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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode 11.5 外伝封入。電子の海の一大バカンス!!
175/190

夏休み特別編〜電子の海にて会いましょう♪〜その6

千里残り走行距離…………20


キルハルピュイア残り走行距離…………20






「俺のターン、ドロー!!」


海風をかき分ける激戦。


照り付ける太陽の下、渚を駆ける熱戦は千里の先行から始まった。


「手札から《アドバンスフォーミュラ》を呼び、ファーストマシン《コズミックエッグ》の効果で培養する!!」




《アドバンス・フォーミュラ》✝

ギア1マシン スカーレットローズ POW 0 DEF 0

【常時】自分マシンの走行距離は全て+1ずつされる。




《コズミック・エッグ》✝

ギア1マシン ステアリング POW 0 DEF 0

【潜伏/自分の場にギア1マシンが置かれた時】発動条件となったマシンと同名のマシン一枚を山札から一枚選び場に呼び出す。




「さあ行くぜ!《アドバンスフォーミュラ》二体と 《コズミックエッグ》で走行。三体の走行距離は、アドバンス二台の効果で+2ずつされる!!」


『フン……』


波を切る音が心地よく響く。


いつものロードレースとは違う、水煙を上げる走りだ。




千里残り走行距離……20→17→14→11




定番のギア1戦術。


フライング気味の先制走行も、それだけではハルピュイアに響かない。


「っと……俺はこれでターンエンド」


『デハ我々ノターン、ドロー!! コノドローハ、ファーストマシン 《咎木の手押し車》ノ効果デ、テキスト二 《キルハルピュイア》ヲ含ムカード二変換!!』


「……ほーん?」


初動だけでデッキがわかる。


隠す気がない、そんな面倒とは無縁の山だ。




《咎木の手押し車》✝

ギア1マシン ヘルディメンション

POW 0 DEF 0

【自分ドローフェイズのドロー時】 ドローの代わりに、その枚数分デッキから 《キルハルピュイア》と名前またはテキストに書かれたカードを選んで手札に加えても良い。

【常時/潜伏】このカードの上に置かれた《キルハルピュイア》は、他の自分の【進路妨害】持ちマシンがある限り攻撃されない。




(なるほど? 相手は【ハルピュイアビート】か……)


木製の外輪船は怪鳥の止まり木でもあった。


単体性能が高すぎる 《キルハルピュイア》。それをただひたすら並べ殴り走るデッキ。


やる事あるは簡単。各種展開用カードを引き入れ、手札を全部ハルピュイアに変換するだけ。基本そうして、数に任せて囲んで叩くだけで勝ててしまう。


文字通りの鳥頭でも回せる、超初心者向けデッキだ。


『ソシテ手札二加エタ 《ハルピュイアの氾濫》ヲ起動!! 五枚ノ手札全テ、我ラガ同胞二変換スル!! イデヨ五体ノ同胞 《キルハルピュイア》ッ!!』


早速来る。


捧げられた手札より闇色の渦が巻き起こり、骨色の羽を散らす怪鳥が群れを成す。




ーーーーグギャアギャッギャッギャッギャッ!!!!




《ハルピュイアの氾濫》✝

ギア1アシスト ヘルディメンション

【マグネスイッチN/手札五枚を捨て札へ】自分のマシンゾーンを五枚になるように増やす。その後 《キルハルピュイア》を五枚作成し、各マシンゾーンに一枚づつ配置する。




《キルハルピュイア》✝

ギア2マシン ヘルディメンション POW5000 DEF5000

【マグネスイッチS(マグネスイッチNを持つカードの効果で出たなら有効)/場から離れた時】カードを一枚ドローする。

【進路妨害(相手は走行できず、進路妨害を持つマシンしか攻撃できない)】




「くっ…………」


『イザ走行ッ!! キルハルピュイア五体デゴールヲ目指ス』


瞬く間に組み上がる布陣に千里の顔が曇る。


対象的に、味方を得たハルピュイアが調子付く。




ハルピュイア残り走行距離……20→18→16→14→12→10




一息に追い抜く。


千里の眼前へ怪鳥が舞い出る。


『我々ハコレデターンエンド!! サアコエテミセロ!!』


「チッ……俺のターン、カードドロー!!」


冷静に状況をみまわす。


相手の手札はゼロだが、実際にはかなり余裕の状況なはずだ。


(……なーるほど? 五体のハルピュイアはどーやって除去しても1ドローを献上する。しかもセンターを直接殴れない以上、真ん中だけぶん殴ってあとは素通りって訳にも行かない)


ハルピュイアはいわば、攻めに守りに大活躍する生きた置きドロー。一枚での仕事量が多すぎる上、次の手を躊躇わせる要素も孕んでいた。


初期マシン 《咎木の手押し車》もいい仕事をしている。アレに守られる限り、中央だけ殴り倒して後は無視する戦法も取りづらい。


(除去なら関係なく中央から焼けるが……結局ドローはされるしその場しのぎ。除去には限りがあるし、一匹ずつ潰さないと結局追い詰められる……と)


【進路妨害】の効果で自分から壁になる以上無視する手は打てない。


仮に一切手を撃たなかったら、次のターンの一斉走行でゴールされて千里の負けだ。


素直に感心する。


「ホーホーほうほう。あっさり打てる手にしちゃあ上出来じゃねぇか」


「ナッ!?」


「だがわりーな、こちとらその手の状況は経験済みのよな! まずは 《オーバーラップ・ブースター!!》を設置、一枚ドローする」


軽口一つ、逆転への舵を切る。


青空の元、可憐な顔が凶悪な牙を剥く。




《オーバーラップ・ブースター!!》✝

ギア1アシスト【設置】 スカーレットローズ

【登場時】一枚ドローする。

【同一ターンでの三度目以降の攻撃時】エンドフェイズ前まで、このレースの往復ターン数を1増やす。




「更にセンターに《ハイウェイ・キッド》を呼び、《ミスター・トレーラー》を重ねる!! でもって 《ヴァニラグリップ》、俺の二台のマシン……アドバンスフォーミュラを破壊し二枚をドロー!」


「……??」




《ハイウェイ・キッド》✝

ギア2マシン スカーレットローズ POW6000 DEF9000




《ミスター・トレーラー》✝

ギア3マシン スカーレットローズ

【場札二枚を疲労】山札からギア1のマシン一枚を呼び出す。




《ヴァニラグリップ》✝

ギア1アシスト ステアリング

【自分の場のカードを二枚破壊】カードを二枚ドローする。




『エエイ……イチイチヤルコトガヤヤコシイ!!』


「結果ならすぐにわかるさ……トレーラーの効果、マシン二枚を疲労させてギア1のマシン 《アビス・ペイント》を山札から呼び出す。そしてセンターに眠るコズミックエッグの効果で培養!!」


ぼちぼちついていけなくなってきたハルピュイアをなだめ、戦術を先に進める。


勿体ない。楽しいのはここからなのだから。




《アビス・ペイント》✝

ギア1マシン スカーレットローズ

POW 0 DEF 0

【登場時】自分のマシン一枚を選び、それと同じギア及び攻守になる。

【ターン終了時】このマシンを破壊する。




「アビスの効果でトレーラーをコピー。これにて準備カンリョーだ……さあバトル!! 二体のアビスとトレーラーでハルピュイアを攻撃!!」


『ムッ!?』


「つまりは一斉攻撃だよッ!! 吹き飛べ三体のキルハルピュイア!!」


三台のマシンがそれぞれ襲う。


水面を駆け、低空を飛ぶ敵を跳ね飛ばす。




アビス攻守……0→10000



WINトレーラーPOW10000vs5000DEFハルピュイア Lose


WINアビスPOW10000vs5000DEFハルピュイア Lose


WINアビスPOW10000vs5000DEFハルピュイア Lose




『フン……ソラマアソウ来ルダロウガ……』


ズガゴンドカンと爆散する同胞を見ながら、しかし意外にも表情は余裕だ。


『ハッハッハチョコザイナ!! 三体ノ同胞ガ散ッタ事デ、同ジ数ダケドロースル!! 彼ラノ死ヲムダニハセン!!』


威圧と共にドローし、これでハルピュイア側の手札は三枚。


残りを破壊してもその分ドローされる。そして手押し車の効果で引き入れられた《ハルピュイアの反乱》が再発動し、再び五連続の走行がやってくる。


ここで攻撃を止めても、手札消費三枚、三体呼び出し版の 《ハルピュイア・ネスト》が飛んでくる。とにかくハルピュイアで殴り走れば勝てる【ハルピュイアビート】は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


どう足掻いても元の木阿弥にしてくるのがハルピュイアビート。


真正面から相手してもキリがない。


なら。


「……だったら、こーするしかないよなぁ? オーバーラップブースターの効果で、このターンを往復4ターン目として扱う」


『ムゥ? 何ヲスルキダ?』


「こーすんだよ。その手札……消えるぜ?」


『ハ?』


ハルピュイアが疑問を挟んだ。


瞬間。







唐突に。


爆音を立て、残る二体のハルピュイアが続けざまに弾けた。








『…………ッ!?!?!?!?』


「手札から 《死骨の愛で手シイカ》の効果を使わせてもらった……シイカを含めた手札四枚を捨てて、守備力12000以下のハルピュイアを破壊!」


『何ッ!?』


逆転は鮮やかに。


爆炎の魔法を放ったのは、千里が背後に従えた魔女だ。




《死骨の愛で手シイカ》✝

ギア4マシン ステアリング POW9000 DEF16000

【デミ・ゲストカード】【()()()()()()()()()/手札からこのカードを含む任意の枚数を捨てる】捨てた手札の枚数×3000以内のDEFを持つ相手マシン一枚を破壊する。

【このカードの効果による破壊の成功時】捨て札となったこのマシンを自分センターへ呼び出し、相手の手札を、このカードのコストで自分が捨てた枚数と同じだけ選んで捨てる。

【手札のこのカードをターン終了まで公開/カード名ひとつを宣言する】相手は自分の手札をランダムに一枚公開する。この時手札に宣言したカードと同名のものがあったなら、代わりにそれを一枚公開する。




続けざまの焼却、その犯人がコレだ。


「そして破壊に成功した時シイカ自身が盤面に湧き、俺が捨てたぶんと同じ枚数の手札を捨てさせる!! シイカのぶん込みで、手札四枚を捨てさせて貰ったぜ!」


『ナ、ナンダトォオオオ……!?』


弾け飛んだのは同胞の一匹と、彼らを捧げて引き入れたハルピュイアの手札だった。


かくして一気に余裕がなくなったハルピュイア。単騎丸裸に追い込まれてはハルピュイアビートはおしまいだ。


一方で王手をかけた千里は余裕だ。


「んじゃ俺はシイカで最後のハルピュイア殴ってターンエンド。エンドの瞬間だけターン数が戻ってシイカは手札へ。……さ、オマエのターンだぜ?」




WIN シイカPOW10000vs5000DEFハルピュイア Lose




『グハッ……!? 退場時に一枚ドロー……グ……ナンデダ、コンナハズデハ……』


殴り飛ばされ、手押し車に叩き込まれたハルピュイア。


ドローも芳しくなく、予想外の自体に怪鳥は処理落ち寸前。


手押し車の確定ドローはもう頼れない。ハルピュイアに変換するための手札が足り無いからだ。


逆転がありうるとしたら、先ほどから捨てていた手札から重量級を蘇生するカードくらい。


ただしそのカードに 《キルハルピュイア》の記述はない。


『ワ、我々ノターン…………』


故に正真正銘、運だけで引き入れるしかないのだが…………。


『ドロー………………………………ハ、ハハハ……ターンエンド』


…………まあ、そう都合よくは引けない訳で。


「そんじゃ……俺のターン、ドロー」


さあ決着の時間だ。


「ミスタートレーラーの効果。もっかい場札二枚を疲労させて、山札から 《ブラック・エッグ》を呼び出す。これを培養した自身と共に破壊し、デッキから《ルイズ/アクア》を手札へ!!」




《ブラック・エッグ》✝

ギア1マシン スカーレットローズ

POW 0 DEF 0

【場のこのマシンを露出したギア1マシンと共に破壊】山札からギア4以上のマシンカード一枚を手札に加える。




千里も運は良い方ではないが、それを気に病むことは少ない。


彼はそもそも、運にはあまり頼らないからだ。


「さあフィニッシュだ。ミスタートレーラーで走行!!」




千里残り走行距離……11→8




「そして出番だぜ。シイカを含む手札二枚を捨てて《ルイズ/アクア》を呼ぶ!! 効果でドローし、二回走行を獲得!」




《海辺の守り手ルイズ・ファムファタール/アクア》✝

ギア4マシン ラバーズサイバー POW 0 DEF20000

【進路妨害(相手は走行できず、マシンで攻撃する場合は【進路妨害】を持つマシンしか攻撃できない)】

【手札を二枚捨てる】手札のこのマシンを場に出し、カードを二枚ドローする。こうした場に出たこのマシンは、次のターン終了時まで【二回行動】を得る。




海辺の女神を呼び起こし、最後の号令を下す。


「ウイニングラン!! ルイズ/アクアでゴールだッ!!」


鉄巨人ルイズの顎を模したモービルが浮上する。


後方より斥力を放ち、激しく水をうち爆進する。


そして泡の筋は、ゴール地点までの綺麗な弧を描き…………。





千里残り走行距離…………8→4→0=GOAL!!





「グウウウ……オノレェエエエエエエエエエエエ!!」


敗北に伴い、手押し車すら砕けて海の藻屑と化す。


断末魔の如き叫びを背に勝鬨を上げる。


かくしてハルピュイアとの盤上の語らいは、華麗なる千里の勝利で幕を閉じた。

本部分は91部分にあるルールブックを熟読するとより深く楽しめます。どうぞお試しあれ。

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