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S3

嗚呼、我が人生

作者: 六藤椰子〃

 僕は平凡だ。凡庸で、特別な能力がある訳でもなく、本当の才能とやらも発揮出来ず、いつも変わらず過ごしている。

無駄な人生。無意味な生き方。こんな一生涯のままで費えるのだろう。終わりも近い。もしくは、遠いかもしれない。

僕はそんな人生をどうすれば良いのか、価値観は見出せないままで生きてきた。相当悩んだ。考えた。思いふけった。でも考える事は止めた。時間の無駄なんだ。そもそも人生で生きる理由を見つける事自体が間違っている。どうせ人はいずれ死ぬんだ。必ず死ぬんだ。老衰、病気、事故、事件、何らかの原因や理由があって、どうやっても死から逃れられない。生きる事自体が億劫になってしまう。 何に対しても希望を見失ってしまう。優しくしてくれた周りの人々、それは感謝しよう。でも本音を言えば、感謝したからなんだというのだ。

どうせその場限りの幸せを感じるだけではないだろうか。結局は他人から評価されたいと言う欲から生まれた自分自身の為ではないのだろうか。

意識と言うものは、そして意思というものは、どうも矛盾に満ちている。

何故意思があるのだろうか。そもそも死んで無である事が当たり前であるのに、死ぬ事が自然現象ではないと思う錯覚は何なのだろうか。無意味な事である。

 僕たち生物はみな、死にたくないと思う。生きたいと思う。何故なのか。元々、無であるのに有限に希望を抱いている。実に不思議な事だ。生きる事は不自然であるのに、あたかも当たり前のように、当然であるかのように、生きている内にそれを証明しようとする。きっぱり言って、単刀直入に、それこそ不自然ではないだろうか。

子どものうちに両親もしくは近しい人にお世話になって、大人になる。当たり前の事だ。でも、大人になるってそもそも何なのだろうか。

生きるって事は当たり前なのだろうか。当然なのだろうか。しかし、そもそも惑星には生物が生き残れる環境はない。実は僕たちの思っている自然こそが、不自然極まりないのかもしれない。

 人は生まれてきて、恵まれているにせよ恵まれていないにせよ、必ず衝突する場面が出てくる。あまりにも出来過ぎてはいないだろうか。

神とやらが実在したとして、本当に見守ってるのか、と言う問いに人々は答えを出せずにいる。そもそも神がそもそも実在するのかさえ、疑わしい。もしいるとしたら、僕は自分のこの人生を恨み続けて生きる事としよう。

生きる事は愚かである。かといって、死んだら愚かも何もない。何も残りはしない。

知り合いの知り合いが知る程度なのである。美人であろうと、不細工であろうと、老若男女問わず死んだらそれで終わりなんだ。

 生きている内に努力する。精一杯生きる。立派のように聞こえても、実際では死ぬのが怖いので後世に残そうとするだけの行動である。行為でもある。子孫代々血を残すといっても、いずれは死に絶える。それでは今の自分はあまりにも無意味で、みじめで、無駄で、生きていたと言う事実を残すにしても、結局は無駄の一言で片づけられてしまう。それでは子供残す必要も、どんなに才能があって功績残そうとも、無意味ではないか。

どんなに努力したとして、どんなに人生の経験を積んだとしても、結局は全て無意味に成る。

不老不死になろうたって、結局は自分自身の為に生きる他なくなってしまう。なんで生まれてきたのか、何で生きる必要があるのか、僕には分からない。

必死こいて努力して、名誉ある学園に出たとしても、それは結局一瞬の出来事にしか過ぎない。

学歴も、職歴も、努力も、かといって何もしないってのも全て無意味な行動で、無駄な行為に等しい。人類は生まれてこなければ良かったのである。いや、生物全てに言える事だろう。

人の思考は他の生物とは違うところがある。単にコミュニケーション能力が高いだけだ。会話を通じて他人と心を通わせる事だって出来る。だから何の意味があるというのだ。

人類は心を発達している…と言うが、そもそも植物にだって、テレパシーで会話しているのかもしれない。痛覚だってあるのかもしれない。生物の定義は自分の意志がある、それだけで良いのではないだろうか。

 人々は難しく考えすぎた。僕は人類を救うシンプルな答えを導ける。滅亡さえすれば、気は楽になれよう。それだけだ。どのみち人々はいずれ死ぬ、それだけで無駄になる。生きている事とはつまり不自然なのである。

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