のボリュームを抑えるべく縮毛矯正をかけたい。
さあ、どうする。
伸ばすのか、伸ばさないのか。
切るのか、切らないのか。
短い髪形は楽だが、地味に寝ぐせの始末がめんどくさいのと、美容院に行く回数が増えるのがネックだ。
長い髪は、縛ればいいけど抜け毛も気になるしシャンプーとコンディショナーとヘアケア用品代がかかるのがネックだ。
ああ、どうする、どうしよう。
「ねえ、髪の毛長いのと短いの、どっちがいいと思う。」
「どっちでも。」
旦那は相変わらず自分以外のことに興味がないな。
ずいぶん前に私がちりちりパーマをかけた時でさえ、あははと笑って済ませたくらいだもんな。
「ねえ、髪の毛長いのと短いの、どっちがいいと思う。」
「どっちでもいいんじゃない?」
相変わらず、娘は人のことに無関心だな。
ずいぶん前に私が腰まであった髪をばっさり切った時でさえ、あははと笑って済ませたくらいだもんな。
「ねえ、髪の毛長いのと短いのどっちがいいと思う。」
「坊主じゃなければなんでもいい。」
ああ、息子は私が丸坊主にした時の衝撃をいまだ忘れていないらしい。
息子にとっては、笑い事では済まなかったようだ。
いやね、その昔さあ、頭皮がひどくかぶれたことがあってですね。
丸坊主にしたらすぐ治るよって言われたから、丸坊主にしたことがあってですね。
それを見た息子が泣き出してですね。
急遽コスプレ用のウィッグを被ったことがあったりしてですね。
うん、私、何も考えてなかった。
あのときの息子よ、心からすまん!!
「もうヘアドネーション目指してみようかな。でも、白髪混じりって受け入れてもらえるのかな。」
「なんでそう、二極化が激しいのさ、今の長さでいいじゃん。」
いや、中途半端が嫌いというか…。
そう、私は中途半端が意外と嫌いなのさ。
長いなら長いでさ、で周りの人から「ながっ!!」って言われたいじゃん。
短いなら短いでさ、周りの人から「思い切ったねえ」って言われたいじゃん。
「極端なんだってば!!もっとさあ、普通の人でいればいいのに。」
「それじゃあ私が普通じゃないみたいじゃん!失礼ですよ!!」
いろいろ悩んだ挙句、私は髪を切ることをやめた。
「うわ!!何その色!!」
「ブリーチを少々…。」
が、髪の色を変えたのだな。
「年寄りのヤンキーかとか勘弁してよ…」
「年寄りって言うな!!」
あれ、おかしいぞ、なにやら息子の様子が。
「なんか、やだった。」
しまった、私はまたしても、やらかしてしまったのか。
リビングのソファで、猫を抱えながらおずおずと私に目を向ける、息子!!息子の目ええええ!!
「だから何でこう…いきなりド金髪にするのさ!!!白か黒かみたいなさあ、極振りは止めた方がいいよ、マジで!!!もういい大人なんだからさあ、もうちょっと落ち着いたらどうなの!!!」
「やめてほしい。」
なんか私、めっちゃ怒られてるー!!!
「ただいまーって!!うわ!!なにその頭!!」
旦那が帰ってきたぞ。
さあ、笑うのか怒るのかあきれるのか…どれだ!!!
「ねーねー今日のご飯なにー?」
旦那は安定の無関心だよ!!!
こいつの頭の中は!!食うことでいっぱいだー!!!
「今日は!!賞味期限が近い卵使ってオムレツに炊き込みチャーハンに中華コーンスープにミモザサラダにスコッチエッグ…。」
「卵ばっかじゃん!!!」
「卵割りたい。」
「わーい!手洗ってこよ!!」
ちなみに明日は冷凍庫の大掃除をするから、ラムチョップに叉焼丼にタンシチューと唐揚、ロールキャベツも作ろうって思ってるんだけど。
いやあ、冷凍肉ってさ、たまに入れ替えないと、いつまで経っても残っちゃうからさあ。
毎日ちょっとづつ計画して使うとか、細かい芸当がね、苦手って言うかね?
…うん、私、色々と、極端だわ!!!
よくよく考えたら、おしゃれは一切しないけど、外食には躊躇しないとかさ。
テレビは見ないけど、動画はめっちゃ見るとかさ。
団体スポーツには一切参加しないけど、ウォーキングは三時間するとかさ。
手出ししないことと、はまる事の二極化がだね、相当、甚だしいのだな、私って奴は。
中途半端に手出しをする、もやもや感が、非常に、こう、気持ち悪いというかさあ。
結局私は、何を選択したところで、やけに偏っているということなんだな。
「たまには卵尽くしもいいね!!うまうま!!!」
「美味いからいいや、パクパク!!」
「おいしい。」
私が偏ってたところで、家族はみんな特に気にすることはないんだから、まあ、いいか!
「…卵色。」
息子の私の髪を見つめる目は、ずいぶん、ずいぶん突き刺さってるけども!!
…うう、反省、しております。
私のおかしな極振りの癖、治るかな、直したいな。
ぼんやりそんなことを考えながら、炊き込みチャーハンをおかわりしようかなと、しゃもじを手に取る。
「ごめん!!ご飯もうなくなっちゃった!!!」
「ちょ…!!!私まだ茶碗に半分しか食べてないのに!!!」
「だってめっちゃおいしいんだもん!また作ってー!」
「かなりおいしい。」
私は、ばさばさの黄色い髪をかき上げながら、空になった炊飯ジャーをキッチンへと移動させたので、あった…。




