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カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
episode 10 色彩なき覚悟。千里vs???
135/190

仕組まれた再戦・千里vsマアラ前編!!

ぷつりと通信を切り、仕組まれた宿命と対峙する。


「よー。本体と会うのは久しぶりじゃねーの?」


「ええまあ。いやはや……借夏さんとの会話を邪魔してすみませんねぇ。いやしかし予定は予定。

シンボルエンカウントには従ってもらいます。ささ、ボクと一戦とまいりましょう」


「借夏さん……ね」


わざとらしいとっかかりを軸に思考する。


もう事態の全容は見えていた。


「チエカさんでもアニキさんでもなく借夏さん……か。俺はアニキとしか呼んでないのに」


「それがどうしました?」


「なんでもねーよ。ただ……」


思えば、彼とはかなりの期間一緒に居た。


カードとしても、本人とも……。


「なんでお前が最初の敵だったのか……これまでの戦いの意味がどこにあったのか……そしてなんで今更になってお前がまた出てきたのか……」


今までの始まりから終わりまで。なんの意味があってどこへ向かうべきなのか。


「なんとなく、わかってきた。少なくとも、お前を吹っ飛ばすことを躊躇う理由はどこにもねぇってわかるくらいはな!!」


「ぼくを倒すと? 言っておきますがあの時とは別人だとおもっておいてください……実力も、でっきもね」


あざ笑い、パチンと指を鳴らす。


大地が隆起し、クッキーのコースが湧き出る。


山脈を駆けるコースへと続く、黒々とした導線だ。


「さあ付いてきてください!! 戦場で対面した以上は戦うのみ」


「おーよ!!」


マアラが浮雲で飛翔し、千里もバイクを呼び出しあとを追う。


風を切り、スタート地点まで走行しながら千里は思う。


(お前の、オマエ達の目的はだいたいわかってる。後でみっちり聞かせてもらうぜ、マアラ?)


そうこう考えているうちに、森のの切れ目が見えてくる。


懐かしい、最初にチエカとレースした場所だ。


スタートに初期マシンを停めながら、ここで前提条件を確認しておく。


「よー? 突っかかって来るのは良いが、オマエに勝ったら一体ナニを貰えるんだ?」


「STPDー03」


「?」


「カードパックの最新弾、ですよ。先程のアナウンスと同時に実装されたのです」


「おいおい……」


実際には、あの参上の中でカードを買いに行くのは自殺行為だろう。ショップが無事かも分からない。


「それをわざわざくれるって?」


「詮索は不要」


マアラは妙に焦っていた。


まるで、なにかタイムリミットがあるかのように……


「アナタが今やるべきはひとつでしょう……さぁ、電子の合言葉をさけべ!! 疾走に情熱をーーーー」


「たくしゃあないなーーーーーPassion for sprinting!!」


最速の戦場といえど、焦るのは禁物。


事を急ぐ戦場で、彼が商品以外の何を得るのか。


それはまだ、誰にも分からない。






千里残り走行距離…………20


マアラ残り走行距離……20





まずはありきたりな序盤の処理から。


「俺のターン、ドロー!! …… 《コズミック・エッグ》で走行してターンエンド!!」


「僕のターン、ドロー!僕は 《菓子組みポッポ》の上に《飴風船のジェスター》を重ねます!」


「ッ!!」


千里は聞き逃さない。


一時期トラウマになりかけたカードが、今も健在の恐怖として襲いかかる。




《菓子組みポッポ》✝The Gluttony train…

ギア1マシン シュガーマウンテン POW 0 DEF 0

◆【相手の残り走行距離が8以下/相手マシンが走行する時】対象のカードをこのカードの下に重ね、相手のセンターとこのカードを疲労させる。

◆【インナー(このカードの効果は上にカードが乗っていても使える)】





《飴風船のジェスター》✝

ギア2マシン シュガーマウンテン POW5000 DEF 0

◆【センターへの登場時】マシン以外のシュガーマウンテン一枚を手札に加える。





「その菓子組みポッポねぇ……まーだ現役だったのな……」


「ええ。いいカードはいつまでも使えますので……と、ジェスターの効果で 《バブルコート》を手札へ。そしてもう一体のジェスターも呼び出します」


ポッポはかつて、あわや千里の切り札ブラック・グリズリーを葬りかけた怪物だ。


あらゆる除去より凶悪な『吸収』は、最終的には奪われた自機と対面する危険すら孕んでいる。このレース中、その存在を忘れる事は許されない。


それに、今しれっとサーチしたカードは。


「さあ走行です。二枚のジェスターで走行!! そしてここで 《キャラメル・スリップ》を発動、走力を底上げします!」





《キャラメル・スリップ》✝

ギア2アシスト シュガーマウンテン

【バトルフェイズ開始時のみ発動可能】このターン、自分のマシンの走行距離は全て1追加される。その後、このカードを自分のデッキの一番上に置く。






千里残り走行距離…………20→19


マアラ残り走行距離……20→17→14





走行の差は歴然。


使えるカードが違うというのもあるが、やはり見せつけられると心に来る。


「僕はこれでターンエンドです」


「チ……俺のターン、ドロー!!」


ここからが本番。


相手の布陣を切り崩し攻めなければ。


「俺はコズミック・エッグの上に 《クリスタルハイヤー》を重ね、さらにその上に 《ミスター・トレーラー》を呼び出す!!」





《コズミック・エッグ》✝

ギア1マシン ステアリング POW 0 DEF 0

◆【インナー】

◆【自分がギア1マシンを呼び出した時/1ターンに一度】山札から対象と同名のマシンを呼び出す。




《クリスタルハイヤー》✝

ギア2マシン スカーレットローズ POW9000 DEF6000




《ミスター・トレーラー》✝

ギア3マシン スカーレットローズ POW10000 DEF5000

【場札二枚を疲労】山札からギア1マシン一枚を選んで呼び出す。





「トレーラーの効果発動!! 山札から 《アビス・ペイント》を場へ!! そしてコズミック・エッグの効果でもう一体を場に呼び出す!!」




《アビス・ペイント》✝

ギア1マシン POW 0 DEF 0 スカーレットローズ

【このマシンの登場時】このマシンのステータスは自分の場の他のマシン一体と同じになる。

【ターン終了時】このマシンを破壊する。





使い捨てのコピーマシン。


多少損失はもったいないが、ここは強気で攻める。


「二体のアビスはトレーラーをコピー!! そしてギア3となった三体で走行する!!」


この一手で、ひとまずマアラを抜き返す。


そう思っていたのだが…………





ーーーーぽうん、と。


その行動は、透明な泡のバリアによって阻まれた。





「…………!!」


「甘いですよ、ドルチェより甘いです! 僕は手札から 《バブルコート》を発動します!!」






《バブルコート》✝

ギア2イベント シュガーマウンテン HP5000

【イベントはマシンゾーンに置く。攻撃を受ける度に相手のPOWの分HPを減らし、0になったら破壊する】

◆【進路妨害】

◆【このカードの破壊時/場札一枚を疲労】山札から 《バブルコート》一枚を手札に加える。






その登場に、千里はもはや大袈裟には驚かない。


「ほー。イベントカードか。下級戦士にも配り歩けるくらいに仕上がってると?」


「これこそが新しい時代の力ですよ」


にやり、意地の悪い笑みでマアラが告げる。


「実験所をバラす直前こそ、きけんな実験を済ませるチャンス。そうは思いませんか、千里さん?」


駆け抜けるのはキケンな戦場。


まだまだ、戦いはこれからだ。

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