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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode 11.5 外伝封入。電子の海の一大バカンス!!
171/190

【本編更新中断中】業火の試練開幕。千里vsホムラ再戦・前編A‼

カードゲームとはインフレを起こすものだ。


かつては猛威を振るったカードも、後から出現したカードの影に隠れ出番がなくなることが多々ある。


割と気軽にエラッタを行えるカードレース・スタンピードでさえ、最初期に出た大魔王シリーズがまとめて 《一方的勝利(ワンサイドゲーム)ブラッドサガーン》の影に沈んだ前例があるのだ。歴史は常に塗り替えられ続け、今日を過去にする切り札は刷られ続ける。




だからこそ、誰もが意識しておく必要がある。


無数のカードがぶつかり合った末に、昨日までの常識を超える一手が生まれる可能性は常にあるのだ…………と。







試練は千里の先行から始まる。


「俺のターン、ドロー‼ 手札から 《アドバンス・フォーミュラ》を呼び出してファーストマシン 《コズミック・エッグ》を疲労させることで培養できる‼

更にここで 《ハイブリッドブースター》を設置。コイツを代わりに疲労させることでコズミックは疲労しない!」


一切の遠慮がない号令が飛ぶ。


ここまでの道筋で鍛え上げた戦術が牙を立てる。






《コズミック・エッグ》✝

ギア1マシン ステアリング POW 0 DEF 0

【潜伏/1ターンに一度/自分がギアマシン1を呼び出した時/このマシンを疲労】同一のマシンを一枚作成し、空いているマシンゾーンに呼び出す。




《アドバンス・フォーミュラ》✝

ギア1マシン スカーレットローズ POW 0 DEF 0

【常時】自分マシンの走行距離は全て+1ずつされる。




《ハイブリッドブースター》✝

ギア1アシスト【設置】 スカーレットローズ

【自分マシンの、走行や攻撃以外での疲労時】手札からこのアシストを発動し、対象の代わりに疲労させてもよい。

【自分のターン開始時】このアシストを破壊して、一枚ドローする。







スカーレットローズの基本戦術の一つ、ギア1を用いた戦術。


先制パンチとしては十二分の号令が飛ぶ。


「二台の効果で全マシンの走力+2‼ 合計9点の走力で走行する‼」


卵の殻を破ったようなフォルムのバイクが唸りを挙げる。


試練の仕様でついた距離を更に突き放す。






千里残り走行距離…………20⇒17⇒14⇒11






走行は素通り。


ここまでは順調と、少しばかり拍子抜けした気になりながらも。


「俺はこれでターンエンド」


「儂のターン、カードドロー‼ 儂は 《懐古の大車》の上に 《仙狐ホムラビット》を重ねて呼び出す!」


ターンは移る。








《懐古の大車》✝

ギア1アシスト サムライスピリッツ POW 0 DEF 0

【潜伏(このマシンが露出してなくても有効)/このカードがセンターに置かれている自分ターン終了時】往復ターン数を1増やす。




《妖狐ホムラビット》✝

ギア2マシン サムライスピリット POW5000 DEF5000

【自分のターン終了時】このマシンをアシストゾーンに置いても良い。そうしたら、次の自分ターン開始時にギアと攻守を倍にして疲労状態で置く。






「そして走行! その走行時、手札から 《神速・居合い返し》を使用する」


「……? 始めて聞くカード……?」


何の気なしにホムラが使ったアシストカード。


なんだろうと思い確認する。


「え」


絶句する。




《神速・居合い返し》✝

ギア2アシスト サムライスピリッツ

【自分マシンの走行時】カードを一枚引き、このカードを裏返してアシストゾーンに残す。

【クイックドロウ2(往復2ターン目以内にこのアシストを使ったなら有効)】上の効果に加え、発動条件になったマシンは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




「ちょ…………なんじゃそりゃぁッ!?」


前のターン、千里が走行した距離は9。


それを倍にして、更に基本の追加走力とホムラビット自身の走行能力を足すと……




ホムラビット走行能力……2+9×2=20!!




通常のゴールまでの距離ぴったりの走行。


「必殺技はターンごとに一度。()()()()()()()()()()()()()()()()ぞ小童め」


「く……そッ!? 手札から 《速度制限ーゾーン3ー》を発動!!」


ここで対応策を握っていたのは、単なる幸運だったのかもしれない。


ともあれ出すしかなかった。




《速度制限ーゾーン3ー》✝

ギア1アシスト【設置】 ステアリング

【常時】お互いに、一度に走行できる距離は3までになる。

【このカードが置かれてから二度目の相手ターン終了時】このアシストを破壊する。




ホムラビット走力…………20⇒3


ホムラ残り走行距離…………40⇒37




「マジ……かよおいッ!?」


急な事態に、山札に三種類しか入れられないステアリングを切ってしまった。


それでも使わなかったら、かつハンデが無かったら、今の走りで終わりかねなかった。


(甘かった……!?)


ゴールしてからが本番だなんて、見通しが甘かったのだと自覚した。


(あると思わなかった……このゲームに、後攻ワンターンキルなんて……)


「更に」


「ッ!?」


十分すぎる敵意を、しかしホムラは緩めない。


「手札から 《秘術・焔映し》を発動。今走行したホムラビットの複製となって場に置かれる。さあ走行と行こうか!!」


「イッ…………!?」






《秘術・焔映し》✝

ギア1アシスト サムライスピリット

【自分マシンの走行終了時/場札二枚を疲労】このアシストは発動後、ターン終了まで発動条件になったマシンと同じステータス、同じ強化を引き継いだマシンとして空いているマシンゾーンに置かれる。こうして置かれたこのカードは他のあらゆる効果を無視するが、一度疲労したら回復できない。






「!? ちょっと待て、お前の場のカードで疲労してないのはさっき裏返した 《居合返し》だけだろ!? 二枚の疲労なんてコスト払える訳……」


「不可能など推し通るまでよ。手札の 《シンセティック・クォーツ》をターン終了まで公開することで、支払いの一つを肩代わりする!」


「ああくそ、なんでもアリか!?」


ホムラの底力は想像を超えていた。


とにかく連携は繰り出され、圧倒的な走力ははじき出された。




《シンセティック・クォーツ》✝

ギア5マシン ステアリング POW15000 DEF15000

【自分が場札の疲労または破壊でコストを支払う時】手札のこのカードをターン終了まで公開してもよい。そうしたら、発動条件になったコストの支払いを一枚減らす。

【∞リロード(このカードが場か捨て札にあるターンの終了時、このカードを手札に戻してもよい)】






ホムラ残り走行距離…………37⇒17





「………………………、」


本気の殺意を見た。


(気ィ抜いてると、ガチで瞬殺される…………!!)


「これで儂はターンエンド!! とともに複製含む二枚のホムラビットは効果でアシストゾーンに移動する!!

そして懐古の大車の効果で、往復ターン数のカウントを一つ進める。……さぁ、お前のターンじゃぞ小童め」


無駄も容赦も一切無い。


次にターンがホムラに渡ればその正面にはギア4が。


その上に先程のギア5を重ねれば、今度はギア5の超必殺技を撃てるようになる。


その容赦のない戦術に千里は。


千里は。


(いいや……()()()()())


()()()()()()


紛れもなく、己の中に経験値が蓄えられていく事を歓喜していた。


この戦いは、いわば最後の敵を討つための修行に近い。


なればこそ、迎え撃つ戦術は強ければ強いほどいい。


なにより。


(感じるぜホムラ。アンタがこのゲームに乗せたむき出しの感情を。そうだ。そう来なくっちゃ、この戦いを挑んだ意味がねぇ!)


この神速の戦い、真のゴールは彼の子にして首魁、マリスを理解した上で倒すこと。


ならばこそ。


(まずはアンタを理解する。アンタ自身が気づいてない隅々まできっちりと!! あの時以上にッ!!!!)


「俺のターン、カードドローッッッ!! この瞬間ハイブリッドブースターの効果が起動し、自壊と共に一枚ドローする!!」


決意を込めて引き入れた二枚。


その一枚は。


(……来た)


彼の日、魔王に託された切り札。


世界を砕き尽くす魔王の配下を握りしめ、千里は戦場を睨む。


(……今この試練でやるべき事は、次のターンに飛んでくるはずの重量級の必殺技を阻止すること。

そのためには台座になるギア5マシンの登場を止めなきゃで、ギア5はギア4の上にしか呼べない。そして今出しやすいギア4のアテ筆頭候補はアシスト置き場で寝てるホムラビットだ)


冷静な分析で答えに迫る。


これまでの経験で、年季の入った猛者に食らいつく。


(つまり今最も有効な攻撃は……アシストゾーンをぶっ飛ばすこと!!)


「ああそうだよな……()()()()()()()()()()()()()()()()()()効果……ここ以外でいつ使うって話だ……!!」


打つ手は決まった。


一度退けてなお恐るべき相手に、千里は敬意を持って突き進む。

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