人が好き、だけど嫌い
「君は、いつも誰かと一緒にいるね。」
「ええ、私、人が大好きなのよ。」
「…疲れない?」
「誰かといると、楽しいじゃない。」
「気を使わないかい。」
「いつも疲れをいやしてもらっているわ。」
「人が癒してくれるのかい?」
「落ち込んだ時は慰めの言葉をくれたりね。」
「慰め?憐れまれているだけじゃないのかな。」
「憐れに思って、優しい言葉をかけてくれているのかも。」
「人に憐れに思われて、悲しくならないかい。」
「なぜ?」
「お前はできの悪い人間だと、言われているようには感じないのかな。」
「言われていないことを、あなたは感じるの?」
「感じてしまうくらい、僕は人間が、嫌いなんだよ、」
「じゃあ、私のことも、嫌いなの?」
「君は特別さ。」
「どうして特別なの?」
「僕が君のことが、好きだからだよ。」
「どうして私を好きになったの?」
「君が人間らしくないから、かもね。」
「人間、らしく、ない…?」
「こんな穿った考え方をする僕のことを、相手にしてくれるから。」
「私、そんなに、おかしいかしら。」
「ああ、おかしいよ、普通の、人間じゃ、無い。」
「…そう、わかったわ。」
「じゃあ、僕と、付き合って、くれるかい?」
「いいえ。」
「どうしてだい?」
「だって、私、あなたが嫌いだもの。」
「なぜ!!」
「あなた、私の正体に、気付いたんで、しょおおおおおお?!」
ガブリ!!!!!!!!
ぶぅおーり、ぶぅぉおおり…
がふ、がふ、がふ、がふ…
ごっくん。
普通の人間に紛れて暮らす、この私の正体を見破った、恐ろしい男。
大好きだったけど、食べちゃうしかなかった。
私、本当に、あなたのことが大好きだったのに。
いつも私のそばで、微笑んでいてくれて、うれしかったのに。
私がほかの人と話していると、機嫌が悪くなるの。
私はたくさんの人に紛れて、楽しく暮らしたかっただけなのに。
人に紛れて、生きて行けるって、思ってたのに。
こんなに簡単に、バレちゃうなんて。
大好き、大好きだったんだよ?
でも、私の正体を見破った、大嫌いな、人。
もう、私、人と一緒になんて、生きていけない。
だって、人は私を見破れるって、知ってしまったもの。
もう、誰も食べたくないもの。
私、大好きな人たちから、離れることにする。
私、一人で、生きてゆく。
さようなら、大好きな人。
さようなら、大嫌いな人。
私、人が好き、だけど嫌い。
私を孤独にした、人が、嫌い。
私がまた、人を好きになれるまで。
私は一人で、生きて、行くの。
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