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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode 10 色彩なき覚悟。千里vs???
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決着の再戦。千里vsマアラ後編・C!

成すべきことは詰め込みのチャレンジ。


出涸らしと化したパンドラの厄災、その後始末に千里が挑む。


「俺は手札に戻ったキリギリスと……赤塗りのパトライドを呼び出す」




《赤塗りのパトライド》✝

ギア1マシン スカーレットローズ POW2000 DEF2000

【このマシンをセンターの下へ】センターのマシン一台を回復する。




灼赤の警察車両が躍り出る。


自身を素材と変えることで、自機一枚を回復するカード。


本来なら走行用ですら無い一枚だが、残り一キロならこれでも走りきれる。


「そ、それは……なるほど、それがあなたの最後の一手ですか」


この時点でマアラも察しただろう。


詰んだ。勝ちの目は消えたと。


その上で、ハッと笑い飛ばして吠え叫ぶ。


「だったら思いっきり来てくださいよ。このAi‐tubaに、シュガーマウンテンの管轄者、魔弾の撃ち手マアラに!」


「アタボーよ! バトル、ダーク・キリギリスでフィアーリジェクションに二回攻撃。そしてブラック・グリズリーでフィアーを撃破する!」


さあ総仕上げ。


三度の攻撃により、厄災のバリアは打ち砕かれる。




attack キリギリスPOW4000vs26000→22000HPフィアー Guard


attack キリギリスPOW4000vs22000→18000HPフィアー Guard


WIN グリズリーPOW19000vs18000→0HPフィアー LOSE




びしり、バキリと厄災が剥がれ落ちる。


障害物は消え、目指す場所がはっきりと見えた。


あとは目指すゴールまでたったの一キロ。


ここが最後の攻防だ。


「ウイニングラン!! 赤塗りのパトライドでーーーー」


「させるか、菓子組みポッポの効果! ゲーム中に一度のみ、相手の走行マシン一枚を吸収、その後センターを疲労させる!!」


「……ッ!!」


最後のあがきと、ビスケットの渦が千里を捉えにかかる。


トラウマレベルの圧殺を仕掛ける流れに、それでも千里の目から光は消えない。


チェックメイトはもう済んでいた。


「ここでパトライドの効果発動!! このカードをセンターの下に重ねることで、センターを回復する! 進路誘導・Go=エントリー!」


「チィイイ!!」


移動のコストがクッキーの奔流をかわす。


パトランプを灯し、グリズリーを誘導するように前に出る。


それを踏みつけ、大熊は再び立ち上がるのだ。


「……………やっぱり、そう来ますか」


「これで、菓子組みポッポの効果対象は消え、マシンを吸収する効果は不発になった。だったらその後のセンターを疲労させる効果も処理できないよな?」


完全無欠のチェックメイト。


もはや千里を邪魔する要素は何もない。


こんどこそ本当に力なく立ち尽くすマアラを後目に千里は行く。


「ウイニングラン」


最後の標的。


白と黒のチェッカーラインをぶっちぎるために。


「これで最後! ブラック・グリズリーでゴールだああああああああぁぁぁ!!」


圧倒的に加速する。


晴れやかな顔で駆け抜ける千里に対して。


「まったく」


マアラはまた、あの頃のように悔しげにぼやくのだ。


「あなたはまた…………僕のさきを行くのですね」






千里残り走行距離…………1→0=GOAL!!






裏の裏の裏の裏まで読み切った決着。


全てを読み切った上での勝利。


ここに、イベントラッシュの完全攻略が成された。















「けほ、がは、ぐは……」


「たく、排気ひとつでむせてんじゃーねぇよ」


ゴール地点にて、遅れてきたマアラを出迎える。


彼らの間に、いがみ合ったり恨んだりと言ったことは無い。


戦いが終わればノーサイドとはよく言ったものだが、それだけではない。


千里は気が付いていた。


「まったく……完敗です。全てのよみあいで上を行かれ、あと一声の力が僕にはなかった。あなたの完全勝利です……」


「そらどーも。……でも、この勝利は俺だけのもんじゃあない」


「……? ああ、応援してくれる仲間たちの勝利でもあるとか、そんな感じです?」


「もちろんそれもある。……けど、もっと直接的に勝ってる奴を俺は知ってる」


「はぁ……いったいどこの誰です?」


検討もつかない、といった体で訊いてくるマアラに、千里はしれっと言ってやる。


「オマエだよ、マアラ」


「は」


「言っとくがな……もう俺はコトの全容に気がついてるんだぜ?」


だんだんと、電子の世界の今が染み入る。


どこからか焦げくさい匂いが漂い、遠くからは幾つもの悲鳴が響く。


千里ひとり、この場では救って行けないと知った上で、より上の問題を解決することで絶望をぶち壊す。


「……説明、してやるか? オマエの目的、存在異議、何から何までさあ」


吹っ切れた笑みは、どこか乾いた視線で敗北者を見下ろす。

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