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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
Episode.5 試練乗り越えた決戦!! 千里vsルイズ!!
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覚悟問う巨影。千里vsルイズ中編!

【ラバーズ・サイバー】デッキ解説


ドローと遅延を得意とするこのデッキは運に左右される事に乏しく、また手札誘発型のカードを手札に確保しやすい。


このため、相手のゴールを遅延する《剛鬼の狩り手ルイズ》との相性が素晴らしく良く、その効果により先攻を取る事が不利となりやすいスタンピードのルール性を完全に踏み倒せる。


さらに高確率で4or5ターン目に《サイバー・ライド・ZEROスフィア》が着地し、その圧倒的なコントロール性能を持って勝負を決めてしまう地力を持つ。


以上がラバーズ・サイバーを環境トップに押し上げる理由であり、故に先駆千里はこのターンで決定的な一手を打たなければならない。




《魔弾の撃ち手マアラ》✝Magic_bullet_MARA…

ギア4 ステアリング/マシン

POW   0 DEF   0 RUN  0

《デミ・ゲストカード(このカードは自身の効果、又は同クラスとの入れ替えでしかセンターに置けない)》

《拘束(このマシンは場にタップして置く。また、リペアフェイズにこのマシンは回復しない)》

◆『コスト・自分マシン一枚の破壊』このマシンを回復する。この時コストでセンターを破壊していた場合、このマシンをセンターに置く事ができる。この効果は一ターンに二回までしか使用できない。

◆『コスト・このマシンのタップ』以下のうちから一つを選択して使用する。

●カードを二枚ドローする。

●相手マシン一枚を選択して使用する。対象をターン終了まで-15000/-15000/-30で補正する。

●相手のディフェンス10000以下のマシン一枚を選択して発動する。そのマシンを破壊する。

●このマシンが走行可能であったならば使用できる。自分の残り走行距離を30減らす。




淡い金が混ざった白が駆ける。


「早速頼むぜマアラ! コストでブラック・グリズリーを破壊して効果起動! カードを二枚ドローだ!」


ドローカードの確認。


良いカードを引けた。


「ここで《当然のマニュアライズ》発動! 」


山札から三枚のギア1を入手する。


「さらに《ルシファー》を呼び出す! 効果で《当然のマニュアライズ》を再使用!!」



《先導のルシフェル》✝The_Vanguard_of_Lucifer…

ギア2 ステアリング/マシン

POW 5000 DEF 5000 RUN 0

《ゲストカード・このマシンはセンターに置けない》

◆『このマシンの登場時』自分が直前に使用したチューン一枚の効果を再び使用する。

◆『ターン終了時』このマシンを破壊する。

◆『自分ターン開始時/コスト・手札一枚を捨てる』スクラップのこのカードを手札に戻す。




《当然のマニュアライズ》✝The_basic_manual…

ギア3 スカーレット・ローズ/チューン

◆山札からギア1カード三枚をランダムに選択し手札に加える。そのカードは相手に見せない。




大量のギア1が手に入る。


だがそれだけだ。


『そこからどうする? マアラの力を借りた事でお前はステアリングの三種制限に触れた! かつてのように【マニュアルターボ】に繋げる事は叶わんぞ!』


「そうさな………だから良いんだよ」


このままでは埒が明かない。


千里は六枚の雑魚(ギア1)を抱えて堕ちるとルイズは言いたいのだ。


だがそれは誤り。


千里の奇策を打つにはこの状況こそがベストなのだ。


ここで呼吸を整える。


聞くべきことを聞かなければならなかった。


「………………これからぶっ壊し合うにあたってひとつ聞いておくべき事がある」


『なんだ』


「あんたはさ。守ろうとしてるんじゃないか?」


千里は迫る。


鋼の奥の真相に。


「だってユリカさんは言ってた。Ai−tubaのカードは当人のイメージによるんだろ。

それが守りの力って事は、アンタは誰かを守りたいと願ってるんじゃないか? あんたが守りたいのはきっと」


『そこまでだ童』


大アギトが止める。


『我は試練を与える存在。そしてお前は挑戦者。馴れ合いは不用。興を醒ますだけにあろう。それにだ』


自嘲するようにルイズが続ける。


『所詮我など飼い慣らされた番犬に過ぎん。我に倣うな。ただ打ち倒す事に手を尽くせ。それがこの場の役割なのだからな』


辛辣な言葉。


千里はそれでも、と思い直す。


(それでも俺は信じたいよ。立派な大人だってちゃんと居るって事を)





昼間の景色。


良襖を連れ出そうとしたときのやりとり。


或葉は切り出した。


『隠しだては無意味とみた。だから正直に言う。我らは今、決して誉められる事ではない理由で出掛けようとしておる』


『でしょうね、無駄に大荷物だし』


『その上で願いたい』


乾いた赤毛の女性に或葉が挑む。


『こちらにも、いざというときに来てくれる大人の控えは居る。予定も綿密に組んでいる』


『そう。………………でも、よりによってたまの休みに娘をわざわざ危険に送り出さなくちゃいけない、その理由はなに?』


当たり前の帰結。


ルール違反はルールでは正当化できない。


だから、或葉はルールに頼らなかった。


『我らにとって、今日という日は忘れないものになると思っている。初めてを煮詰めたような一日故。このような機会は二度もくまい』


真っ直ぐ瞳が相手を見据える。


『………………此度は我らにとって貴重な催し。どうか、明るく見送ってはくれぬか』


『………………………』


沈黙。


そののち、母親は一言。


『いいよ。あなたたちを信じる』


意外なほど素直に。


『ただし覚えておきなさい。良襖に何かあったら私はあなたたちに容赦しない。人一人預かるからには『責任』が伴うってことを覚えておくように』


母熊のような恐ろしさを背負い釘を刺した。


それは子を守る親の姿であり。


厳しさを教える大人の姿だった。





(あの人みたいな、母親みたいな面があんたにもあるって、そう思うんだけどな)


心情の中。


千里は、覚悟を決めたように言う。


「そろそろ頼むわ」


「しかたありませんね」


マアラが右手をあげる。


照準を定める。


「マアラの効果発動! ルシフェルを破壊し魔弾を放つ!!」


堕天使が爆散する。


マアラの指に光が灯る。


「俺が選ぶのは………走行の魔弾だ! 行くぞルイズ!!」


雲が加速する。


「ウイニングラン!! 魔弾の打ち手マアラの効果でゴールする!!」


「すみませんルイズさん!! 起動せよアクセル・エンチャント!!」


魔弾は浮雲を居抜き、肥大化を招く。


嵐のように加速する。


このまま行けば、マアラの効果で千里が勝つはずだが。




『温いわ小童ァ!!』




どこからともなく巨碗が唸る。


衝撃。


千里たちが遥か遥か後方に吹き飛ばされる。


「ははっ、ちっくしょ………!!」


「やむをえません。アクセル強行します!!」


吹き飛ばす力に抗うように浮雲を加速させる。




千里残り走行距離……25→65→35



収支は10キロの赤字。


これでも被害を抑えたほうだ。


無茶な起動をした浮雲から転げ落ち、それでも千里は立ち上がる。


そして目撃する。


「………………あれは」


見据えるは10キロ前方。


青が立ち上がる。


戦慄する千里と対称的に、隣に転がるマアラは喜悦を覚えた。




そして口上は述べられる。




『我が天は近き。我が願いは背に。寄り添う希望を騙るべく(クロガネ)はここに首をもたげる。 意思なき者は去るが良い!!!』


大顋が体を取り戻して行く。


半楕円型の体を支えるのは、遥か見上げるほど大きな大車輪だ。


膨れ上がる体躯は、並び立つ建物をも越える。


天を突く。


三本角の鉄巨人が起き上がる。


轟々たる声が吠える。


『いでよ我が真影!! 《剛鬼の狩り手ルイズ》!!』



《剛鬼の狩り手ルイズ》✝

ギア4 ステアリング/マシン

POW  0 DEF20000 RUN15

◆《デミ・ゲストカード》

◆《二回行動》

◆《チューンナップ・GKゴールキーパー(相手が残り走行距離を0にする行動を取るとき、このマシンを手札から呼び出せる。)》

◆『このカードの登場時』相手の残り走行距離を40増やす。また、このマシンは三度目の戦闘まで《進路妨害》を得る。




挿絵(By みてみん)




眼前を青が支配する。


金色の眼光が睨む。


それは突如天高く飛翔し、千里の眼前べとべと墜落する。


道を塞がれた。


『これでマアラは行動終了!! 残るギア1だけで我は倒せまい!

だがお前の進路は我が閉ざした!! 我を倒さずして勝利は無いと知れ!!』


つまりは袋小路。


ルイズはそう言いたいのだ。


『さあ、どうするつもりだ!!』


「………………」


沈黙は絶望的を表してはいない。


「そりゃもちろん」


千里の回答は決まりきっている。


「新しい力に頼るのさ」


新たな力に思いを馳せ、傍らのマアラに感謝を述べる。


「マアラ。ありがとよ、マジで助かった」


「いえいえ。ただテキスト通りの処理をしただけですので」


優しく頬笑む。


そして、マアラの姿が焼失する。


千里が地に降り立つ。


呼吸を整える。




世界を眺める。




黒曜石と、コーンフラワーサファイアで組まれたような青い街並み。


近未来のシルエットのみを切り取ったような街に人影は無く、静かな雰囲気はどこか無菌室のような寂しさを感じさせた。


そして、その大通りの中央。


巨影は彼を睨んでいた。


「………………………………」


ビリリと来る迫力に圧倒されそうになる。


負けるわけにはいかない。


傍楽。良襖。詩葉。そして或葉。


敗北はここまで彼を支えてくれた彼らの尽力を侮辱する。


それに一番の問題は『初めてのワクワク』は今しか感じられないと言うこと。


死を繰り返し正答に迫るやり口は好きではない。


だから。


「手札からギア1《グリーン・タートル》《バルキリー・シェル》を呼び出す!」


『!?』




《バルキリー・シェル》

ギア1 スカーレット・ローズ/マシン

POW1000 DEF6000 RUN5

《このカードをセンターの下から捨て札に》一度のみ、センターの破壊を無効にする。




『それはファーストマシンにも使われていた………………お前の狙いはまさか!?』


「そのまさかよ! この二体を束ねて新たなマシンを呼び出す!」


「!!」


鋼が束なる。


新たなるマシンが陰を見せる。


「まだまだだ。残り三台、《オレンジ・イーグル》《レッド・オポッサム》《パイクリート・サイドライド》も呼び出す! こっちも合体だ!!」


鋼が現れては積み重なる。


新たなる巨影へと成長していく。


口上が高らかに述べられる。




「ーーーー無限の未来描くため、大地と空がここに重なる!!

歌え日常。集まれ世界! 束なる力が明日の夜明けを出迎える!!」




五体が二台へ。


二台が一台へ。


成長は連なる。


ルイズをも超える、最強の重機君主が大地に降り立つ。


そして。



「ーーーー来やがれ最強ド有能ッッッッ!!

堂々完成!! 《創道王ローディエゴ》ッッッッ!!」





群青色の王が起立する。


輝ける瞳が未来を見据える。




挿絵(By みてみん)





命名は成された。


勝利の使者は降臨する。


「ーーーー覚悟決めろよAI-tuba」


啖呵を切る。


今一度の宣戦布告。


「お前が鉄巨人ならこっちは合体ロボだ。集まる力でお前をぶっ壊してやるぜ、ルイズッッ!!」


大胆不適なチャレンジャー。


希望の塊は、もはや誰にも止められない。

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