打ち合いの前哨。千里vsルイズ前編!
青の領域でバトルが始まる。
これまでの積み上げがかかった決戦だ。
『我のターン!! まずは手札より《プラグインU》!』
号令と共に、機械の子犬がポンと湧き出る。
《プラグインU》
ギア1 ラバーズ・サイバー/マシン
POW3000 DEF4000 RUN5
プラグをあしらったその姿を見るに、裏の読みは絶対にプラグインUだろう。
『そして我が顋の効果! 場札二枚を疲労させることでカードを二枚ドローする!』
《トライホーンの大顋》
ギア1 ラバーズ・サイバー/マシン
POW 0 DEF6000 RUN5
◆『場札二枚を疲労』カードを二枚ドローする。
これでルイズの手札は六枚。
「我はこれでターンエンド!」
「俺のターン! カードドロー!」
ターンが移る。
千里のターンだ。
「まずはセンターの《バルキリー・シェル》で走行!」
千里残り走行距離……100→95
「続けて重なりいでよ《クラシックマン》!! さらに《パイクリート・サイドライド》!!」
《クラシックマン》✝
ギア2 スカーレット・ローズ/マシン
POW8000 DEF7000 RUN10
いつも二台のマシンが現れる。
「さあ二体で走行だ!」
千里残り走行距離……95→85→75
「俺はターンエンド!」
『我のターン、カードドロー! 再び我が顋の効果を使う!』
再び二枚が疲労する。
これで手札は実に九枚。
この手札を湯水のように使うのが《ラバーズ・サイバー》だ。
『では行くぞ!我はギア2《アーカイブ・ローグ》を呼び出す! そしてその効果で手札二枚を捨て効果を使う!!』
《アーカイブ・ローグ》
ギア2 ラバーズ・サイバー/マシン
POW7000 DEF5000 10
◆『手札二枚を捨てる』自分の走行の走力は、三度目まで10増加する。
『続けて《メモリー・キール》を呼び出す! その効果で二体に分裂!!』
《メモリー・キール》
ギア2 ラバーズ・サイバー/マシン
POW7000 DEF5000 10
◆『呼びだしコスト・手札一枚』
◆『登場時』山札から《メモリー・キール》一枚を呼び出す。
『《アーカイブ・ローグ》の効果でこれらの走力は倍! では行くぞ三台で走行!!』
ルイズ残り走行距離……100→80→60→40
「ちくしょ……ギア1の分走行距離は減るはずなのによ」
五枚もの手札を用いた豪快な走行。
これが環境トップの走りか。
『まだまだァ! 重なりいでよギア3《ダスト・クリーナー》! 走行だ!』
ルイズ残り走行距離……40→25
行動は止まらない。
『さらにお前の進路にこいつを置いてやろう!《ウェブシーク・デーモン》!!』
「!!」
震え上がる。
見覚えがあった。
百人切りの時に飽きるほど見たマシンだ。
「またアイツかよ……!!」
頭上より落下音が迫る。
轟音とともに悪魔像が墜落する。
《ウェブシーク・デーモン》✝
ギア3 ラバーズ・サイバー/マシン
POW 0 DEF15000 RUN0
《呼び出しコスト・手札一枚を捨て札へ》
『進路妨害(相手は進路妨害を持つカードが存在する限り、可能ならそれを攻撃する)』
『これで我はターンエンド! ここで《ダスト・クリーナー》の効果発動!!』
《ダスト・クリーナー》✝
ギア3 ラバーズ・サイバー/マシン
POW5000 DEF11000 RUN15
◆『エンドフェイズ時』自分はこのターンに捨てた手札の枚数分ドローする。
『これで我は三枚ドロー! さあお前のターンだ!』
「俺のターン、ドロー!」
相手の手札五枚に対し、千里の手札も五枚。
この使い方が勝敗を分ける。
(さってと……まずは状況確認だ)
青の衝撃を浴びつつ思考する。
スタンピードは往復四ターン目の駆け引きが肝なのだ。
既にギア4は解放されている。実質全てのカードが解放されたのだ。
もういつ《剛鬼の狩り手ルイズ》が出てきてもおかしくない。
なるべ丁寧に削っていきたいが、目の前の悪魔像を砕かない事には前にも進めない。
その手ならある。
だが、それは…………
『どうした? 長考はいただけないな!』
「わってるよ…………」
あざとい抜け道。
おそらくこの手は手のひらの上……
「まずは場にある二体の連係でウェブシーク・デーモンを破壊!」
WIN 二体連係ATK16000vs15000DEFデーモン LOSE
悪魔像が崩れ落ちる。
再び千里が走り出す。
「さらに重なり来やがれ《ダイナモ・アーミー》!! 当然走行!」
《ダイナモ・アーミー》✝Dynamo_army…
ギア3 スカーレット・ローズ/マシン
POW12000 DEF 9000 RUN 15
千里残り走行距離……80→65
これで手札は四枚。
「さあここからだ! センターに来やがれド有能!! そしてチューン発動!!」
《ブラック・グリズリー》✝
ギア4 スカーレット・ローズ/マシン
POW16000 DEF10000 RUN20
《リーフ・エンブレム》✝Leaf_emblem…
ギア3 ステアリング/チューン
◆このカードをセンターに重ねる。重なったこのカードは以下の効果を得る。
●『センターに効果が無い/コスト・このカードを含む敷き札二枚を横に』センターを回復する。
●『センターの破壊時/コスト・このカードをスクラップへ』センターの破壊を無効にする。この効果は同名含め一ターンに一度のみ使用できる。
お決まりの展開。
繋がるコンボが世界を駆ける。
「行くぜこの野郎!! ブラック・グリズリーで走行!!」
熊を模した高級外車がブーストをかける。
のっぺらぼうの壁に光るラインで構成された景色が流れる。
千里残り走行距離……65→45→25
整えられた戦術。
両者が25キロ地点で並ぶ。
ルイズの嘲る声が響いた。
『……フン。型通りの事はできているようだな』
「まーな……さあここからが本番だ」
ここまでは定石通り。
残る手札は二枚。
頭をひねるべきはここからだ。
「ここから忙しいぞ千里」
並走する観客席。
黒ずくめのアバターに着替えた詩葉がバトルを見下ろす。
「奴は確実に『自分本体を握っている』。残り二枚の手札でルイズを引っ張り出し、さらに倒さなければならない……だろうマアラ?」
振りかえる。
誰も居ない。
「…………あれ?」
先程からの呟きが、ちょっぴり痛く感じた。
「……さてと」
勝利への計算を狂わせる一手。
《剛鬼の狩り手ルイズ》とはそういうカード。
それを乗り越えるには。
「………………やっぱり、こいつしか無いよな」
残る手札のうちの一枚。
それを切る。
「ーーーー白く流るるは希望の浮雲。夢へと至る足掛かり。
導け未來、撃ち抜け願い。魔性の鋼よ楔となれ!!」
口上は述べられ、そして。
白雲が浮かび………
「来やがれ超絶ド有能! 《魔弾の打ち手マアラ》ッッ!!」
雷が落ちる。
雷雲の内より、ふわふわのもこもこが飛び出る。
「……ぷはぁ」
七天のAItubaが一人。
衣音マアラ。
「まさか僕をおよびとは」
「ああ。この場にはお前が一番相応しいからな」
かつての敵が仲間となる。
それもまたゲームの醍醐味だ。
「…………ところで、百人切りん時も呼んだじゃん。だんまりだったのになんで今しゃべってんの?」
「やですね。本人来てないのにしゃべるわけ無いじゃありませんか」
「御旗チエカが」
「あの人は永遠の謎ですっ!」




