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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode6 絡めとる状況。千里vsユリカ!!
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調教の危機!? 千里VSユリカ前編!

「……まさか閉め出されるとは」


「仕方ないにござろう。一方に肩入れするおーでぃえんすが居ては公平さを欠くゆえ」


「…………」


風間傍楽。丁場或葉。鳥文良襖。


『三人の仲間たち』は防音ブースの外で語らっていた。


無論、約一名の心境は他とは離れていたが。


(ま、あたしまで閉め出されるのは心外なんだけど。体面上はね)


幼女魔王の正体は、まだ隣の二人には知られていなかった。


そんな中。


「千里は……ここだな」


そこに迫る、ポニーテールの背の高い影。


「む……姉上か!?」


自身の姉、詩葉の登場に驚愕する或葉。


ヒュー、と口笛を吹くいて讃えるのは良襖だ。


傍楽が止める。


「待っ……駄目ですって今入っちゃあ!!


「そうじゃない……そうじゃないんだ……」


なにも知らない小学生には意味が通じない呻きを発しながらもドアに迫る詩葉。


しかしその前に魔王少女が立ちはだかる。


「ち……」


「お引き取りを。この先で繰り広げられる試練に差し支えますので」


「馬鹿言え。だから伝えなくっちゃあなんだろう」


詩葉は食い下がる。


それだけの『理由』があった。


「この試練の肝はもうひとつある。恐らく奴はそれを理解していない。せめて《運命の四ターン目》までに伝えないと……」


揺れる視界の中、決意だけが灯台だった。






そしてゲーム世界のヘル・ディメンション。


千里の手札は現在六枚。


これを旨く使う必要がある。


「……俺は《ゴールデン・ハイウェイキッド》を呼び出す!!」


毎度お馴染みのギア2バニラ。


走行10。センターのデッドヒート値15負けてるために走行には使えない。


なので。


「まずは……キルハルピュイアを攻撃!」


眼前の奇怪鳥をなぎ払う。




WIN ハイウェイキッドATK6000vs5000DEFハルピュイア Lose




ターゲットを吸うハルピュイアは撃破。


「ハルピュイアの効果! 撃破時の効果でカードを一枚ドロー!」


「言ってら! 続けて《パイクリート・サイドライド》を呼び出す!」


続いて組み上がるは、小豆氷のサイドカー付きバイク。




《パイクリート・サイドライド》✝

ギア2 スカーレット・ローズ/マシン

POW8000 DEF8000 RUN10

《ダブルギア1(このカードはルール上、ギア1としても扱う。また、コントローラーの任意で片方のギアとしてのみ扱う事もできる)》

◆『常時』センターがギア2でない場合、このマシンのステータスは半分になる。




一見何が強いのかわからないこのカードも実に役に立つ。


ひとまず、目の前のセンターは殴り倒せる。


「俺はパイクリートであんたのセンターを攻撃」



WIN パイクリートATK8000vs7000DEFアンロック Lose



檻のようなアーマーが砕け散る。


中から出てきたのは、燃費の宜しくない桃色のバイクだ。


だが千里は手を緩めない。


「こっからだ! 来いよ新顔ド有能。《ミスター・トレーラー》!!」


小豆氷のバイクが砕け散る。


飲み込むように湧き出たのは、赤々としたトレーラー車だ。



《ミスター・トレーラー》✝

ギア3 スカーレット・ローズ/マシン

ATK10000 DEF8000 RUN15

◆『場札二枚を疲労/一ターンに二度』山札からギア1一枚を呼び出す。



「《スカーレット・ローズ》の本領発揮だ。手札から《当然のマニュアライズ》発動!!」


スタンピードの基本ルール。センターのギア以上のギアをもつマシンやチューンは横に置けない。




《当然のマニュアライズ》✝The_basic_manual…

ギア3 スカーレット・ローズ/チューン

◆山札からギア1カード三枚をランダムに選択し手札に加える。そのカードは相手に見せない。



「その効果で山札からランダムなギア1三枚を手札に加える! でもって早速ギア1を呼び出す。来い《赤塗りのパトライド》《レッド・オポッサム》!!」


号令とともに、赤い警察車両とバイクが現れる。


「更にこの二枚を披露させる事でトレーラーの効果発動! もう一体新たなギア1を呼び出す! 来い《ストーン・エスカルゴ》!!」


今度は灰色の積載バイクが現れる。


但し、ユリカの前に。


ユリカのマシンが止まる。


「……チ」




《ストーン・エスカルゴ》✝

ギア1 スカーレット・ローズ/マシン

POW 0 DEF5000 RUN0

《進路妨害》




「知ってんだぜ。デッドヒートは《進路妨害》を置いたら機能停止するってよ。もう一度エスカルゴとセンター下の《ゴールド・グース》を疲労させて効果起動!」


二台目。


灰色マシンのおかわりが積まれる。


「これで布陣は上々……行くぜ」


行く手を阻む《進路妨害》は撃ち抜いた。


ここからは走るのみだ。


「俺は《ミスター・トレーラー》で走行!」



千里残り走行距離……95→80



「更に《赤塗りのパトライド》の効果。コイツをセンターに重ねる事でセンターを強化回復! 再び走行だ!」



千里残り走行距離……80→60



「……もーできる事は無いか」


打てる手は打った筈だ。


「俺はこれでターンエン……」


その時だ。


「待て千里!! ターンを終えるなぁ!!」


「ド?」


「あたしのターン、ドロー!!」


ターンはユリカに移ってしまう。


千里は驚愕した表情を以て返す。


「おいなにやってやがる! 酔っぱらいは安静に……っつーかこの試練は一対一でやることに意味があるんだろ!?」


「そうじゃない……そうじゃないんだ!」


千里するのは、試練の本質を知っているからだ。


「お前が環境ブレイカーだと思っている重機王三点セットだが……確かにその認識は正しい。

だがそれだけじゃない。環境を滅ぼすほどの力を秘めたカードは他にもある」


「……? そりゃあるだろ、発展途上のカードゲームなんだしぶっ壊れの一枚や二枚……」


「違う! ()()()()()()()()使()()()()()()()!」


「!?」


「あたしは《ハルピュイアの大乱舞》を発動!!」


輝きと共に。


あふれる。


奇怪鳥が暴れ狂う。




ーーーーKIEEEEEEEEEE!!!




「…………!?」


数は四。


啄む恐怖が黒の荒野を飛び回る。


「《キルハルピュイア》……通称を『クソ鳥』」


詩葉が絞り出す。


真相が語られる。


「ユリカの試練はただの真剣勝負じゃあない……その真の概要は『ぶっ壊れを使う相手に、ファンデッキ級の構築で挑んで楽しませる』なんだ!」


唖然。


あの大笑いの意味をようやく理解した。


理不尽の自覚。


それを察知したように、ユリカが突き付ける。


「……悪いけど、これが運営側って事」


空を舞う四体のうち、二体がその向きを翻す。


「理不尽を楽しみなさい、挑戦者。あたし達が与えられるのは、ただひたすらに高い壁よ!!」


そして。


キルハルピュイアは名前負け無く抹殺を行う。



DRAW ハルピュイアATK5000vs5000DEFエスカルゴ DRAW



特攻。


エスカルゴ二体とクソ鳥二体が相打ちになる。


しかし遥側は。


「キルハルピュイア二体の効果発動! 一体に付き一枚、計二枚ドロー!!」


一方的なアドバンテージ。


何がどうしてそんな事ができるのかわからない。


仕組みがわからないのではない。


こんなカードを繰り出した運営の気が知れない。


「どういう……どういうつもりすかユリカさん」


「どうもこうも……これが《試練》よ」


ユリカの前を阻む障害は取り除かれた。


道は開かれていた。


怪鳥を侍らせ、再びバイクのエンジンをかける。


「覚えておきなさい……人ってね、大人になればなるほど汚れてくものなのよ」


再び、ユリカがアクセルを踏み走り出した。


ここからが悪夢の始まりだ。

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