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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode 11.5 外伝封入。電子の海の一大バカンス!!
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夏休み特別編〜電子の海にて会いましょう♪〜その5

「……グアーッ!! 痛ッたい痛い痛い痛い痛いッ!!」


「な、なんで私までっ!!?」


『ゲシャー!! グガキシャー!!!!』


砂浜でつつかれているのは、ヘルディメンション使いの二人組。或葉の姉こと丁場詩葉と、電子の幹部『Aiーtuba』の一角、ユリカだ。


双方大人の女性ではあるし、一方はこのゲームでも偉い人で実力者のはずだが……数にモノを言わせる怪鳥はお構い無しだ。


五体がかりで囲んで叩き、その地位と存在を脅かしにかかる。


「にゃろう、性懲りも無くッ……!!」


「またなの……!? てかなんで、ヘルディメンションのカードがこっちのエリアに!?」


「そんなの直接訊けばいーんじゃねーのか! 今度こそぶっ倒して問い詰める! 待ってろこなくそぉ!!」


言って、浮き輪をビート板のように構えバタ足を敢行しようとするが……それを良襖が。


「ちょっ待って! だったらマシンを出して突っ込んだ方が早い!」


「ッ!? お、おうっ!!」


言われ、慌てつつ適当な中堅マシンカードを使ってみる。


一瞬間が開いたが……直後にボゴン! と泡音を伴って海中から宇宙を描いた二輪のマシンが浮上する。


海水を散らすその姿は、このイベントエリアの効果であろう力で水上バイクに改造されていた。


「ああそっか、イベントじゃ海走るって言ってたもんな……」


「ええ、ソイツであのクソ鳥に突っ込んで!! どつかれても弱体化しても懲りないアンチキショウに……ちょっち痛い目見せてやって!!」


「オーライ……任せとけッ! あのムカつく鼻っ面にぶちかましてやんよ!」


言って、白波を立てながら駆け出す。


こんなこんなひねくれたバカンスはとっとと打ち止めだ……という気持ちも無くは無いが。


残りの感情は……。


『グギャ……グギャギャギャ……』


……近づくにつれ、その殺意が鮮明化してくる。


『グギャギャギャ……シイタゲラレ、クダカレツヅケタウラミダ……』


「こ、こいつ言葉を……!?」


『グギャギャ……イマコソ反ギャクノトキ……グギャァ!!』


「ひ、ひぃ!?」


多勢に無勢、取り囲んだハルピュイアの一匹が片翼を振りかぶる。


そして、今まさに異形の掻き爪を振り下ろさんとするとき。






「ーーーーぶちかませ…… 《セントラル・モービル》ッ!!」






希望が駆けてやってくる。


ズガグシャアアア!! ……と怪鳥へ深々とと車体が突き刺さる。




《セントラル・モービル》✝

ギア3マシン スカーレットローズ

POW11000 DEF11000

【ダブルギア2】【登場時】可能なら、手札一枚をセンターの一番下に重ねる。




WIN モービルPOW11000vs5000DEF ハルピュイア LOSE






『グギャ……グギャアアアアアアアア……!!』


彼方に吹き飛び断末魔を上げ、派手に爆散するハルピュイア。


爆炎を背負い、味方がやられてなお逃げようとしない怪鳥共を見据える。


「せ、千里……!?」


「まずは一匹……!! 大丈夫スか二人とも!? 今のうちに」


群れの一匹を突き破り砂を擦る。


「だ、大丈夫は大丈夫だが……」


「なら一旦離れた方がいいッス……コイツらの相手は俺がやる!


「わかった……済まん千里ッ!!」


撤退する二人を見送りつつまだ四匹もいるハルピュイアを見据え、千里はカードを切る。


『グギャギャッギャッ……邪魔ヲスルナ……』


「無茶言うんじゃないってーの。……来やがれ 《ガイルロード・ジューダス》!! かーらーのー 《屑鉄流走法》!!」


『…………!?』


繰り出すのは侵食する樹木の怪物。


マシンの躯体を突き破り、走るべき道を護る街路樹の悪魔が顕現する。





ーーーーRULOOOOOOOOOOOO……!!





《ガイルロード・ジューダス》✝

ギア4マシン スカーレットローズ POW9000 DEF9000

【このマシンの登場時/場札三枚を捨て札へ】相手の場のアシストゾーンのカードを全て破壊する。




《屑鉄流走法》✝

ギア4アシスト スカーレットローズ

【場のマシン一枚を選択】対象のギア+1の値に×5000したものを比較数値とし、対象の攻守の合計と比較する。

前者が勝った場合はその差3000につき一回、対象の走行または攻撃後に回復する。後者が勝った場合はこのターン、対象のマシンは走行も攻撃もできない。





禍々しい姿と咆哮に、ハルピュイア達が後ずさる。


『ソ、ソレハ……!?』


「屑鉄流走法って言ってな。各ギアごとの基準打点より低ければ低いほど恩恵を受けられるアシストカードだ。ギア4の基準値は25000。だがジューダスの攻守は合わせて18000。つまり……」


バキゴパギゴ、と更に。天を覆うほど繁茂し、威圧する砲身を背負いながら騙る。


より凶暴に、破壊へ尖った姿へ変化しゆく悪魔に、惨劇を超える力が宿る。




比較数値計算……(4+1)×5000=25000


ジューダス攻守合計……9000+9000=18000


数値比較結果……25000-18000=7000……!!




カードゲームにしてはタイトな計算式。


しかし即座に処理して。


「その差7000。よってジューダスは差3000につき一回、二回の攻撃権を追加する。通常の攻撃と合わせて……放て」


適切な号令を放つ。




ーーーーーーーーーーーズガガガガガガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガアガガガガガガガッガガガガガガッガガガgガガガッガガガガガガアガガガガガガガッガガガガガガッガガガガガ!!!!







WIN ジューダスPOW9000vs5000DEFハルピュイア LOSE!!


WIN ジューダスPOW9000vs5000DEFハルピュイア LOSE!!!!


WIN ジューダスPOW9000vs5000DEFハルピュイア LOSE!!!!!!!!!!




『『『グ、グギャアアアアッッッアアアアアアアア!!!!!!!』』』


「計三連撃。しっかり仕事させて貰ったぜ!」


「す、凄い…………」


ズガバキドカグシャア!! と、立て続けに打ち倒されたハルピュイア達を見て、腰の抜けた詩葉が力無さげに呻く。


そして状況は仕上げへ。


「さぁて、と?」


『ヒィッ!?』


「これで残りはオマエだけだ。どーするよキルハルピュイア!!」


『グ、グヌゥウウ……』


にじり寄り、迫る千里に対して鳥獣の瞳で睨める。


単騎丸裸のハルピュイアに勝ち目はないが、千里も事情を訊く必要があるため倒しきる訳に行かない。


事情を数瞬、挟みこんで。


バゴン、と。


最後の一体の足元から木組みの四輪が浮上する。


「……!! そー来るかぁ……」


砂ぼこり払い走り出すそれは、千里が駆るバイク同様に四十枚のデッキを積んでいた。


それはこの世界の共通言語、盤上で語り合う準備。


つまり。


「つまり俺たちの土俵に上がるつもりってワケか……逃がすかよッ!!」


『サアコイ……ワレラノイカリヲブチクラエ!!』


「カードレースでの勝負がお望みか。望む所だ、相手になってやんよ!!」


両陣並び、焼ける砂浜を駆け出し海へ。


ジェットモービルと化したバイクが海を散らし、水陸両用の外輪船が大水をかき分ける。


本来の戦い。


やっとこさのバトルに調子が乗ってくる。


鼓動に熱が戻る。


いや。


(ん? これは……)


どちらかと言うと、気がついた時には心が軽くなっていたような。


自分の心境の変化に戸惑いながらも、戦いの渦中へ突き進んでいく。


(とにかく、アイツをのさばらせとく訳には行かねーよな。どっから来たかも確かめる必要がある!)


『必ズ負カス!! オマエの芯を砕イテ喰ラッテヤルワ!』


「そうはさせねーよ!! 俺はお前を越えて先に行く。話を前に進めるんだよっ!!」


双方未来を賭けた戦い。


お互いの意地と信念のぶつかり合いが始まるのだ。


『「ーーーー行くぞォオオオ!!」』





千里残り走行距離…………20


キルハルピュイア残り走行距離……20

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