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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
Episode.4 試練開幕! ???vsユリカ!!
36/190

礎のデットヒート。シルヴァvsユリカ前編!!

烈風が吹きすさぶ。


豪速の世界での戦い。


「……一時間につき税抜き500円、三時間割でも1000円ちょい、か。ゼータクな決戦だぜ」


並走する観客席の上。


千里はぼやきながら、二人の決戦を眺める。


眼下では、因縁の二人の決戦が始まっていた。





短髪姫が高らかに叫ぶ。


「先攻は頂くわ!! あたしは《絶桃のラッシュシード》で疾走!!」



ユリカ残り走行距離……100→95



「ターンエンド! ラッシュシードのデメリットで手札を一枚捨てる!!」




《絶桃のラッシュシード》✝

ギア1 ステアリング/マシン

POW3000 DEF3000 RUN5

【自分エンドフェイズ時】可能なら、自分の手札一枚を捨てる。

【デットヒート10】




「……………?」


並走する足場の上。確認したカードテキストを見て、千里が疑問符を浮かべる。


大したスペックでも無いのに、何故毎ターン手札一枚という重いコストが必要なのか。三枚しか入れられないステアリングの枠を、貴重なファーストマシンの枠を潰してまで入れるべきカードなのだろうか?


だが気になるのは見たこと無い効果……【デットヒート10】の記述だ。


「なんだ? デメリットが霞むくらいスゲー効果なのか……?」


「オレのターン! ドロー!!」


ターンが移る。


詩葉=シルヴァフィアのターンだ。


「オレは《スカル・スクラップ》の効果を使用。手札を一枚捨てて二枚を引く!」



《スカル・スクラップ》✝

ギア1マシン ヘルディメンション

POW3000 DEF3000 RUN10

【1ターンに一度/手札を一枚捨てる】カードを二枚ドローする。




「更にセンターに重ねいでよ《ガードナ・ケルベロス》!! 続いて並べ《デスブラッド・インジェクター》!!」



《ガードナ・ケルベロス》✝

ギア2 ヘル・ディメンション/マシン

POW5000 DEF5000 RUN10

【手札一枚を捨てる】《ガードナ・ケルベロス》一枚を生成し、場に疲労状態で置く。

【常時】《ガードナ・ケルベロス》は場に三枚までしか設置できない。




《デスブラッド・インジェクター》✝

ギア2マシン ヘルディメンション

POW4000 DEF7000 RUN10

【ゲストカード(このマシンはセンターに置けない)】

【常時】自分の場にマシンが疲労状態で置かれた場合、対象を走力+5して回復する。



「ガードナ・ケルベロスの効果! オレの手札二枚を捨てて新たにケルベロス二体を作成!

そしてデスブラッド・インジェクターの効果で強化回復する!!」


古びた救急車から飛び出したのは、巨大な注射器を構えたゾンビナース達。


疲労したケルベロス達に突き刺す。


目が紅く漲る。


ーーーーーーーRUOOOOOOOOOON!!


咆哮。


悩むような一拍の間。


「……?」


その意図を千里が察しないまま、詩葉は覚悟を決めたように動く。


「……行くぞ。強化回復したケルベロスで走行!!」


シルヴァの大狼が跳躍するとともに。


ユリカのマシンが加速する。


「…………え?」




ユリカ残り走行距離………………………95→85


シルヴァフィア残り走行距離……100→85




「!?」


詩葉(シルヴァフィア)の走りが反映される前にユリカが動いた。


抜かされまいと駆けるレーサーそのものだ。


両者が並ぶ。


駆動音が共鳴する。


「なんだ…………何が起きた!?」


「…………」


困惑する千里とは対照的に、詩葉は冷静に次の手を打つ。


「続いて最初に設置したケルベロスで走行!」


「はんっ!」


詩葉のケルベロスがが入れ替わり駆ける。


やはりピッタリ付いていく。


廃墟の街を二台のマシンが並走する。


骸が跳ね飛ばされていく。




ーーーーKIIIIIIIIII…………………!!




ユリカ残り走行距離……………………85→75


シルヴァフィア残り走行距離……85→75




コーナーを曲がったところでユリカが語りだす。


「……お店の経営ってケッコーしんどいのよね。監視を緩めたらすぐトラブル起きるし、自由な時間も経営方針の事で頭イッパイになっちゃうしー」


「?」


「でもそれって、そのぶん誰かの気が休まるってワケでしょ。そーやってそこそこ世間サマに貢献できたら、それはそれで悪くない人生じゃないかなって、そう思うのよッ!!」


シルヴァの疑問を置き去りに、ユリカが更に前にゆこうとする。


「チ……させるか!! 最後のケルベロスで走行!

同時に手札から《バリアブルグリップ》を起動!! ケルベロス二体を選択して効果を得る!」




《バリアブルグリップ》✝

ギア2チューン ヘルディメンション

【自分マシンを任意の数選択】コストカードをエンドフェイズに破壊する。また、選択枚数によってこのカードは以下の効果を得る。

●一枚以上・コストカードのうち一枚の走力を5追加する。

●二枚以上・自分は破壊したコストカードの枚数分ドローする。

●三枚以上・次の自分ターン開始時、山札から名前に『大悪魔』を含むマシン一枚を選んでセンターに重ねる。この効果はセンターがギア3以上でなければ使用できない。



「効果により二枚のドローが確定! 更にケルベロスの走力をアップする!!」


「ふーん?」


ユリカも食い下がるが…………詩葉のほうが走力が高い。


ようやく突き放し、先へとかけていく。




ユリカ残り走行距離……………………75→65


シルヴァフィア残り走行距離……75→55




「ハァ……俺はこれでターンエンド! 二体のケルベロスは破壊されて二枚のドロー。残りはルールにより手札に戻す!!」


爆散。


荒れ狂う粉塵の中、忌々しげに吐き捨てる詩葉。


その流れに、千里はついていけてない。


「今……何が起こってたんだ?」


ゲームは続く。


一人の少年を置き去ったまま。


「ーーあたしのターン! カードドロー!!」


前のターン、ユリカは特にカードを切っていない。


ここからが彼女の本番だ。


「まずは《絶桃のラッシュシード》で走行!」



ユリカ残り走行距離……65→60



「さあ、来なさいあたしのしもべ達! センターに《スケイル・ケイロン》! さらに《キルハルピュイア》!!」


奇声が上がる。


奇っ怪な鳥女と骨だけの半人半馬が現れる。


「そして設置チューン《咎人の樹》! これでこのカードが場にある限り、ハルピュイアだけは何度破壊されても再出現する!」


「!!」


大樹のシルエットが浮かぶ。


ひらり舞う木の葉をハルピュイアが啄んだ。




《キルハルピュイア》✝

ギア2 ヘル・ディメンション/マシン

POW5000 DEF5000 RUN5

【進路妨害(相手は進路妨害持ちを優先して攻撃する)】

【このカードの破壊時】カードを一枚引く。



《咎人の樹》✝

ギア1チューン【設置】 ヘルディメンション

【使用コスト・手札一枚を捨てる、または場にキルハルピュイアが存在】

【設置(このチューンは場に残る)】

【ターン開始時/自分の場に《キルハルピュイア》が存在しない】《キルハルピュイア》一枚を生成し呼び出す。




《スケイル・ケイロン》✝

ギア2 ヘル・ディメンション/マシン

POW10000 DEF6000 RUN10




「相手もヘル・ディメンション……」


女王であれば当然の事。


本家本元へ挑むミラーマッチ。


この一戦はあらゆる意味で無謀だった。


「さあ行くわよ! 《キルハルピュイア》で走行!」


怪鳥女の背に乗りユリカが飛ぶ。




ユリカ残り走行距離……60→55




詩葉に並ぶ。


「ッ!!」


「まだまだ!! ケイロンで走行!」




ユリカ残り走行距離……55→45




あっという間に突き放す。


「チャオ☆」


ユリカが彼方へと飛んでいく。


「さあ、ここからが本番よ! 重なり来なさい!!」


人馬骨の上から鋼が湧き出る。


赤錆の獣が降り立つ。


「ーーーー吠え滾りなさい!! 《インフェルノ・ウォルフ》!!」




ーーーーーGOOOOOOOOOOONNNN!!!




《インフェルノ・ウォルフ》✝

ギア3マシン ヘル・ディメンション

POW10000 DEF10000 RUN10

【自分ターンに一度/自分マシン一枚を破壊する】ターン終了までこのマシンは《二回行動》を得る

【デッドヒート10】




詩葉が乗っていたケルベロスの二回り以上巨大な赤狼。


「また……デッドヒート……」


未知という恐怖。


電子の世界で、千里はビリリとした空気を肌で感じていた。


と。




「……なーんか、自分ついていけませーんって顔してるわね?」


「?」


声に振り返ると。


二人の少年を引き連れた、赤毛の少女が降り立つ所だった。


声でわかった。


「良襖…………」


「説明、して欲しい?」


未だ仮面の女君主。


その視点は、未だ遥か高みからのものだった。

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