チエカの激烈チュートリアル!!
ハイハーイどうも御旗チエカです! 今回からはこのスペースでカードの紹介を行っていこうと思います! 今回紹介するのは《ホワイト・エッグ》! 所属クラスはステアリングで、パワー、ディフェンス共に4000、走力は5。ギア1なので最初のマシンに選択できて、破壊されたとき手札を見せれば場と手札のどちらにも存在しないギアを持つマシン一枚を手札に加えられます! 一見いい事ずくめに見えるこの子ですが、実は意外な落とし穴が…それについてはまた追々という事で。ではでは張り切って本編へGo!
「まずは定番のフェイズ確認です! 工程は全部で四つで、一つ目のドローフェイズは先行なので省略!」
「オッス!」
ピンク色の空の下、チエカのチュートリアルは続いていた。
「続いてはリペアフェイズ! といってもタップ…行動を起こすために横にしたカードを縦に戻すフェイズなのでこちらも省略同然ですね♪」
「…って事は次はメインフェイズか!」
「ザッツラィ! ここでは手札のカードを可能な限り使用可能! マシンもチューンも制限枚数はございません!」
「マジで⁉」
「ただし! もちろんいくつかの制約がありますよ?」
チエカが自信満々に説明する。
「まず一つ、往復ターン数以上のギアは使用できない! これは世に言うワンターンキル阻止用のリミッターですね!
二つ! センターを走る自分のマシンはギア1から2、3…といった順に重ねていかなければならない!
三つ、センターマシンのギアを超えるカードはプレイ不可。ギア上げ事故が起こったら悲惨なのでご注意を!」
「ふむふむ」
「そしてここでは攻撃も行えます! さてもう一つできる事はありますがそれは後ほど。
……ではお次はカードのステータスです!」
画面の左側に、マシンカードの画像がアップされる。
表示されているのは、今互いに乗っているホワイトエッグだ。
《ホワイト・エッグ》✝white_egg……
ギア1 ステアリング/マシン
POW4000 DEF4000 RUN5
◆『このマシンが破壊された時/コスト・自分の手札を見せる』山札から、手札にも場にも存在しないギアを持つマシン一枚を選択して手札に加える。
ギアは1。パワー、ディフェンス共に4000。そして……
「ステータスは四つ。出しづらさに関わるギア、攻撃力にあたるパワー、打たれ強さを示すディフェンス。
こちらの計算は後に残すとして……今必要なのはRUNですね」
「走力?」
「ハイ! このレースはあくまで先に100キロメートル走った方の勝利。
一度に何キロ走れるかを示す走力は火力や防御よりも重要だったりします!
今乗っているホワイトエッグの走力は5なので、とりあえず走ってみて下さい!」
「いや今もう走って…」
「カードをクリックして《攻撃》か《走る》を選ぶんですよ♪ 今攻撃できませんしできても意味無いので走るのみです!」
言われた通り、ポップアップから走るを選択。
ホワイトエッグのカードがタップされる。
瞬間。
「うぉっ⁉」
画面がより早く流れ、隣にあったチエカの顔を置き去りにしていく。
変わりに大空のスペースにチエカの顔が浮かぶ。
先程とは少し、周囲の景色も違っていた。
「とまぁこんなふうに表現される訳です! 今5キロ走ったので残りは95キロですよ♪」
「な、るほど…じゃあもう先行だしターンエンド?」
「まさか。手札を見てください!」
「手札……」
手札のカードは全てマシンだった。ギア2が二枚にギア3一枚の他に、ギア1のカードが二枚ある。
「センターのギア以下……同じギアでも場に出せる、か」
「ザッツラィ! ただし自分の乗るマシン以外は霊体となり、そのままでは走行距離を稼ぐ事はできません!」
「ウッソーン⁉」
「ご安心を! ここで乗り換えのルールをご紹介! 同じギアを持つマシンとならセンターとの入れ替えが行えます! これを繰り返す事で全てのマシンの走力を使い切る事ができます!」
「ナイス!」
喜び勇むセンリ。早速二枚のカードを出そうとするが…
「じゃあ手札のグリーンタートルとレッドオポッサムを…なんだ? 召喚?」
「いえ普通に呼び出しで……用語は極力減らしていく方針ですので!」
「オーライ! ……お呼び出しだぜ!」
二枚のカードを選択し、フィールドに呼び出す。
半透明ではあるが……緑色の亀を思わせる大きな躯体と、小動物をイメージしたと思しき赤い小柄のバイクが出現する。
「グリーンタートル、レッドオポッサム! んで早速レッドオポッサムと入れ替えだ!」
発光するカードに触れ指示に従うと、エッグとオポッサムの位置が入れ替わる。
エッグが半透明になり、変わりにフェニックスの色彩がより鮮やかになった。
「コイツも走力5か…当然走行! 最後にグリーンタートルとも入れ替えだ!」
再び景色が加速度的に流れる。
その後再び乗り換えが行われ、安定感のある緑の四輪に落ち着いた。
「最後の走行だ。これでまた5キロ進むぜ!」
みたび場所が移ろう。
もはやセンリアバターが走る場所は、完全な山道になっていた。
最も、砂糖の糸の葉が舞いスフレとシュー生地の山肌が覗くクッキーの山道だったが。
そしてセンリは、何かに納得したように呟く。
「……なんとなーく分かって来たかもな。
手札のギア2《ブラッド・ハーレー》や《ゴールデン・ハイウェイキッド》は走力10キロ、ギア3《グレイトフル・トレイン》は15キロだ。
つまり走力はギアごとに基本固定で、だからこそギアをたくさん上げて横に並べる必要があるってことか」
「イエース! ひょっとして検索してきました?」
「うんにゃ。ともあれこれでターンエンド、だよな! アレか、先行だけで15キロも走れたけど、これって案外決着早く付くやつ?」
「まあそれは場合によりけりなので。どのみち途中まではチュートリアルですし、まだ気にせず楽しみましょう!」
「オッス!」
「ではではワタシのターン! ドッロー‼」
大空に浮かぶチエカが声高くカードを引く。
「ではお次はマシンのギア上げ、そしてマシン同士がバトルするとどうなるのかについて解説しましょう!
の前にまずは……お呼びですよグリーンタートル!」
相手方にも緑の亀が出現する。
手札も同じなのだろうか?
「続いてエッグとタートルを入れ替え! でもって《走れ》グリーンタートル!」
いつの間にか、画面最上部にお互いの距離を示すバーが表示されていた。
チエカがぐぐっと迫る。
「っつ!」
「さ~って追いつけ追い越せです! 先程説明したようにギア上げのさいはまずセンターに重ねますが、
下のカードがタップされていても上のカードに影響は出ないのでご了承を……では」
大空に映るチエカが腕を振り上げる。
映り込むグリーンタートルが発光を始める。
「ーーーー重なりいでよ。《リーサルライド・ベーシック》!」
「え」
手札はどうやら別物らしい。
燃える紅蓮の魔改造車が現れる。
《リーサルライド・ベーシック》✝
ギア2 スカーレット・ローズ/マシン
POW8000 DEF7000 RUN10
そして彼女はなんのためらいも無く《走る》事を選択する。
両者が15キロ地点で並ぶ。
特撮戦隊にでも出てきそうな車に乗り込むチエカの姿がそこにはあった。
「ふぃー! 盤面はあんまし進んでないのに説明することばっかりでやけに長く感じますよもう!」
「……俺も正直パンク寸前っす」
「いやいやまだまだ前フリですよ! フリ落とされないようにご注意下さい!」
「お、おう……」
やけに気合いの入ったチエカの気迫を見て、センリは少し気圧されてしまうのだった。
とはいえ、聞いて置かなければならない事があった。
「ところでさ」
「ハイなんでしょう?」
「バトルの説明に入るって言ってたけどよ、俺が乗っているマシンがバトルとかで破壊されて無くなったら俺どーなんの? ひょっとして徒歩?」
「いえいえご安心下さい! センターのマシンは最低でも一枚残る仕様ですので!
例えばワタシのハイウェイキッドが破壊されると下になったマシンに戻りますが、現状アナタのセンターには一枚しか存在しない為絶対に破壊されません!」
「そっか。んで俺が今乗ってるカメさ、パワー0のディフェンス7000なんだけど、これ壁役ってことだよな」
「ハイ! アナタが安心、安定して攻撃できるよう生き残るため、
片手間では破壊されないように高いディフェンスを持っています!」
「だよな…もう一つ質問良いか? センターにギア1の壁置く意味あるの?」
「勘が良すぎると嫌われますよ」
ゾッ、と。
一瞬だが、彼女の雰囲気が黒く染まった。
「…………!」
「さあさレースは始まったばかり! 張り切って参りましょう!」
すぐに元に戻ったが…これはヤバイ事態だと体が告げていた。
観察せねば。
例え全てが掌の上でも、何かをもぎ取って行かなければマズイと認識した。
故に挑む。
これより先の試練に、心血を注いで。
ゴールまでの距離…………センリ、チエカ共に85キロ
ちらりと見えた悪巧みの影。千里君はどう立ち向かうのか! 次回「観察するスタートランナー!!」Passion for sprinting‼