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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode 11.5 外伝封入。電子の海の一大バカンス!!
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解決への爆進。全員総出のイベント攻略・前編!!

『キルハルピュイア共がやられたようだなァ、ええ?』


『ですが、あれ等は所詮畜生の集まりに過ぎません』


『ボクら三羽烏の足元にも及ばない連中だよねー♪』


どこでもない場所にて彼女達は会談する。


カイニネウス、デオーネ、ジャックリーナ。


もとより存在があやふやな伝承を煮詰め固めた存在だったが、今回のボス・エレンの手によって魔改造されていた。


双腕の代わりに美しい翼を生やした三名は、ハルピュイアより派生した伝承の獣人、ハーピーを思わせる。


それも道理。彼女らの起動にはチエカの粒子以外に、キルハルピュイアそのものをまるごと使ってもいるのだ。


見た目と裏腹の歪な縫合。創造主を嘲笑う侮辱者(ディスペクター)の所業。


それ故にか、ある意味同族である怪鳥達への情も一切ない。


『さーて、間もなくオレ達を倒しに敵が来る。やる事はわかってるよなぁ?』


『無論です』


『もっちろーん♪』


自分の姿が改変されても彼女達はお構い無し。


彼女達は、この一件と共に産まれたようなものだ。


故に今ある情報が全て。


『言うまでもない事ですが私たちの主はタギーなどではありません。それを忘れないよう』


『アタボー。オレ達に心をくれたのはあのエレンってヤツだろ?』


『そりゃ恩返しくらいしないとねー♪ ある意味ボクらのママみたいな人なんだしさっ。親孝行親孝行♪』


雛鳥が殻を破り、最初に目撃した者を親とみなすように。


彼女らにも親子の関係が刷り込まれていた……が。


『それじゃ、ぼちぼち迎撃の準備でも…………ん? なんだァこの音』


そこに割り込むように、カイニネウスの元に『何かが迫る。


『? 何も聞こえませんが』


『ほらこの音だって聞こえるだろなんだコレ!?』


『さぁ? 代謝したジャンクデータを貴女の臀部から放った音では?』


『ア゛ァ?』


『あーちょい待ち、確かになんか聞こえない?』


以外と毒舌を放つデオーネに反し、幼気な雰囲気に合わず冷静を述べるのはジャックリーナだ。


『……ていうか、こっちからも聞こえるような……』


『奇遇ですね。こちらからも何か……』


『ア?』


『んー?』


『おやおや?』


ーーーー彼女達は、あくまでもエレンの一部を分け与えられ意のままに操られる存在。


だからこそ躊躇う理由が消えた。


従属するだけの手足を撃つ憂いはない。


誰かの決断が、地響きに変わった…………。






「な、なんだよ……?」


本来の座標に戻ったジャックリーナが呻く。


音は彼女らの本体達が捉えたもの。


三つの座標へ同時に地響きが、いや海鳴りが近づく。


彼女達は気づかなかった。


既にすぐそばまで、群れなす死神が迫っていることに……














『御三方はワタシ達の先導をお願いします』


死刑宣告は数刻前に済んでいた。


本体と独立した人格の水着版チエカ、しかし場を仕切る能力は健在だった。


『ミナサマがご存知の通り、ワタシ達はこのゲームに適正があります。しかしまあ……なまじここに居る個体は経験値不足でして』


『まー、本家との相互通信もできない訳だしな。……んで先導って何すんの?』


『自動指揮に教え込むようなものです』台本でもあるかのようにすらすらと。『幾千人に増えたワタシ達に手本を見せつつ、誤作動(プレイミス)をしないように見張ってください』


一部のデジタルカードゲームでも取り入れられ始めたオートプレイだが、このスタンピードでは実装されてない。


だからチエカ達で代用する、という話。


話相手となっていた千里が訝しむ。


『ちゃんとやれるのか? 百万の試行回数を、そんだけ不安定なオマエラで』


『兵力は問題ありません。ただし使いこなし、成し遂げるかは指揮官次第です』


その目は信頼だけではない。


『確実に勝利が訪れる』という、確信めいた輝きを放っていた。


そして二重の意味で、愛くるしく締めくくる。


『さあどうぞ……ワタシ達を使い倒してくださいな♪』












かくて三乗の厄災が起こる。


津波の如き大海のうねり、その合間にチラつく金色。


その数は、百や二百ではきかない。


「ま、まさか……嘘だろ……オイ?」


兵力が違う、と気づかされた。


スタンピードをプレイする者の常識を、彼女らは持ち合わせてなかった。


そもそも。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


金色の波が断崖を越える。


遥か空まで覆うかと思える程のそれは一斉に()()()()()()()()










「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「たーーーーーーーーーどーーーーーーーーりーーーーーーつーーーーーーーーーーーいーーーーーーーたーーーーーーーーーゾーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


『『「い、いやああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!」』』






かくて絶叫は三重に奏でる。


無数で無敵の看板娘達が押し寄せる。


大量の分身を積み、島すら造り上げるチエカの。なんでもアリ加減は水着でも変わらなかった。


幾百を超える大軍となった金髪ロングの超絶美少女が、古城の如き敵拠点を踏み荒らす。






ーーーー今この時より、全員総出のイベント攻略は始まったのだ。

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