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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
Episode.4 試練開幕! ???vsユリカ!!
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悲劇の出会い! ある運命のターニング!?

悲鳴の元を辿る。


階段を上がり駆け付ける。


下まで響いたその声は。


よく会う知り合いの物だった。


「ギブ……ギブだから……ぐあああ!!」


「良いから大人しくしろっての……!」


組み敷くのは詩葉。


組み敷かれているのは……


「…………はい? なんでここに居るんだよ傍楽?」


組み付される目隠れのクラスメイトを眺め少年は呆れる。


「何故って……良襖の付き添いだよ! だけどよ……」


「おっと動くなよ。お前が止めに出てこなけりゃこうはしなかったんだからな」


「……? 何この状況」


状況が読めずに困惑する千里。


後ろから来た遥の顔は青ざめていた。


「だ……だってよ。あんなの見たらそりゃあ取り敢えず止めるだろ!? 千里達の事情はわかってるからよぉ!!」


「シッ……あのスペースは『防音設備』に力を入れてるようだが念の為静かにしろ。万一はある」


「俺達の事情? 防音?」


「見ればわかる」


ガラス越し、少し広いPC用の隔離スペースを見ると。


そこには。


「…………………………………………………………………………うわぁ……」


言葉を失う光景。


「ありゃ俺が傍楽でも合わせるの躊躇うわ」


「だろ?」


思わず同情したくなるような光景に、千里も優しくなだめる。


詩葉が取り仕切る。


「覚えておけ。そういう考えが横行するから世の中はなかなか上手くいかない。先へ進みたきゃ空気を読むのを辞めなきゃな……。

現在『配信』しているお知らせは無い。今やっているのは取り返しの利く『収録』だろう……突入するぞ」


『コクっ!!』


そして詩葉は勢いよく出入口の扉を開ける。




ガチャ……………!!





「はいはい!! まいどおなじみ衣音マアラです!! 今回はいよいよ、チエカとマアラの初心者講座最終回!! シン・クラス編で………………」





「おいそこな擬人化マーライオン」


「はい?」




ズ    ダ    ン




「ぴっ!?」


大きく一歩を踏み込み、その圧で牽制する。


「なぜここに居る!?」


「まんまだ……ふわふわのもこもこだ!! あの時倒した奴まんまだっ!?」


詩葉に組み付されたのは、かつて千里が倒したAi−tuba。


衣音マアラ。


それが、電子の世界と何ら変わらぬ姿で現実に出ている。


「くそ……どうなっていやがる……? まさか俺たちはいつの間にか電子の世界に来ちまったのか!?」


「バカ言えんなわけあるか! 机の横を見ろ! 女子の服がかけられているだろ!」


「!?」


灰色ベースの室内の隅。


木製のスタンドには、赤をベースカラーとした女子服が吊るされていた。


「サイズはソイツのもの……つまりソイツは女子の格好で入店した上でわざわざ電子と同じ格好に着替えた! 『配信の録画』への没入感を高める為だ!!」


詩葉は渋々といった様子で『知り合い』を見やる。


「そんな事、よほどの『信頼』が無いと無理だろうな」


「つまりマアラはここの常連って事か…………いや待てよ」


千里が思考を巡らせる。


相棒と同じ答えに到ろうとする。


「仮にも仕事の収録だろ? ここをマアラが日常的に使ってたって事は……店長に説明が無いとおかしい訳で……

店長と詩葉が、過去を知ってるくらいの知り合いって事は……それを話さないのはおかしい訳で……それを黙ってたって事は……」


脳細胞がトップギアで稼働する中、後ろで何者かの青ざめる気配。


やっば、という声が聞こえた気がした。


足元への信頼が揺らぐ。


「休息地点なんてとんでもねぇ。俺達は…………とんだ魔王城に来ちまったんじゃあねーのか!?」


百合喫茶を有する2階建ての遊戯施設。


そこがAi−tubaの拠点だったとしたら。


そこを管理する彼女ももしや…………?


「というわけだ。説明してもらおうか遥」


「あの……ほら、仕事には守秘義務ってのがあってね? なんか秘密主義らしいお仕事の邪魔はできないから……」


言って、はぐらかそうとする遥だったが。




    カ    タ    ン




「あ」


追及が隙を突く。


車の鍵のようなマークがついているが、コレは。


「なんだなんだ? 懐から名札付きのUSBメモリが出てきたぞ?」


「詩葉さん!! マアラのPCにも似たよーなのが刺さってるっすよ!!」


「ちょ!!」


「そうかそうかじゃあ試しに刺して見なくっちゃーな?」


「待って待って超待って!? ねえお願いだから話せばわかるやめて止めてやめて止めてやめてーーーー」


必死に止めるが無論、止まる訳もなくーーーーーーー






『ハーイ? 元気かしら私の可愛いしもべたち』






起動一発目の音声で台無しだった。


「(´゜д゜`)」


千里が驚愕し。


『ワタシは戌岸ユリカ。七天のAi−tubaが一人』


「。゜(゜´Д`゜)゜。」


遥が泣き。


『《極上の乗り手ユリカ》……ヘル・ディメンションの女王とはワタシの事』


「(OmO;))))」


マアラが動揺しきり。


『しもべたちをきつーく優しく導くため。今日も鞭打ち突き進んで行くわよ?』


「(=_=)…………謎は全て解けた……そうだろ遥……いやユリカ」


詩葉が白目で突き付けた結果。




「「ごめん頼むから黙ってて」くださいっっ!!」」




七天のAi−tuba、スタンピードの最高幹部。


そのうち二名による、渾身のダブル土下座が炸裂した。






(流石に草枯れるわッッ!!?)


心中でぼやきながらも、下の階から逃げずに留まった鳥文良襖。


その丹力は、魔王Yagami123としての経験から来るものか。

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