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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode11 最終決戦の始まり。千里vs???!!
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分岐する道。マリスへの挑戦!!

「千里ィ!! お前に俺さんの両足をぶんどられてから、風呂や下の世話までシイカの世話になる事になっちまったぞぉ!?」


「そーかい!! うらやましーこったなー俺はあれから家に帰れてもいねーし家族関係はグチャグチャだ! おめーは俺の家になんの恨みがあるんだってんだ!!」


「恨みなんかねぇよヴァーカ!! あるのは利用価値だけだ!!」


両雄撃ち合う。


口汚く罵りあいながらも、お互いに十数枚ものカードを散らしながら魂を削り合うのだ。


「だったら俺もそうか!?」


「あ?」


「お前、俺のことも意思粉砕機みてーに使いやがって!! 俺の家だけじゃねぇ、周りはみんなガッタガタだ!!」


「よくわかってるじゃぁないか! だがそれがどうした!?」


「黙って使ったツケを払いやがれぇぇえええ!!」


悪びれない悪意に向けて、怒りとともにー撃を放つ。


だが通じない。


着弾の寸前、見えない壁にでも食いこんだみたいにその動きが止められる。


「チィッ!!」


「おぉっと喰らわないぜ? この体は既にAi‐tubrと同格の体なんだからな!」


いつの間にか、マリスのアバターの右手は重厚な鎖で繋がれていた。


そして、千里も。


なんだこれは、とたまらずマリスの詳細を確認する。




《反目の導き手マリス》✝judgelight_Malice……

ギア4マシン ステアリング POW 0 DEF 0

【デミ・ゲストカード】【任意】自分の場のマシン二台を疲労させ【拘束】を付与した場合に、手札または場からセンターに置ける。

【常時】このマシンが【拘束】されている限り、場の全てのマシンは走行及び攻撃できない。

【1ターンに一度/手札のマシン一枚を捨て札へ】自分はカードを一枚引く。その後相手のデッキの上から三枚を捨て札へ置く。この時墓地に送ったマシンカード一枚につき、このマシンのPOWとDEFを相手ターン終了まで5000ずつ上げる。




「ロック効果……お前もデミゲストカードになったのか」


「おーよ、コイツの効果がわかるか!! この体が【拘束】されている限りお前は動けない! 俺も動けないが動く必要もーーーー」


「よし手札から 《超越・エボルアルジャーノン!!》を発動、俺のマシンと手札の 《悪意の氾濫カルトヴェイン》を入れ替える」


「!?」


情け容赦一切無し。


マリスが余裕たっぷりに語ろうとする傍らで、一瞬を無駄にせず詰め手を打つのが千里だ。




《超越・エボルアルジャーノン》✝

ギア1アシスト ステアリング

【このカードはゲーム中一度しか使用出来ない】【センターに置かれたカード一枚を選択】対象のカードを手札に戻す。この効果でカードを手札に戻したプレイヤーは、自分の手札から同じギアまたは一つ上のギアを持つマシンカード一枚を場に出す事ができる。この効果は 《化学の担い手アルジ》の効果としても扱う。





この効果ならば、攻撃の最中でもマシンを入れ替えられる。


そしてカルトヴェインは登場時に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


業ッッッ!! と吹き荒れる暴力が飛び出す。


冷や汗と共にマリスが命を請う。


「待てWait。それ反則じゃね? 俺さんが現在進行形で使ってる主力をパクるとか大軍率いるヒーローのやることじゃなくねぇぇぇえええ????」


「フツーに買える第三弾パックにぶち込んだお前が悪い!! 自分だけのトクベツが欲しかったらボス専用カードにでもしておくんだったなぁ!!

そして言っておく俺はヒーローになったつもりはねぇ!! 引っ張り出したカルトヴェインでマリスを破壊する!!」


効果が唸る。


自身を培養する水晶弾を放つが……しかし帰ってくるのはガッキーンと硬質な手応え。


弾かれた。


「い!? 耐性だと……!?」


「……てめぇさんに言われなくても肝心なとこはやってんのよ。マリスとか、その下の()()()とかな。だが俺さんが言いてぇのは、量産型の兵士パクるとか言う神経はやべぇって話だ!!」


マリスの鎖が、千里のカルトヴェインにも絡まる。


たちまち挙動がおかしくなり……千里へと襲いかかる!!


「なっ!? 何しやがったテメェ!?」


「誰が教えるかっての!! 人様の飼い犬に手ぇ出してタダで済むとでも思ったか!! てめぇなんかオヤジんとこで絞られちまえ!」


「な、ぐぁあああああああああ……!!」


闇に飲まれる、飼い犬に手を噛まれるとはこの事。


鹵獲兵を使おうとした千里は、逆にコントロールを取り戻され飲み込まれ、別の領域へと転送されてしまったのだ。




《服従号令・ギアスコントロール》✝

ギア3アシスト【装備】 サイサンクチュアリ

【常時】装備先未満のパワーを持つマシンまたは、自分の捨て札にあるマシンカードと同名のマシンが相手の場に出る場合、代わりに自分の場に呼び出す。




(……たく。パクられる対策しといて正解だったぜ。転ばぬ先の杖ってな)


負ける戦いはしないマリスのカラクリのひとつがコレだ。


もとより自分の打点を特大まで上げられる悪意の導き手と相性よくできているが、真意はカルトヴェインの裏切り対策だ。こんな具合のメタを十枚は装備してきてる。


重い装備を引きずり、残ったカルトヴェインを眺めるマリスは再び狙撃体勢に移りながらひとりごとで。


「たく、大した策もなしで突っ込んで何がしたかったんだ……? ん? 無策?なんで?」


はたと気づく。


マリスによる狙撃を止めたかった、という理屈はわかる。


だがこの期に及んで、まさかラスボスが丸腰で来たとは思ってないだろう。


『絶対に倒されない』確信がなければマリスは戦場に出て来ない。


なのに立ち向かってきた?


なんで?






「決まっておる。絶対に止めるという『策』があったからよの」






声に反応する前に、カルトヴェインが独りでに爆発した。


「いっ……!?!?!?!?!?」


「ううむ哀れよのォ。毎度ながらほんのちょっぴりの見落としで大惨事に至る」


「て、め……か。何をした……?」


「拙者はなにもせん。ただ千里の策が起爆したまでよ」


自信満々に降り立ち、小さな手で示すのは或葉だ。


その先を見ると、一枚のカードが浮かんでいた。




同姓同名同盟破壊宣言(コンプリートリコール)》✝

ギア3アシスト スカーレットローズ

【場のマシン一枚を選択】ターン終了時にそのマシンを破壊する。そのカードが自分の捨て札に置かれたなら、場のカードを全て確認し同名カードを破壊する。以降このゲーム中、誰もその名前を持つカードを使用出来ない。





「こいつぁ……」


戦場から立て続けに爆音が響く。


戦場にばら蒔いた分のカルトヴェインさえ、このカード一枚で一掃されてしまったようだ。


「まぁカードゲームではおなじみのウイルスカードよのぉ。これでオヌシに干渉する手段は絶たれた」


「いっ……ほざきやがれ!!」


怒りに任せて攻撃をしようとするも、自分自身の効果のせいで動けない。弾丸を失ったのが大きすぎた。


「哀れマリス。とうとう建前まで棄てたか。運営の姿か、これが……?」


「……どうとでも言うといい。どうせ今日で決まるんだ」


もはや建前など不要と吐き捨てる。


一番のファンに、一番の侮蔑で答えたのがマリスの道筋だ。


「俺の目的も、お前らとの因縁も今日で最後だ。千里もオヤジの所に送ってやった。お前もすぐ相応しい所に送ってやるよ」


「マリス、おのれ……」


「さあ、来い。チエカのあり方を歪めた俺さんが憎いんだろう?」


「……ああ憎い。歯噛みする程に、首を落としたくなるくらいにのの」


間違いなく、マリスへこの世界でもっともドス黒い感情を向けるべきは或葉だろう。


だが。


「それでは事が収まらぬと知った。怨敵を焼き払うべく薪を使ったが故に、来せなくなる冬があると知ったのだ」


「はぁ? 何が言いてぇ?」


「ならば静かに燃やそうと思ったまでよ」


どこか、少女の目の色が変わっていた。


「千里がそうしたように。無策に焼き尽くすのではなく、正しい分量で燃やす炎は温もりも与えよう」


「…………。俺さんを撃ちそびれた後で()()()()()()()?」


異変の裏を見抜く。


仮にも企業の長。状況を判断する力は相応に高い。


「それで。お前はどうする気だ?」


「決まっている。正しく挑むまでよ」


濁りは無い。


澄み渡った瞳で啖呵を切る。







「ーーーーここは我らの領域。故に正しく取り除く。もとよりお主の出る幕などないと知れ」

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