夏休み特別編〜電子の海にて会いましょう♪〜その1
時間は少々巻き戻り。
これは『タギー社』と『勇者一行』の最終決戦の、少し前のお話。
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青い空。
白い雲。
照りつける日差しが砂浜を焼く。
「はーい、こっちにパスですよー♪」
「そうら、こちらよのっ!!」
ポーンポーンと、ボールを弾く音が砂浜に響く。
呑気に遊ぶ騒ぎ声に、寄せては返す波の音が混ざる。
真夏の海でのバカンス。
「ほーら、そっち行くわよ!」
「あ、ちょっと待ちなさいってば……ッ!!」
遊び更けるのは、目にも美しい美女に美少女。
その中でも、一際美しい輝きを放つソレは……
「……………………………………………………………………、へいパース」
凄まじく死んだような雰囲気で、辛うじてボールを返していた。
鋳造したての銀の糸のような輝きをツインテールに縛り、背中いっぱいに広げた小さくも大きな立ち姿。
練り絹みたいな肌の白さを着飾る深紅が際だたせる。細く柔らかな脚を、眩しい臍を、まるでダンスドレスみたいな薔薇色の赤のパレオやチューブトップの隙と定義して強調する。純白色のはおりと合わせて、どこか見てしまって良いのか悩ましいような魅力を引き出していた。
頂点に乗る顔もまた愛らしく、やや鋭くも輝きを絶やさない大きな瞳を潤ませながら…………
(なんでこんな時に遊んでんだっけ……なんで冬なのに真夏なんだ……そして何より……)
…………少年はツインテールを揺らしながら苦悶する。
(なんでッ!! 俺はまた女の格好してるんだ……ッ!!!!???)
混乱の最中、少年……この物語の主人公、先駆千里はなぜこうなったのかを必死に思い出していた……。