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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode 10 色彩なき覚悟。千里vs???
138/190

懐かしき姿映す再戦。千里vsマアラ後編・B

「カードドロー!!」


菓子の並木をふたりが行く。


亜高速のバトルもいよいよ終盤。


マアラが握るカードも熱を持つ。


「僕は 《クッキー・ボードソルジャー》を呼び、続いて《クッキー・ボードアヴェンジャー》を呼びます」


クッキーが溢れ出る。


細かな兵士が寄り集まり、やがて巨人の姿を形取る。




《クッキー・ボードソルジャー》✝

ギア1マシン シュガーマウンテン POW2000 DEF2000

【登場時】センターに置かれたカード一枚のギアと同じ枚数になるように、このカードを増殖させる。その後好きなゾーンへ好きな数配置する。




《クッキー・ボードアヴェンジャー》✝

ギア2マシン シュガーマウンテン POW5000 DEF5000

【登場時/自分のマシンカードを好きなだけ疲労】自分ターン終了までこのカードの攻守を、コストの枚数で倍化する。

【このマシンのステータスを半分に】このマシンと同名、同一ステータスのマシンを作成して空いているマシンゾーンに置く。




予定調和の進化形態。


この二枚は、同時に使う事前提でデザインされていた。


「僕はボードソルジャーを五枚に増やし全てアシストゾーンへ。そしてフィアーリジェクションの下に置かれた三枚と合わせて八枚! ボードアヴェンジャーの効果で疲労させる!! よって攻撃力は…………」




ボードアヴェンジャー攻守……………5000×8=40000!!




「ちょ……攻撃力四万だと……!?」


「暴虐、天を穿つ。半端な防御は通じないと知れ! さあウイニングランです! クッキー・ボードアヴェンジャーでゴールだッ!!!」


「チ……させるかよ!! 手札から 《総勢・進路妨害》を発動!!」


「!?」


千里の乗る人面レッカー車が、運転手を置いて前に出る。


無論、マアラの進路を妨害するためだ。




《総勢・進路妨害》✝

ギア3アシスト スカーレットローズ

【ターン終了まで】自分のセンターに置かれたマシンは【進路妨害】を得る。ただし、戦闘破壊不可能なマシンが露出した時点でこの効果は消滅する。





「小癪な……時間稼ぎのつもりですか!」


「そうじゃないのはわかってるよな?」


千里が目を細める


「俺の場には 《リサイクルブースト》がある。コイツのおかげで、俺はマシンが破壊される度に1走行できる」


「あなたが妨害に使えるのは二台、あなたの残り走行距離は3……これは一体?」


「つまりはチキンレースだ。俺に残り一キロを詰める手が無いと信じるならかかってこい。だが信じきれないなら……」


挑発するように。


自身を運ぶブースターにまたがり、意地の悪い笑みを浮かべて手ぶりで示す。


やれるもんならやってみな、と。


「そのまま突っ立ってターンを終えるこったな。さあ二者択一だ、どうするマアラ!?」


「……、」


マアラは思考する。


(……誰がやれるものか)


千里の手札の三枚は、当然のマニュアライズで加えた最下級(ギア1)だ。


大した手が打てるわけないし、このままターンを明け渡す義理も無い。


なによりマアラには 《絶望ーフィアーリジェクションー》の効果も味方してくれる。


このターンで決める。


決める!!


「やってやりましょう。クッキー・ボードアヴェンジャーで、あなたのアクティブ・ピットマンを攻撃!」




WIN アヴェンPOW45000vs5000DEFピットマン LOSE




勝敗は圧倒的。


菓子の拳が、現実を無視して鋼のマシンを粉砕した。


「チ……この瞬間リサイクルブーストの効果発動。ピットマンはアシスト化し、俺は一キロ走行!」




千里残り走行距離……3→2




「まだまだ! ボードアヴェンジャーの効果、ステータスを半分にすることで二体に分離します!!」




ボードアヴェンジャー攻守……40000→20000




半分でもなお二万。


圧倒的な暴力の拳が千里のマシンを襲う。


「さあ受けてください! クッキー・ボードアヴェンジャーであなたのクリスタルハイヤーを攻撃!」





WIN アヴェンPOW20000vs6000DEFハイヤー LOSE




千里残り走行距離……ブーストにより2→1




砕かれて砕かれて、とうとうギア1の 《コズミック・エッグ》だけが残る。


センターには常に一台以上のマシンが存在する必要がある。よってコズミックエッグは破壊されず、破壊不能のマシンが露出したことで 《総勢・進路妨害》の効果も消えた。


もう千里を守るカードは一枚も置かれていない。


「オマエももう攻撃できるマシンは無い……が『切り札』がまだ残ってるか」


「もちろん。ここでフィアーリジェクションの効果」そして詰めの絶望がやってくる。「自分のターンごとに一度、山札からマシン一枚を呼び起こす。自身のHP以下のステータスしか許されませんが、合計26000以下なら『彼女』が呼べる!」


山札を探査し、然るべきマシンを呼び起こす。


「では懐かしの再会です! 現れよ 《ショコラクイーン・エレナ》!」


厄災の渦から、ガラス細工のような飴の馬車が飛び出す。


率いるのは、チョコ色の若き女王だ。




《ショコラクイーン・エレナ》✝Chocolat_queen_

Helena…

ギア4マシン シュガーマウンテン POW10000 DEF15000

【進路妨害】

【常時】このマシンはコントローラーのカード効果では破壊されない。

【一ターンに一度/センターの下のマシンを疲労】このカードはターン終了まで、コストとなったマシンの効果を得る。




「ハハハ……クソッタレめ、本当に懐かしいのが出てきたな」


素直に懐かしむのは千里だ。


「そうだ。あの日、オマエに若葉の試練を受けた時……俺はコイツに気を取られてポッポを踏んずけかけたんだ」


「今日のはもっとエグいですよ? なんせ彼女には僕の効果を注ぎ込めるんですからね」


恐怖の連携が可能となる。


クイーンが走行後、更に下になったマアラの効果をコピーさせることでその効果を使えるのだ。


当然、走行の弾丸さえ…………


「そ、そんなのアリかよオイ……」


「ハッ! どんな手を抱えているかは知りませんが、さすがにもう二回の走行を阻止は出来ないでしょう。これで終わりです!

ウイニングラン!! ショコラクイーンエレナでゴールですッッッ!!」


轟!! とショコラクイーンが加速する。


もうマアラは勝っているつもりだった。


飴細工にまたがり、前に出た千里の後を追いかけ…………




ガツリ、と。


不意に、チョコの姫の首が吹き飛んだ。




「…………ええ……?」


「ホント、何から何まで懐かしーぜ。 手札から《絶影・スナイプシュリーカー》を発動。捨て札から 《ブラック・グリズリー》を呼び出しバトルする」


首を撥ねたのは鋼鉄のプレートパーツ。


それを投擲したのは、懐かしの黒い高級車。


熊の機構を組み込んだその威容は、今なお色あせることを知らない。




《絶影・スナイプシュリーカー!!》✝

ギア()アシスト ステアリング

◆【相手マシンの攻撃宣言時】センターと同じギアを持つマシンを捨て札から呼び出す。その後、使用条件となったマシンに攻撃を行う。この処理が終わるまで対象のPOWは+3000され、他のカードの効果を受けない。




《ブラック・グリズリー》✝

ギア4マシン スカーレットローズ POW16000 DEF10000

+3000

+3000=22000




WIN グリズリーPOW22000vs15000DEFクイーン LOSE




役割を果たす前に、不意打ちで崩れ落ちるショコラクイーン。


車体から振り落とされ、あちこちを擦りむき、呆然と立ち尽くすのはマアラだ。


「そんな……なんで。ブラック・グリズリーなんて、今まで影も形もなかったのに」


「 《死炎印》の手札コストだ」千里が説明してやる。「虫の知らせか。チエカが抜けた穴をコイツで埋めたんだ。……結局、あの頃と同じ。またグリズリーがショコラを捕食したんだ」


「ははは。なるほど……やられました。これで僕はターンエンドです」


もうマアラ自ら打てる手はなかった。


切り札を取り戻した千里の勝ちは揺るがないようにも見える。


だが。


それでも、()()()()()()()()()()


「……俺のターン、ドロー」


これが最後のターン。


マアラの場に残る壁は、厄災を使い果たした出涸らしの障壁くらい。


()()()()()()()


(忘れるかよ、ばーか)


もう一枚、攻略する必要がある。


さあ、どう仕上げるか。

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