スイート・トラップ! 千里vsマアラその1
チエカのカード紹介コーナー!
今回紹介しますのは《マッチメイク・タンクローリー》!
《マッチメイク・タンクローリー》✝Match_make_Tank_rolly…
ギア3マシン スカーレットローズ
POW10000 DEF10000 RUN15
【場のギア1三枚をセンターに重ねる】山札、手札の何れかからこのカードをセンターに重ねる。この効果はレース中一度しか使用できない。この効果で場に置かれたこのカードは以下の効果を得る。
●【二回行動(このカードの行動後、一ターンに一度のみ自動で回復する)】
●【このマシンの登場時】お互いの残り走行距離を100追加する。
今回より情報サイト形式でご紹介! 早い話が追い詰められた時のための切り返しとなりうるカード! ゲームの走行距離を倍化させる事で長期戦に持ち込み、スカーレット・ローズの弱みをチャラにしてしまいます!!
いやー前回は色々申し訳ありません! しかし今回からは問題なく、更にパワーアップしてお送りしますので! ではでは早速本編へGo!
「ん」
鳥文良襖は、物静かな自宅に居た。
無駄に明るいリビングの中、ふんわり感重視のソファーに沈み込んでいる。
広すぎるマンションの部屋、6LDKのどこにも両親は居ない。共働きでいつも忙しいのだ。
とはいえ。早熟だった彼女に特に苦はなかった。料理はわりと得意だったし、主に自室で過ごすのでリビングが散らかる事もそうはない。
たまに、どうしようもなく温もりが欲しくなるときもあるが……その時はオコズカイで近場の百合喫茶なるものに向かう。
店長の女性と彼女は親しい仲だ。思いっきり抱きしめてもらい、寂しさを埋めるのだ。
と。
ピロン、という音とともに、彼からのダイレクトメールが届く。
これも、彼女の寂しさを埋めてくれる温もりだ。
《風間傍楽》
見ろよネットニュース。《カードレース・スタンピード!!》の事が乗ってるぜ!!
級友たる傍楽からの着信。
それを見て。
リンク先を見ながら、彼女の顔がにやける。
【騒然】カードゲーム_スタンピード!! にて謎の難易度上昇? ユーザーに動揺……
「ふーん、注目されてるじゃない」
その呟きは、彼女だけのもの。
彼女はだいたいの時において、邸宅の主だった。
《魔弾の撃ち手マアラ》✝Magic_bullet_MARA…
ギア4マシン ステアリング
POW 0 DEF 0 RUN 0
【デミゲストカード(このカードは自身の効果か同クラスとの入れ替えでしかセンターに置けない)】
【拘束(このマシンは疲労状態で場に置く。リペアフェイズにこのマシンは回復しない)】
【自分マシン一枚を破壊/自分のターン毎に二度まで】このマシンを回復する。この時コストでセンターを破壊していた場合、このマシンをセンターに置く事ができる。
【このマシンを疲労】以下のうちから一つを選択して使用する。
●カードを二枚ドローする。
●相手マシン一枚を選択して使用する。対象をターン終了まで攻守-15000、走力-30で補正する。
●相手のDEF10000以下のマシン一枚を選んで破壊する。
●このマシンが走行可能だったならば使用できる。30キロ走行する。
「……大丈夫だろうか」
予想外の状況に顔が歪む。
これまでのマアラは、どこか対戦相手に遠慮するような立ち回りが多かった。職務の都合以上に……それは彼自身の気質だった。
自身を模したカードも、使う効果はデバフやドローなど補助的な効果ばかりだった。そもそもアレをセンターに置く事自体がこのクエストにとって異常事態なのだ。
とはいえ。
(レースは既に始まった。信じるしかないか……)
アレには可能な限りの策を授けた。
……はずだ。
そしてコース。
序盤が流れていく。
「俺の先攻! ファーストマシン《赤塗りのパトライド》で疾走! ターンエンドだ!」
《赤塗りのパトライド》✝
ギア1マシン スカーレットローズ POW1000 DEF1000 RUN5
【このマシンをセンターの下へ重ねる】センターの一番上にあるマシン一枚を回復する。
センリ残り走行距離……100→95
「僕のターン、ドロー! 僕もセンター《菓子組みポッポ》で走行!! 続いてギアアップ《シュクレフィレ・クラウド》!」
マアラ残り走行距離……100→95
センリの位置にすぐ追いつく。
綿菓子の浮雲に乗り換え、その走りは加速する。
「続いていでよ《ミニミ・ショックガン》《パンプキン・チャリオット》!!
いざ入れ替え疾走! ミニミ、パンプキン、クラウド!」
《シュクレフィレ・クラウド》✝
ギア2マシン シュガーマウンテン
POW5000 DEF5000 RUN10
【常時】相手はギア2マシンで走行または攻撃できない。
《ミニミ・ショックガン》✝
ギア2マシン シュガーマウンテン
POW5000 DEF5000 RUN10
【このマシンの走行終了時】カードを一枚引きお互いに確認する。そのカードがマシンなら、捨て札にして自分の疲労マシンの数×5だけ走行する。
マアラ残り走行距離……95→85→75→65
「む……」
「ここでミニミの効果! 行動終了ターン、カードを一枚引いてマシンなら、ドローカードを破棄して『行動終了マシンの数×5』の距離を更に進む!」
「!? ったく、出やがったないつもの水増し効果!」
「スカーレット・ローズ以外では常識なんです♪」
マアラ残り走行距離……65→50
「これで僕はターンエンド。ちなみにセンターのクラウドの効果であなたのギア2以下のマシンは行動不可ですのであしからず」
「あいっ変わらずこのゲーム鬼だな!?」
だがハートの表情は明るい。
彼には頼れる相棒から受け取った策がある。
状況を静かに見守るシルヴァファイアは呟く。
「ここからだ。訓練が生きるのはな」
「俺のターン、ドロー……ギアアップ《パイクリート・サイドライド》!」
《パイクリート・サイドライド》
ギア2マシン スカーレットローズ
POW8000 DEF8000 RUN10
【ダブルギア1(ギア1のカードとしても扱う)】
【常時/センターがギア2でない】このマシンの攻守と走力を半分にする。
小豆氷の三輪バイクが組み上がる。
行動は続く。
「続いて、ギア1チューン《アンガー・オブ・モービル》。お互いの手札を山札に戻し、もどした枚数分のカードをドローする……」
「?」
《アンガー・オブ・モービル》✝
ギア1チューン スカーレットローズ
【自分の手札を全て山札に戻す】相手は自分の手札を全て山札に戻す。その後山札を切り、お互いに戻した枚数分ドローする。その後自分はこのターンに使用したアシストの数だけ更にドローする。
これは探る行為。
次に繋がる力を探る行いだ。
そして力は来た。
「……ビンゴ!!」
ハートの笑みが爆発する。
「なにか良いの引きましたね?」
「おうよ。これからじっくり見せてやる!」
そして行動は始まる。
「ギアアップ《ダイナモ・アーミー》!!」
《ダイナモ・アーミー》✝Dynamo_army…
ギア3マシン スカーレット・ローズ
POW12000 DEF 9000 RUN 15
「更にだ。ギア3チューン《当然のマニュアライズ》!」
「……!! まさかあなた!?」
「ああわかるか。俺がこれから何をするか!」
それはセンリの宿題だった。
《当然のマニュアライズ》✝
ギア3アシスト スカーレットローズ
◆山札から、ギア1カードをランダムに三枚手札に加える。
(どうやら、上手く引き寄せたようだな)
加速する観客席から、シルヴァハートは相棒を見守る。
彼らは事前に「仕込み」を終えていた。
(《当然のマニュアライズ》はデッキのギア1をランダムに3枚、手札に加えるカード。確定サーチが可能な上位版であるマニュアライズ改に比べれば劣る事もあろう)
「続いてピットアウト《先導のルシフェル》! その登場時効果で、直前に使ったチューンカードを再発動!」
《先導のルシフェル》✝The_Vanguard_of_Lucifer…
ギア2マシン ステアリング
POW 5000 DEF 5000 RUN 0
【ゲストカード(このマシンはセンターに置けない】【登場時】自分が直前に使用したチューン一枚の効果を再び使用する。
【ターン終了時】このマシンを破壊する。
【自分ターン開始時/手札一枚を捨てる】捨て札のこのカードを手札に戻す。
(だったら『サーチされる側』を絞れば良い。このコンボで引けるギア1は計六枚。その中に《アンガー》が一枚でもあればコンボのシメができる)
「そして……手札から再び《アンガー・オブ・モービル》を発動!」
(ならば答えは簡単……山札のギア1を九枚にすれば良い。四積みしたアンガー込みでな。
そうすればアンガー以外のサーチ先は五枚しかない。どんなに運が悪くても、六枚目には確実にアンガーを引く!!)
(この三枚が未来を切り拓く! 鬼のような強さのAi-tuba共の戦場に足をかける、スカーレット・ローズの上等ギミック! その名も…………)
「【マニュアルターボ】だっっっ!!」
一時は三枚まで減ったハートの手札が、一気に九枚まで回復する。
歓声が上がる。
観客席からシルヴァハートが叫ぶ。
「そのままだ! そのまま畳み掛けろ! ハートォ!!」
「おーよファイア! 俺はギア3チューン《リーフ・エンブレム》を発動! コイツをセンターの下に敷く!!」
《リーフ・エンブレム》✝
ギア3アシスト【装備】 ステアリング
【装備(このアシストはマシンの下に重ねて置く)】
【上になったマシンの破壊時/このカードを捨て札へ】条件となった破壊を無効にする。
【このカードを含む場札二枚を疲労】上になったマシン一枚を回復する。
「う、まさかそれは!?」
「コイツだけじゃあ無い! ピットアウト、赤塗りのパトライド!!
ーーさあさ総員お立ち会い! これより始まるは剛烈怒涛の三連疾走!!」
シルヴァハートの……………いいや二人のシルヴァの連携によるショーレースが始まる。
「まずはダイナモアーミーで疾走!」
ハート残り走行距離……95→80
「更に《赤塗りのパトライド》の効果! 自身をセンターの下に重ねる事で、センターの走力を5追加した上で回復!! 再度疾走だ!!」
ハート残り走行距離……80→60
「むぅ……」
「そしてだ」
センターの下。二枚のカードがタップされる。
「リーフ・エンブレムの効果。センターが効果の無いマシンであるなら、自身を含む二枚の敷き札をタップしてセンターを回復する!」
「なるほど……みごと」
ハート残り走行距離……60→40
コンボは全通過。
一気に50キロ地点のマアラを抜き去る。
激は止まらない。
「勢いを殺すな! そのまま行けェエエエ!!」
「あたぼうよ!! ピットアウト《マッチメイク・タンクローリー》!」
双碗を生やした巨大な躯体が現れい出る。
通常の手段で呼ばれたタンクローリーは、シルヴァファイア戦の時のようにコース追加や二回行動はできない。
だが追撃はできる。
削れるだけ削る。
そう思っていたが。
「俺はタンクローリーを……」
「させるものですか!! チューンカード《キャラメル・スタンプ》!! 対象一枚の入れ替えを禁止するっ!!」
《キャラメル・スタンプ》✝
ギア2チューン シュガーマウンテン
【相手のセンター以外のマシン一枚を選ぶ】対象の走行、及びゾーンの移動を禁止する。
「……チィ!」
よろしくない。リアを駆けるタンクローリーはキャラメルに埋もれその場を動けなくなってしまった。
このターンはこれ以上走れない。
だがやれることはある。
「タンクローリー! そこな厄介な食玩ヤローに攻撃!」
攻撃に伴い、丸い穴のような物が10キロの距離を繋ぐ。
そこから除く巨大な黄色の躯体。取付けられた金属椀が肥大化した食玩を掴む。
握りつぶす。
WIN タンクPOW10000vs5000DEFショックガン LOSE
「うわっ……」
プラスチックの破片が散らばり……消える。
そうして、静かな声が聞こえてきた。
「……まさか、現環境の上位に通ずる戦術をここで見るとは思いませんでした」
「ああ。俺も過ぎた力なんじゃないかと疑う事もあった」
静かな問いかけは、速やかに熱を持つ。
「だが容赦無く引き金を引くお前を見てその迷いは焼ききれたさ。いろんなカードゲームを遊んできたからわかる! このクエストは最初の試練としてあまりにも難易度が高すぎだぜ!!」
「ほう……高すぎると? しかしそれはあなたの主観では?」
寒気だつ程穏やかな返しに、しかしシルヴァハートは圧されない。
「いいや違う。お前自身のカード、魔弾の撃ち手マアラの使い方からして昨日までとは別物だって聞いている。
それにシュガー・マウンテンの特色、ランダム要素をさっきからほとんど見ていないぞ!
狩るための仕組みを感じる……予告もなしに、昨日の今日でぬいぐるみから猛獣になったかというほどの豹変っぷりなんじゃないのか!? これは明らかな異常だ!! 一体何があった!!?」
「…………宣戦布告シテオイテナニヲ」
「!??」
まただ。
チエカの時と同じ、表から裏に切り替わる音を聞いた。
観客席からもどよめきが漏れる。
いや。
「さっきから……染み出てはいた。お前! 何か企んでいるなッ!!」
「ふふっ……半分ってところですか」
白く小さな躯体から闇が滲み出る。
「僕は新入りのペーペーですよ? 僕ごときに何かを企む力があるわけないでしょう」
「なら、その上……いや、まさか……」
「これ以上の言葉は無粋。今は。さあレース続行です。やる事がとくに無いならエンド宣言を」
「つ…………ターンエンド。ルシフェルは効果で自壊!!」
しぶしぶターンを明け渡す。
10キロ後方、白い獣が牙を剥く。
「僕のターン、ドロー! 僕はセンターにパンプキン・チャリオットをおき疾走!」
「させるかよぉ!! 手札からギア3チューン《進路妨害》発動! 効果でセンターへの攻撃を強要する!」
《進路妨害》✝
ギア3チューン スカーレットローズ
◆このターン、自分のセンター全てに【進路妨害(相手のマシンは行動時、進路妨害持ちへの攻撃しかできない)】を与える。自分のセンターマシンが一枚のみの時この効果は消滅する。
チャリオットの前方、縦一線にジッパーで切り開くように空間が裂ける。
立ち塞がるのはハートが乗る、電光滾らす発電車だ。
「ふっ!!」
LOSEパンプキン POW5000vs9000DEF ダイナモWIN
「ここで僕はチューンカード《チャレンジ・ザ・ネクスト》を発動! このカードをセンターの下に置く!」
「……?」
勝敗に従いかぼちゃの馬車が吹き飛ぶ。
ルール上の処理で並走していたマシンが手札に戻る。
ジッパーが閉じ、マアラのマシンがビスケットの小汽車に戻る。
「なんだ? 結果が変わらないぞ……?」
「ここでパンプキンの効果! ダイスを一度振り、出た目と同じギアを持つカード一枚を手札にくわえる!」
「んだと?」
《パンプキン・チャリオット》✝
ギア2マシン シュガーマウンテン
POW5000 DEF5000 RUN10
【このマシンの破壊時】六面ダイスを一回振る。こうして出た目と同じギアを持つカードを山札から選んで手札に加える。
「ランダム効果、見たければ存分にみせましょう! ダイスロォォオオオオオル!!」
ダイスの出目……6
結果は大ハズレのはずだが、まだマアラの笑みは消えない。
「? なんだよギア6はこのゲームに無い……」
「ここで先ほどセンターに置いた《ネクスト》の効果です。出目が気にいらなかったのでこれを疲労させてふり直します♪」
「ゲ!?」
「再びダイスロォオオオオオオオオル!!!!」
《チャレンジ・ザ・ネクスト》✝
ギア1チューン【装備】 シュガーマウンテン
【このチューンを疲労】自分のコインまたはダイスを使った判定をやり直す。
ダイスの出目……6→4
「やりましたっ♪ 僕は僕自身のカード 《魔弾の撃ち手マアラ》を手札へ!」
マアラの手札に切り札が加わる
撃鉄は下げられたということか。
「さて、準備運動は終わり……ここからが本番ですよ?」
10キロ後方。
白い獅子から、威圧が漏れる。
ゾクッとする悪寒がハートを包む。
(くそう! 今こいつここまでのやり取りを準備運動って呼びやがったッ! 勝ってる気がしない! 距離もセンターのギアも勝っているのにまるで底が見えないッ!!!)
「では参りましょう。シュガー・マウンテン領域管理担当……衣音マアラ、その真髄をお見せしましょう!!」
これが楽しむ以上に重大なナニカだと実感する。
気合いを引き締める。
絶対に勝たねばならないと改めて思う。
「さあ……行きますよッ!!!」
気迫とともに、そして行動は始まる。
突如として豹変するマアラ! 度を超えた試練をもってハートを砕かんと襲い来る! そして、あのカードの姿も……?
次回「スイート・トラップその2」お楽しみに!




