スタンピードカードMiki 《暴虐皇カイニネウス》
《暴虐皇カイニネウス》✝
ギア3マシン ステアリング POW11000 DEF10000
【攻撃時】このマシンのパワーを倍にする。その後のターン終了時に、このマシンのパワーは5000になる。
【このマシンが攻撃または効果で選ばれた時】このマシンを山札に戻す。その後ギア3のマシンを呼び出し、このマシンの代わりに選ばれ直させてもよい(この時【登場時】の効果は起動しない)。
STPDー01で登場したマシンカード。攻撃時のパワー増加能力と、選ばれた時に山札に戻り別のギア3に化ける能力を併せ持つ。
■概要✝
なんと言っても目を引くのはその攻撃性能。素では平均より若干高い程度だが、攻撃時には22000とあの 《豪鬼の狩り手ルイズ》をも単騎撃破する程の斥力を見せる。
しかも「元々の」の記述が無いためバフを詰めればその分を含めて倍加でき、より高い守備力を持つ三万点サイクルにも対応可能。最近登場したイベントカードの対処にも役立ち、各種強化を爆発させる砲台になりうる。
雑に使っても往復四~五ターン目の攻撃ではほぼ無敵であり、センターだろうとリアに置こうと腐らないのは強み。
デメリットとしてターン終了時にパワー5000で固定されてしまうが、鉄砲玉としての運用方やこのマシンがステアリングであること、後半の効果を考えればあってないようなものだろう。またこの状態から倍加効果を再発動できるので、生存しても10000打点は保証されてるのでそれなりに安心できる。
二つ目の効果で、選ばれた時に山札のギア3と交代する。
残念ながら登場時の効果は使えないが、どのタイミングでも活躍するこのマシンを山札に残せるのはかなり優秀。
むしろ誰を身代わりにするかという話になる。当然ながら登場効果型を出すと損が出るので、このマシンで呼んでも意味があるタイプを選びたい。 《ミスター・トレーラー》なら撃破前にギア1を呼んで残せるため悪くなく 《ウェブシークデーモン》なら守備力15000の進路妨害持ちのため良い牽制になる。
しかし大半のギア3は登場時に効果を使ってギア4に繋ぐのが基本。前述のデーモンをセンターに残しても活かせるのはラバーズサイバーくらいで、ギア1が残ってもスカーレットローズ以外は邪魔になる場面の方が多い。
一応 《グレイトフル・トレイン》を呼べば確定除去以外は耐える目があるが、相手依存のため最悪無視されかねない。
だからといって開き直って無駄死にを許しても、今度はデッキとしての純度が偏り回転率が下がる。
そもそもこのカードは役にこそ立てど勝利には直結せず、最終盤では引いても嬉しくない可能性もある。もちろんギア4の素出しには貢献するし、実質22000点火力が弱いはずがないのだが、さすがに走力を伸ばしたい場面、アドバンテージを稼ぎたい場面で引きたいカードではない。
総じて、このカードにステアリング枠を消費するべきか否かの線引きは非常に悩ましい。
言ってしまえば小型の 《極上の乗り手ユリカ》である。あちらから出しにくさを取った代わりに打点の基礎値を下げ、デッドヒートの代わりにデッキに戻るようになった。
しかしあちらですら評価は割と厳しく、向こうの欠点も主に走力の伸びにくさとされているのを考えるとこちらはより悪化してすらいる。ギア4の着地を促すこちらとギア4が居てこそ呼び出せるあちらは庇い合う関係にあるのだが、流石にその目的でステアリング枠を消費するなら素直に 《絶影・スナイプシュリーカー!!》を投入して蘇生を狙った方がいい。
なら開き直って火力除去呪文として扱いたい所だが、ステアリング枠に余裕が無いデッキはこのカードに枠を割くと勝ち札を積めないケースも多い。逆に余裕がある場合はデッキ内だけで回した方が強いがケースが多く、グッドスタッフ気味なのに回転を妨げるこのカードの居場所はそうそうない。
蘇生用の弾としては弱く、かと言ってセンターを塞がぬようリア専用のゲストカードのように扱うのも厳しい。
そもそも攻撃はともかく、効果で選ばれただけでもアウトなのはさすがに貧弱過ぎである。殴ろうとしても雑にで止まる可能性もあり、ステータスを生かしきれる保証が無いのが相当に厳しい。一万の守備力のおかげで 《死骨の愛で手シイカ》などそこそこの火力まで弾けるのは幸いだが、残念な事に 《魔弾の撃ち手マアラ》の圏内。彼は攻守15000点のデバフも持ってるため、敵対したら一巻の終わりである。
もしステアリングでなければ、デッキ送りではなく破壊だったら……など、どれかひとつが足りない惜しいカード。今後のプッシュ次第で化ける可能性は十二分にあり、期待が持たれる。
■環境にて✝
最初期の【グレイトフル・トレイン】にて露払いをしつつ、軸札である 《グレイトフル・トレイン》を引っ張り出す役割を持っていた。あちらは味方マシンを吸収して防御力を上げられる上、倒された場合も 《クライマックス・ラン》で蘇生する弾が装填されるので無駄がなかった。
擬似的ながら軸札を実質八枚投入できるのはありがたく、こちらで 《ルイズ》などを処理しあちらに走らせるなどの立ち回りも出来た。
しかしSTPDー2になると小型の【進路妨害】による遅延戦術がメジャー化し、特大打点が自慢のこちらの強みが活きにくくなった。
更にギア踏み倒しのルートがいくつか揃ったことでギア4を素出ししやすい利点も霞む。「進路妨害を持たない半端なマシンは下手に攻撃しない方がいい」言説が広まり、普通に放置されるケースが多発。五枚目以降のトレインとして運用するには無理が出てきた。
同期に出た進路妨害をつけるマシンを敷きたい所だが、このカード単体では該当カードのサーチも吸収も満足に行えないため次第に邪魔に。デッキタイプの主流が【積みチエカ】と混ぜたタイプに移るに連れてこのマシンの立場はなくなり、ルール変更を待たずしてデッキから抜けて行ってしまった。
その後はSTPDー3で新登場したイベントカードの対策として一瞬注目されたが、結局小型イベントの乱立によって再度利点は消滅。デッキの動きも妨げるとして採用は見送られた。
■余談✝
元ネタはギリシア神話の登場人物カイニス/カイネウス。元は女性だったが海の神ポセイドンに「汚された」際に償いを志願され、ならばと二度とこんな事が起きないよう男に変えてくれと頼み叶えられたという。
TCGにて山札への移動は海のうねりに喩えられることがあり、後半のリクルート部分が性転換に符号する。
なお強靭な肉体を手にしたカイニス改めカイネウスは神を侮辱する勢いで暴れ回るが、状況を重く見たゼウスの差し金であっけなく無力化、死亡する。高い打点とその後の弱体化はこちらの表現だろうか。
ちなみにリクルートの対象として再びカイニネウスを選ぶと、再び効果でデッキに戻るため気が済むまで処理を繰り返せる。
一見するとなにかの拍子に暴れそうだが、実はカイニネウスの【登場時】効果の無効は【味方マシンの登場時】などほかの語句が含まれていても範囲に含まれる。このため味方の登場をトリガーにしてアドバンテージを稼ぐカードとの組み合わせは不可であり、滅多なことでも起きない限りはループのエンジンに使えない。
ちなみに自力でループを止められない事態にならないよう後半のリクルートは任意になっている。山札のギア3がカイニネウスしか無くても、プレイヤーが諦めればゲームを続行できる。
バグなのか、たまに【ワイルドステア】という謎の能力が表示される。詳細は不明だが、もしかしたら不遇の穴を埋めるアッパーナーフの予兆かもしれない。
■関連カード✝
◆サイクル
STPDー1にて、性別が曖昧な伝承を煮詰めたマシン三台のサイクル。ギア3ステアリングで統一されており、カイニネウスで自身を含む三台全てを呼び出せる。
《暴虐皇カイニネウス》
《華麗剣デオーネ》
《殺人姫ジャックリーナ》
◆このカードを使用する主なデッキ✝
【グレイトフル・トレイン】